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「宇田川源流」 イギリスのスナク首相が「解散総選挙」の大博打

2024.05.29 22:00

「宇田川源流」 イギリスのスナク首相が「解散総選挙」の大博打


 イギリスでは、保守党のスナク首相が下院を解散し、7月4日に総選挙を行うということを発表した。

さて、まずスナク首相の話をする前に、イギリスの政治を見てみよう。イギリスは、ごぞんじのようにおうしつがあり、その王室を立憲君主制として議院内閣制をとっている。法制度は全く異なる判例法の国であるが、しかし、政治体制は日本に近い二院制の立憲君主制の国である。ちなみに、日本とは異なり、貴族制度が残っているので、上院は貴族が選ばれることになっており、なおかつ先ほど判例法ということを言ったが、まさに上院が最高裁判所を兼ねるような感じになっている。上院で法律を作りまた法で人を裁くことになるというやり方になっている。

要するに政治は、法律を変えるということ以外に関しては下院の一院制に近い内容になっている。その下院の議員投票によって首相が選ばれ、曾野首相が内閣を構成するということになる。

さて、2016年にブレグジットを決めたイギリスは、その時のキャメロン首相が退任し、メイ首相、その後はジョンソン首相、トラス首相となり、そのトラス首相が退任してスナク首相になっていた。ここまで数年で首相が変わるというような状況になっている。イギリスは基本的にはそのように首相が変わるほど様々な政治的な課題があり、まず何を言っても「財政赤字」そして「移民問題」ということになる。そのうえでウクライナ情勢やイスラエル=ハマス戦争のことがあり、非常に大きな問題を多く抱えている。本来はこのような時こそ政治的な安定と長期的な政策が重要なのであるが、残念ながら民主主義国のマスコミは何かと事件を「捏造」してしまい、そのことによってさまざまな内容を悪化させてゆく。悪化させて煽ることが、マスコミの利益の根源ではあるが、残念ながらそれに踊らされる人は少なくない。

そのような中で、スナク首相は「解散総選挙」という大博打に打って出た。

英国で選挙戦火ぶた スナク首相、不法入国者のルワンダ移送は「総選挙後」 移民対策不発に

 【ロンドン=黒瀬悦成】スナク英首相が7月4日に総選挙を実施すると今月22日に発表したのを受け、与野党各党は23日、支持者集会を開くなど選挙戦の火ぶたを切った。苦戦が予想される与党、保守党を率いるスナク氏はラジオ局とのインタビューで、不法入国者をアフリカのルワンダに強制移送する計画について「実施は選挙後となる」と明かし、政権の不法移民対策の目玉だった移送計画が不発に終わったことを印象付けるなど、幸先の悪いスタートとなった。

 スナク氏は当初、遅くとも7月までに移送を開始するとしていたが、ルワンダとの調整など準備の遅れが指摘されていた。

 一方、ボートで英国を目指す不法入国者らが夏に向けて殺到することが予想される中、スナク氏は総選挙をこれ以上遅らせれば政権が移民対策に失敗したと有権者に見なされるとして、7月実施に踏み切ったとの見方が強まっている。

 対する最大野党、労働党のスターマー党首は、政権を奪還した際にはルワンダ移送計画を「即刻廃止する」と表明。労働党は不法移民対策について、国境警備体制の強化で入国を阻止すると公約している。

 スターマー氏は23日、南部ケントのサッカー場で支持者集会を開き、「皆さまの一票で(保守党政権下の)混乱を終わらせ、一緒に国を立て直そう」と述べ、14年ぶりの政権交代の実現に向けて支持を求めた。

 民間団体「モア・イン・コモン」が23日発表した、スナク氏による22日の総選挙実施表明後に実施した世論調査では、労働党の支持率は44%で、保守党27%に17ポイント差をつけた。

5/24(金) 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/02310bc9c876af0f2baf6285a1a36b75470b0781

 イギリス史上で初の非白人・アジア系、ヒンドゥー教徒の首相であり、なおかつその内容は様々な意味で話題になった。私の記憶では妻はまだインド国籍であったような気がする。そのことから、様々な意味で何かが異なる部分があったのではないか。ちなみに金は「国家を立て直すほど」持っているとされており、そのことから、選挙資金などには事欠かないという事であったようだ。

さて、スナク首相は「何もしない」というようなことばかりを言われている。結局は、昔から首相を目指しており、保守党の総裁選挙に何度も出ているのであるが、残念ながら支持を得ることができなかった。しかし、トラス首相の辞任により、他の候補がいなくなったことから、スナク首相に「回ってきた」というような状況ではないか。

イギリスの問題は「ブレグジット後の経済」と「不法移民の処理」ということになる。この不法移民に関して、スナク首相は「すべてルワンダに移送する」というかなり過激なことを言っていた。公式スポークスマンは、「彼は、我々が国境を確実に管理することを約束し、国民は、我々が移民を管理し、英国にとって最適なシステムを持つことを当然期待している」と述べている。

この不法移民問題は、世界で大きな問題いなっており、アメリカのトランプ大統領はメキシコの国境に壁を作るとか、駐豪イスラムの指定国からは移民に限らずすべての人の往来を禁止するというような過激な手法をとった。曾野ことを否定したバイデン大統領も、結局は打つ手がなく、往来の禁止はしなかったものの国境の壁はそのまま工事を続行している状態である。日本でも移民に関してはかなり神経質になっており、自国の少子化という問題と移民問題が、一緒になって語られている。

 そのような移民政策を行わなければ、移民の管理や治安の維持などでかなりの経費が掛かり財政を圧迫するということになる。そのようなことで移民問題と経済問題は、基本的には同じ内容になっているということになるのである。

しかし、「不法移民」に対して「人権」を主張することが出てきて、経済もよくなっていないということから、結局は、支持率が下がってくる。これに対して「本当に移民を許してよいのか」ということが大きな問題になるのである。

さて、「メイ・ジョンソン・トラス」と首相が変わってきてしまっていて、徐々に支持率が下がっている。保守党の中の権力争いをしていて、そのことから支持率が下がってきてしまっているという現象は、今の日本と同じである。このイギリスの事例を見て岸田首相はどのように考えるのであろうか。あえてここで深く話すつもりはないが、日本の政変も近いのかもしれない。