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俳句舎の俳人名鑑

2018.12.09 06:53

榎本冬一郎 (えのもと ふゆいちろう)

 明治40年(1907)~昭和57年(1982)74歳。 和歌山県生れ。  「天狼」同人・「群蜂」主宰

 馬酔木(山口誓子選)に投句、誓子に師事。誓子の馬酔木離脱と行動をともにして、「天狼」創刊に同人参加。別に「群蜂」を創刊して没年まで主宰。

 句集:『眼光』『鋳像』『背骨』『尻無河畔』『榎本冬一郎全句集』ほか

 

     ぎらぎら青し泥より芦立つ血族婚

     尾てい骨で坐る赤ん坊の星祭

     メーデーの中やうしなふおのれの顔

     根の国の祖(おや)への道のとりかぶと

     凍蝶のいまわのきわの大伽藍

 

 

江里昭彦 (えざと あきひこ)

 昭和25年(1950) 山口県生れ。 「未定」「鬣」同人

 「京大俳句」編集長、同人誌「日曜日」を経て「未定」同人。第16回現代俳句協会評論賞受賞。

 句集:『ラディカル・マザー・コンプレックス』『ロマンチック・ラブ・イデオロギー』『クローン羊のしずかな瞳』

     睡る手がペニスを握るかたちせり

     二枚舌だからどこでも舐めてあげる

     

     月の出や口をつかいし愛のあと

     盛装し下着はつけづ観る桜

     

 

榎島砂丘 (えじま さきゅう)*旧名:指宿砂丘

 明治40年(1907)~平成3年(1991)84歳。 鹿児島県生れ。愛知県在住。

 「旗艦」の前身の一誌「ひよどり」を経て「旗艦」の創刊に参加。のち「太陽系」「俳句評論」同人。同人誌「街路樹」発行。※旧制七高・京都帝大法学部出身

     球根に水鬱(うつ)として昼長けぬ

     街路樹の影黙々と保税地区

     外套に疎林の影をまとひゆく

     剥製の極楽鳥のぼろを焼く

     

 

榎本好宏 (えのもと よしひろ)

 昭和12年(1937) 東京都生れ。神奈川県在住。 「件」「航」代表

 森澄雄に師事。 昭和45年「杉」創刊に参加。昭和49年より「杉」編集長を務めた。平成27年「航」創刊代表。第49回俳人協会賞・第29回俳人協会評論賞受賞。

 句集:『寄竹』『素声』『方寸』『四序』『三遠』『奥会津珊々』『会景』『祭詩』『南溟北溟』

     金亀虫アッツに父を失ひき

     枕絵といふ菜の花のごときもの

     足音も鯖街道の夜長かな

     独活食うて世に百尋も後れけり

     数へ日の話し足りなき母帰す

  

 

江川一枝 (えがわ かずえ)

 昭和14年(1939)東京都生まれ。 「円錐」

 永田耕衣に師事。昭和50年「琴座」入会。52年同人。「らんの会」を経て「円錐」同人。第10回六人の会賞受賞。

 句集:『』

      人垣の顔のひとつは木の葉髪

      おとなたちばかりや荒ぶ揚羽蝶

      亡ばざる人よ空地は犬ふぐり

 

 

遠藤若狭男 (えんどう わかさお)

 昭和22年(1947) 福井県生れ。神奈川県在住。 「若狭」主宰

 鷹羽狩行に師事。昭和58年「狩」入会。同人、編集長を務めた。平成27年「若狭」創刊主宰。

 句集:『神話』『青年』『船長』『去来』『旅鞄』 著作:『鷹羽狩行研究』

     登山馬よろけついでに歩き出す

     初鴉の次の声待つ山河かな

     雪国の逢ふも別れも雪の上

     人間の証明として枯野ゆく