活躍の場広がる補助犬、社会全体の理解深めよう
読売新聞オンラインより転載
22年前の5月22日、障害者の生活を手助けする盲導犬や介助犬、聴導犬の同伴について、交通機関や宿泊施設、飲食店などに拒否を禁じた「身体障害者補助犬法」が成立しました。20年以上が過ぎた今、補助犬の活躍の場は広がっています。読売新聞朝刊の投書欄「気流」には、補助犬に関する投書が寄せられてきました。記者の心に刺さった投書を紹介する「ササる投書」、今回のテーマは「補助犬」です。(※投稿者の年齢や職業などは掲載当時。紙面では実名で掲載)
盲導犬の意義、啓発必要
視覚障害者のマラソンクラブで、伴走のボランティアをしている。先日、クラブの仲間と飲食店に食事に行った時、盲導犬を連れていた女性が入店を一時、拒否された。
身体障害者補助犬法では、公共施設や交通機関、飲食店などで盲導犬などの同伴を拒否することが禁じられていると、仲間が店員に説明した。結局は店長が出てきて、入店することができたが、後味の悪い食事になった。盲導犬を連れていた女性によると、このようなトラブルは日常茶飯事らしい。友人の家を訪問した時に、盲導犬を室内に入れてもらえなかったこともあるそうだ。
動物が苦手な人が、自宅に犬を入れたくないという気持ちも分かる。法律で割り切れない問題もあるだろう。
法律の趣旨を周知すると同時に、盲導犬などの意義について社会全体で理解を深めてもらうための啓発も必要だと思う。(58歳・会社員=茨城県、2014年1月16日掲載)
支える姿に感銘、寄付で力添え
自宅の最寄り駅で補助犬を見た。飼い主のペースに合わせながら、懸命に支えている姿に大きな感銘を受けた。帰宅後、補助犬について調べてみると、私でも、寄付という形で少しばかりの力添えができることがわかった。
さらに、売り上げの一部が介助犬育成のために寄付される自動販売機が近所にあることもわかった。今後は、意識的にその自動販売機を利用したい。補助犬が活躍できる社会づくりに貢献できればと考えている。街で見かけた場合も温かい目で見守りたい。(21歳・大学生=埼玉県、2017年6月26日掲載)
犬好き生かして、将来は訓練士に
私の夢は盲導犬や聴導犬の訓練士になることです。
私は犬が大好きです。小学4年生の時、犬とふれあいながら、人に喜んでもらい、役に立つことができる仕事がないか、と考えたのが始まりです。
調べたところ、専門的に訓練された犬を必要としている人は多いようです。
根気のいる大変な仕事と思います。頑張って、少しでも多くの補助犬を必要としている人の元に送り出したいと思っています。(12歳・中学生=京都府、2008年9月8日掲載)
担当記者から
まだまだ補助犬の同伴が拒否されるケースがあります。コロナ禍では、「土足の盲導犬は新型コロナウイルスを持ち込むリスクが高い」といった誤った認識もあったそうです。 障害の壁を懸命に取り除く補助犬への理解が深まることを願っています(田渕)