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俳句舎の俳人名鑑

2018.12.09 06:05

星野 椿 (ほしの つばき)

 昭和5年(1930) 東京都生れ。神奈川県在住。   「玉藻」名誉主宰

 星野立子の長女。立子の没後「玉藻」を継承主宰。平成26年主宰を息子に譲り名誉主宰に就く。

 句集:『早椿』『華』『波頭』『雪見酒』『マーガレット』ほか

     

     雪見酒なんのかんのと幸せよ

     湖に洗ふ障子を浮かばせて

     睡蓮が咲けば水迄輝きぬ

     蝶々に大きく門の開いてをり



星野明世 (ほしの あきよ)

 大正15年(1926)~平成19年(2007)81歳。 北海道生れ。埼玉県在住。  「水明」副主宰

 長谷川かな女、秋子に師事。父は山本嵯迷。第41回現代俳句協会賞受賞。

 句集:『馬橇』『蟇』『青信濃』ほか

      袋掛来世はどこで袋掛

      大根煮てむかしのやうに抱かれけり

      蛇の衣人に見せればほどけゆく

   


 

星野石雀 (ほしの せきじゃく)

 大正11年(1922) 東京都生れ。千葉県在住。 「鷹」・「俳句未来同人」

 昭和21年「曲水」入会。のち「氷海」を経て「鷹」の無鑑査同人。

  句集:『薔薇館』『乾草物語』『延年』

       鶏頭に風吹く母のみそかごと

       ジャンヌダルクは少年なりと薔薇

       足萎えの美女も負はれて鍋被り

       海図に置く苺ひとつぶ自爆点



 

星野立子 (ほしの たつこ)

 明治36年(1903)~昭和59年(1984)80歳。 東京生れ。「ホトトギス」同人。「玉藻」主宰。

 虚子の次女。昭和5年より虚子の勧めで、女性はじめての主宰誌「玉藻」を創刊する。昭和10年代女流俳人四Tの一人。※鎌倉高女(現鎌倉女学院)出身

 句集:『立子句集』『鎌倉』『笹目』『実生』『春雷』ほか

        大仏の冬日は山に移りけり

        吹かれ来し野分の蜂にさ丶れけり

        昃(ひかげ)れば春水の心あともどり

 

        父がつけしわが名立子や月を仰ぐ

      

        美しき緑走れリ夏料理

        


 星野麥丘人 (ほしの ばくきゅうじん)

 大正14年(1925)~平成25年(2013)88歳。 東京都生れ。「鶴」主宰。 

 石田波郷、石塚友二に師事。昭和21年「鶴」入会。ながく編集を担当、昭和61年両師の跡を継ぎ「鶴」主宰となる。俳人協会顧問。第36回俳人協会賞・第25回詩歌文学館賞受賞。※法政大学出身。

 句集:『弟子』『寒食』『雨滴集』『燕雀』『亭午』『小椿居』  著作:『近世俳人ノオト』ほか

     鞄より赤い風船いつ出さむ

     凡人に凡の日ばかり花かぼちゃ

     雨吸つて波郷椿の都鳥

     春の夜やこむらがへりにサロンパス

     花冷えのベッドきしますばかりかな



 

堀 葦男 (ほり あしお)

 大正5年(1916) ~平成5年(1993)76歳。 東京都生れ。 「海程」

 岡本圭岳、伊藤消雪に師事。紀音夫らと「十七音詩」を創刊。関西前衛俳句運動を推進し、評論・作品両面で活躍した。「海程」創刊に参加、同人会会長を努めた。第10回現代俳句協会賞受賞。※東京帝大経済学部出身

 句集:『火づくり』『機械』『山姿水情』

     見えない階段見える肝臓印鑑滲む

     ぶつかる黒を分け押し来るあらゆる黒

     沼いちめん木片かわき拡がる慰謝

     沖へ急ぐ花束はたらく岸を残し

     がくんと前肢大定型の死へ折る牛



 

堀井春一郎 (ほりい しゅんいちろう)

 昭和2年(1927)~昭和51年(1976)49歳。東京都生れ。「天狼」「氷海」同人

 「水明」を経て、昭和25年「天狼」入会。山口誓子に師事。昭和33年同人に推挙される。昭和31年「氷海」にも参加。高踏的綜合誌「季刊俳句」を創刊するが志なかばにして夭折。第8回天狼賞受賞。※慶応大文学部哲学科出身

 句集:『教師』『修羅』『堀井春一郎全句集 曳白』

       野に赫らむ冬雲誰の晩年ぞ

       山百合や母には薄暮父には夜

       さらばされば父を愛してもぐらの夏

       暗紅の蚊帳より出でて戻らざる

       蓬香を嗅ぐ刹那さへひとの妻

      

          

 堀口星眠 (ほりぐち せいみん)

 大正12年(1923)~平成27年(2015)91歳・ 群馬県生れ。「橡」主宰。 

 水原秋桜子に師事。昭和18年「馬酔木」入会、昭和28年同人。秋桜子没後、「馬酔木」の継承主宰となる。昭和59年「橡」創刊主宰。俳人協会顧問。昭和33年馬酔木賞・第16回俳人協会賞受賞。*旧制新潟高校・東京帝大医学部出身。

 句集:『火山灰の道』『営巣期』『青葉木菟』『樹の雫』『祇園祭』『テーブルの下に』

       部屋に椅子一つあるのみほととぎす

       邯鄲のこゑ大河なす峠かな

       少年の踊ゆらゆら風の盆



 

堀内 薫 (ほりうち かおる)

