SECが現物型イーサリアムETFを承認
執筆者:小山英斗
先週の株式マーケットでは、米半導体大手エヌビディアの期待以上の決算や米総合PMIなどに注目が集まったようですが、仮想通貨マーケットはなんといっても、2024年5月23日(現地時間)に米証券取引委員会(SEC)による現物型イーサリアムETFの上場承認が注目の的となりました。
SECによる仮想通貨のETF承認は2024年1月に実施されたビットコインETFに続いて2例目となります。
イーサリアムホルダーの皆様、おめでとうございます。
イーサリアムのETF承認はまだ先になるとの予想もあったので、少々サプライズ的な出来事になったようです。
以下のチャートを見ても分かる通り、ETF承認前の5月20日あたりにイーサリアムの価格は急騰しています。これは、SECが5月20日に複数のETF申請者に対して19b-4(規則変更案の申請書類)の提出を早めるように指示したことが、承認される観測を高めたためと見られています。
ETF承認前に急騰したイーサリアムですが、承認時点で多少の乱高下はあったものの、その後は一定の水準で推移しています。
イーサリアムETFの正式な取引開始には、まだこれからで、SECからのS-1登録届出書の承認を得る必要があります。そのため、イーサリアムETFへの資金流入はまだ始まっておらず、実際の取引開始は数週間から数か月後になると見込まれています。
いずれにせよ、ビットコインに続き、2番目に資産規模の大きいイーサリアムのETFが承認されたことは、仮想通貨(暗号資産)にこれまでアプローチしにくかった金融機関や資産運用会社へさらなる門戸を開くことになるでしょう。
実際、先週、600社近くの企業がSECに提出した最新のフォーム13F報告書でビットコインETFへの多額の投資をしていることが明らかになっています。そんななか、ウィスコンシン州投資委員会がブラックロックのビットコインETFを約1億ドル相当保有していることも明らかになっています。ウィスコンシン州投資委員会は、公的年金やその他の信託基金の投資を管理する州の機関です。お堅いはずの州の機関が、株や債券、金といった伝統的なアセットクラスだけでなく、ビットコインのような新しいアセットクラスに投資しているもの、ひとつの大きな節目となっている感がします。
未来が見えるね研究所 代表 小山英斗