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俳句舎の俳人名鑑

2018.12.09 05:55

森 澄雄 (もり すみお)

 大正8年(1919)~平成22年(2010)91歳。 兵庫県生れ。東京都在住。  「杉」主宰

 加藤楸邨に師事。波郷に私淑。昭和15年「寒雷」創刊とともに入会。昭和25年同人.永く編集長を務めた。人間探求派を超えることを目標に昭和45年「杉」創刊主宰。第1回寒雷暖響賞・第29回読売文学賞・第21回蛇笏賞・日本芸術院賞・恩賜賞・第40回毎日芸術賞受賞。日本芸術院会員・平成17年文化功労者。※旧制長崎高商・九州帝大法文学部経済学科出身

 句集:『雪櫟』『花眼』『浮鴎』『鯉素』『游方』『空艪』『四遠』『所生』『余日』『白小』『花問』『天日』『虚心』『深泉』『蒼茫

』  著作:『森澄雄俳論集』『俳句燦々』ほか

     除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり

     磧にて白桃むけば水過ぎゆく

     寒鯉を雲のごとくに食はず飼ふ

     秋の淡海(あふみ)かすみ誰にもたよりせず

     ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに

     西国の畦曼珠沙華曼珠沙華

     炎天より僧ひとり乗り岐阜羽島

     さるすべり美しかりし与謝郡

     はるかまで旅してゐたり昼寝覚

     妻がゐて夜長を言へりさう思ふ

  

 

森川麗子 (もりかわ れいこ)

 昭和6年(1931) 福井県生れ。京都府在住。  「豈」

 西東三鬼に師事。「面」「激流」「琴座」「白燕」等を経て「豈」 同人。  

 句集:『禁猟区』『葡萄樹下』『草上』『梨冠』『葵抄』『森川麗子句集』『白日』

      白牡丹悍馬の尾には触れもせず

      過ちの深秋金襴緞子かな

      古代魚に胸まで合わす春の暮

      田が立ちぬ畑が立ちぬ更衣

      椿の夜中二階にてさわぎたり


 

森下草城子 (もりした そうじょうし)

 昭和8年(1933) 愛知県生れ。 「海程」・「木」主宰

 昭和28年より俳句を始める。内藤吐天の「早蕨」、「林苑」など経て「海程」同人.「木」創刊。現代俳句協会顧問。第48回現代俳句協会賞受賞。

 句集:『風炎』『生家』『野鯉』


      父の田の冬がぼんやり立っている

      霜月が野川に辿りついて死ぬ

      秋の暮老婆の火種美しき

      遊行とおもい麦畠通りけり



 

森田 峠 (もりた とうげ)

 大正13年(1924)~平成25年(2013)88歳。 大阪府生れ。兵庫県在住。 「かつらぎ」名誉主宰

 阿波野青畝に師事。昭和17年「ホトトギス」に初投句。虚子を訪ね峠の俳号をもらう。昭和26年阿波野青畝の「かつらぎ」に入会。編集長、雑詠選者,を経て平成2年より主宰を継承。平成25年5月名誉主宰に。俳人協会顧問。第26回俳人協会賞・第19回詩歌文学館賞受賞。※國學院大學国文科出身。

 句集:『避暑散歩』『三角屋根』『逆瀬川』『雪紋』『牧開』『葛の崖』『四阿』『甲山』 著作:『青畝句集『万両』全釈』ほか    

      箱河豚の鰭は東西南北に

      教会と枯木ペン画のごときかな

      かんじきを最も戸口近く吊る

      しぼりゆく鯛網ふるへはじめけり

      木の芽ありキリンの舌の届かざる



 

森田智子 (もりた ともこ)

 昭和13年(1938) 大阪府生れ。 「樫」代表

 西東三鬼、鈴木六林男に師事。昭和32年三鬼の「断崖」に参加、のち「天狼」などを経て昭和46年「花曜」同人。平成2年同人誌「樫」創刊。第1回花曜賞・第29回現代俳句協会賞・第11回鬣TATEGAMI俳句賞受賞。

 句集:『全景』『中景』『掌景』『定景』

      新緑もビルも流れて子を産みに

      パリモスクワニューヨーク晴梅雨の入

      人間を見ている駱駝夏休み

      八月の裏向いている卸金

      長い目で見れば田螺が転んだだけ

   



 

森田緑郎 (もりた ろくろう)

 昭和7年(1932) 神奈川県生れ。 「海程」

 金子兜太に師事。昭和37年「海程」に参加.編集同人。第5回海程賞受賞。

 句集:『花冠』『藍納戸』『森田緑郎句集』

     菜の花畑扉一枚飛んでいる

     ラグビー了えシャワーの如き愛語降らす

     巻舌の濤の暗黒鰤起し



 

諸角せつ子 (もろずみ せつこ)

 昭和6年(1931) 神奈川県生れ。 「道標」主宰

 「水鳥」「寒雷「海程」、のち「道標」同人。古澤太穂のあと主宰継承。

 句集:『荒踊り』『網膜の花』『権太坂』ほか

    おわら盆唄胡弓ひとつは荒踊り

    月のよわい猫のよわいと権太坂

  

 

本宮哲郎 (もとみや てつろう)

 昭和5年(1930)~平成25年(2013)83歳。 新潟県生れ。 「河」「麓」

 飯田蛇笏、龍太に師事。昭和23年「雲母」入会。中断後「河」「麓」同人。第1回俳句研究賞・第40回俳人協会賞受賞。

 句集:『雪嶺』『信濃川』『日本海』『伊夜日子』

     野を焼きしその夜の妻は裸で寝る

     葱深く伏せて雪くる信濃川

     田を植ゑて父に逢ひたくなりにけり

     さらさらと雪あかときのひめ始

     花冷えの田より抜きたる足二本

  

 

本井 英 (もとい えい)

 昭和20年(1945) 埼玉県生れ。神奈川県在住。 「夏潮」主宰

 清崎敏郎に師事。のち星野立子、高木晴子に学ぶ。俳句は高校時代から」敏郎に師事。「珊」同人、「惜春」副主宰を経て平成19年虚子の文学を敬し慕うことを標榜する「夏潮」を創刊主宰。第32回俳人協会評論賞受賞。

 句集:『本井英句集』『夏潮』『八月』 著作:『虚子 渡仏日記紀行』『高浜虚子』ほか

      息の音のさよならさよなら夜は短か

      妻知らぬセーターを着て町歩く

      笹子来てをるよと告げむ人もがな

 

 

森賀 まり (もりが まり)

 昭和35年(1960) 愛媛県生れ。大阪府在住。 「百鳥」「静かな場所」

 故田中裕明夫人。昭和58年「青」に入会。のち「百鳥」同人。「静かな場所」代表。第33回俳人協会新人賞受賞。

 句集:『ねむる手』『瞬く』

    かすかなる空耳なれどあたたかし

    瞬きに月の光のさし入りぬ

    合歓の花不在の椅子のこちら向く

 

 

 望月 周 (もちづき しゅう)

 昭和40年(1965)東京都生れ。 「百鳥」

 大串章に師事。平成10年「百鳥」入会。同人、編集長をつとめる。平成14年百鳥賞・第56回角川俳句賞・第38回俳人協会新人賞受賞。

 句集:『白月』

     九官鳥同志は無口うららけし

     遠火事の百年燃えてゐるごとし

     灰には雪雪には灰の積りつつ