interFoamのSpuriousCurrentについて6 -微小液滴の自由落下-
先日のopenCAE勉強会(横浜)で液滴が小さくなるとSpuriousCurrentが原因で液滴が自由落下せず上昇するとの話を聞きました。
そこで微小液滴自由落下問題を検証してみました。直径100µmの液滴を中心において2次元計算(液滴は円柱とみなせる)をやってみます。重力は下向き、計算領域は液滴直径の10倍、左右境界は壁、上下境界は流入・流出境界としました。
計算はinterFoamです。計算条件(fvSolution)はcapillaryRiseのままです。結果の動画を見ると、なんと液滴が重力に逆らって上昇します!
前回の検討でラプラスフィルタを数回かけて、タイムステップを十分に小さくすればSpuriousCurrentが抑制されることがわかっているので試してみましょう。
計算領域を液滴の10倍にすると結構計算時間がかかったので、パラメータスタディでは4倍にします。液滴直径は100µmのままなので、計算領域は400µmです。
パラメータスタディーで4つの条件を比較します。
case1:interFOAM のcapillayRise の条件
case2:interFOAMのfvSolutionを変更した条件
case3:interFOAMのfvSolutionを変更+maxDeltaT=1e-8とした条件
case4:interFOAMのfvSolutionを変更+maxDeltaT=1e-8+ラプラスフィルタ4回
です。
結果をみてみましょう。case1は左に移動しました。case2、case3も変な方向に移動しますが、case4はピクリともしません。SpuriousCurrentが抑制されているようです。
重力があるのだから下に移動してもいいと思うのですが・・・終了時間を長くしたら下に少しだけ動いていました。空気抵抗があるので思ったより落下は遅いようです。
最後に計算領域を元に戻して(液滴直径の10倍)計算してみましょう。左は最初にお見せしたinterFoam、右はcase4の条件です。SpuriousCurrentが抑制されています。