 明治36年(1903)~ 平成8年(1996)92歳。 奈良県生れ。*旧号 小花   「七曜」

 京大俳句で平畑静塔の指導を受ける。戦後「天狼」「七曜」創刊とともに入会、山口誓子.橋本多佳子に師事。天狼同人となり「七曜」を多佳子から継承主宰し、のち橋本美代子に主宰を譲る。第3回天狼賞受賞。※京都帝国大学文学部国文科出身

 句集:『堀内薫全句集』

     人ら立ちて歩くヘルンの夏座敷

     太陽の火の粉となつて鳥渡る

     ポケットに両手を入れてかすみをり


 

 

細谷源二 (ほそたに げんじ)

 明治39年(1906) ~昭和45年(1970)64才。 東京生れ。北海道在住。

 27歳から俳句をはじめる。「句と評論」同人となり新興俳句運動に参加。弾圧を受け2年半に獄中生活を送る.戦後「北方俳句人」(のち「氷源帯」に改題)を創刊主宰。北海道文化奨励賞受賞。現代俳句協会顧問。

 句集:『鉄』『塵中』『砂金帯』『饗燈』『細谷源二全集』

      鉄工葬をはり真赤な鉄うてり

      鉄工のあひよりて焚く火のちさき

      地の涯に倖せありと来しが雪

      耕すやぼろんぼろんと時計鳴る



 

細見綾子 (ほそみ あやこ)

 明治40年(1907)~平成9年(1997)90歳。 兵庫県生れ。東京都在住。  「風」

 松瀨青々の指導を受ける。「風」創刊とともに同人参加。沢木欣一と結婚。誓子の「天狼」に同人参加。第2回茅舎賞(現代俳句協会)・第25回芸術選奨文部大臣賞・第13回蛇笏賞受賞。俳人協会顧問。※日本女子大学国文科出身

 句集:『桃は八重』『冬薔薇』『雉子』『和語』『伎藝天』『曼陀羅』『存問』『天然の風』『虹立つ』『牡丹』『細見綾子全句集』ほか  著作:『俳句の表情』ほか

     そら豆はまことに青き味したり

     ふだん着でふだんの心桃の花

     つばめつばめ泥が好きなる燕かな

     鶏頭を三尺離れもの思ふ 

     女身仏に春剥落のつづきをり

     牡丹十日母にもの言ふ如きかな

     古九谷の深むらさきも雁の頃

 

 

星野沙一 (ほしの さいち)

 大正10年(1921)~平成18年(2006)84歳。 埼玉県生れ。 前「水明」主宰

 長谷川かな女に師事。妻は星野明世。長谷川秋子没後の「水明」を継ぎ主宰。※拓殖大学出身

 句集:『ねばりひき』『木の鍵』『鹿の斑』『置筏』

     海よりの春の嵐妻よパセリをきざみなさい

     木戸に木の鍵して螢囲ひけり

     熱燗や心の内を赤絵皿

     


 

星野昌彦 (ほしの まさひこ)

 昭和7年(1932) 愛知県生れ。 「景象」主宰 

 内藤吐天に師事。昭和27年新聞俳壇の山口誓子選に投句。「早蕨」「地表」「林苑」「橋」等の同人を経て、「景象」創刊。第1回現代俳句新人賞・第5回現代俳句評論賞・昭和42年中部日本俳句作家会賞・第68回現代俳句協会賞受賞。

 句集:『藁の国』『五丁目二十八番地』『玄冬考』『七百句』『而今そしていま』『是空』『花神の時』『天狼記』

     骨だけの魚が泳ぐ冬満月

     鶏の首しめ快晴の火山麓

     絶命の鯉生臭し戦中派

     悪人正機いづこに鯰潜みしや

     帰りなむいざ葱坊主呆けてをり


 

 

坊城俊樹 (ぼうじょう としき)

 昭和32年(1957)東京都生れ。 「花鳥」主宰

 母は俳人の坊城中子。祖父,高浜年尾のもとで俳句を始める。「花鳥」編集長。平成23年主宰を継承。日本伝統俳句協会新人賞受賞。

 句集:『零』『あめふらし』

      やはらかく鯛と西日を煮てをりぬ

      葉桜となり屈葬の者つつむ

      丑三つの厨のバナナ曲るなり

      鯉の口より一片の花浄土

 

 

細谷喨々 (ほそや りょうりょう) 

 昭和23年(1948) 山形県生れ。東京都在住。   「一葦」「件」

 石川桂郎に師事。昭和43年「風土」入会、同45年同人。桂郎の死後、島谷征良の「一葦」創刊に参加。「件」同人。

 句集:『櫻桃』『二日』

     柿若葉筆圧強き子の葉書

     夏負けや獄衣に似たる白衣着て

           死の冷えの移りて重き聴診器

     ずり落ちさうにキリストや春の月

 

保坂敏子 (ほさか としこ)

 昭和23年(1948)山梨県生れ。 「今」

 飯田龍太に師事。昭和44年「雲母」入会。同人。「雲母」終刊後、「白露」創刊に同人参加。現編集同人。

 句集:『芽山椒』

     春満月水子も夢を見る頃ぞ

     人形のだらりと抱かる雲の峰

     月光に夜離れはじまる式部の実

 

 

星野高士 (ほしの たかし)

 昭和27年(1952)神奈川県生れ。 「玉藻」主宰

 星野立子に師事。10代より句作。「花藻」編集長、副主宰。平成26年主宰を継承。

 句集:『破魔矢』『谷戸』『無尽蔵』『顔』『残響』

      一口で飲みたる水や竹の春

      引鶴の雲に紛れて無尽蔵

      爽やかや鞄に無駄なものを入れ