新緑とは何だろう
https://kidetatetemiyou.com/shiru/article13.html 【若葉の季節5月。新緑とは何だろう】
新緑の季節、山や森の緑がみずみずしく感じられます。登山やハイキングに行かなくても、街路樹の色合いの鮮やかさに季節の変化を感じている方も多いのではないでしょうか。改めて考えると、なぜこの時期に木々は「新緑」になるのでしょうか。木が新緑する理由や、仕組みを調べてみました。
新緑とは何か。新しい葉をつける理由。
新緑とは一般的に4~5月ごろの若葉の緑色や、木々が芽吹く現象そのものを指した言葉です。冬の間すべての葉を落としていた落葉樹が、暖かく日差しの強い季節に備え一斉に葉をつけ始めます。
落葉樹と同じく、冬の間も葉を茂らせている常緑樹も春から夏にかけて新しい葉をつけます。クスノキなどの常緑広葉樹やマツなどの針葉樹でも、よく見るとこずえなどに新しく明るい緑色の葉をつけているのがわかります。
光合成をしてエネルギーを作り出すのが葉の役割ですが、葉を作り維持するのにもエネルギーが必要です。その為、日光が少なかったり気温が低かったりなど条件が悪いと、作り出すエネルギーよりも使うエネルギーが上回ってしまいます。1年の中で気候の差が大きい地域で、冬場は葉を落とし、春から夏にかけての光合成に適した時期だけ葉をつけるのが落葉する木々の戦略です。
落葉樹には秋に紅葉の美しいカエデ、白神山地で有名な東北のブナやミズナラ、里山の雑木林でドングリをつけるクヌギ・コナラなどがあります。4月後半~北海道や東北では6月までと、新緑の季節は気温や標高によって違いますが、それぞれの土地での春と夏の変わり目に、山や森全体が鮮やかな色合いに変わります。
落葉と新緑
光合成は、葉の中にある葉緑体という器官で行われています。木は必要のなくなった葉を落とす際、そのまま葉を落とす訳ではありません。葉緑体を分解してミネラルなどの栄養分へと分解し、枝や幹へと戻してから葉を落とします。
その過程で葉緑体の主要な機能を担うクロロフィルという緑色の色素が優先的に分解されます。緑色の色素が分解されて無くなり、黄色の色素が残ったり赤色の色素が作り出されたりすることで、黄葉や紅葉が起こります。
新しい葉をつける際は、逆に枝や幹から葉に栄養分が供給され葉緑体が形成されていきます。若い葉はクロロフィルの量が少なく、緑色が薄いので透明感があり鮮やかに見えます。
日を追うごとに日差しが強くなり、気温が高くなっていく新緑の季節。大地に根を張って移動できないからこそ季節の変化に巧みに適応している木の生き方に、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
https://dot.asahi.com/articles/-/32622?page=1 【「知って得する季語」──5月は「新緑」をたっぷり浴びよう】より
ゴールデンウィークも終わり、初夏の趣が強くなってきました。5月6日からは「立夏」に入りましたが、北海道ではゴールデンウィーク中に桜が開花したそうで、まさにこれからが春本番なのかもしれませんね。
春が桜や色とりどりの花々が咲く華やかな季節だとすると、初夏は草々が育ち、木々の新緑がまぶしい「緑」の季節。清々しい気候と新緑のなかでのキャンプやハイキングなど、この季節ならではの楽しみ方もたくさんあり、アクティブな夏が始まろうとしています。
ところで、桜が散ったあと周りを見渡せば、いつの間にか緑の量が多くなっていることにハッとした経験はありませんか? 今回は、そんな季節にふさわしい緑に関する季語をご紹介します。新緑以外にもたくさんの言葉がありましたよ。
美しい「新緑」を表す言葉
この時期の新緑は、緑色がこんなにあったのかと驚くほどグラデーションが豊かであり、清々しい気候に相まって美しさが際立っています。もちろん「新緑」も季語でありますが、実はほかにもその美しさを表す季語があるのです。
■知っていると通!?「万緑(ばんりょく)」
万は、あらゆる・すべての意であり、見渡す限り緑のみという意味。昭和14年、中村草田男が詠んだ句〈万緑の中や吾子(あこ)の歯生え初(そ)むる〉が名句として広まり、それ以降季語として定着したといわれています。新緑の瑞々しく大らかな感じと、その力強さが初夏を代表する季語のひとつとなっています。
■シチュエーションごとの○○「若葉」
木々の生え出て間もない葉のことですが、若葉単体で使うことはなく、樹の種類や場所などにつける季語です。例えば、「柿若葉、梅若葉、樟(くす)若葉、椎(しい)若葉」などの樹の種類ごと。中でも柿若葉はつやつやして鮮やかな萌黄色が特徴です。場所につけるのが「山若葉、里若葉、谷若葉、庭若葉」など。また、この頃吹く風を「若葉風」、雨を「若葉雨」と呼びます。
■語感が心地よい「新樹」
瑞々しい若葉におおわれた樹のことを呼びます。若葉のころは葉もまだ薄く、太陽光を通しキラキラ輝いて見える様子を「新樹光(しんじゅこう)」とも。新緑とは違った呼び方も良い感じですね。
同時に覚えたい「緑」の季語
ここからは一風変わった、聞きなれない季語をご紹介します。多くの季語のなかでも印象的な初夏の季語たちです。
■まさに緑のシャワー「緑さす」
初夏の鮮やかな緑を新緑といいますが、その緑が「射して」いるようだという季語です。射すは、日が射すの射す。実は、植物が緑色なのは、光合成をするときに緑色だけ吸収せず反射しているからだとか。そういう意味でも、新緑は一番美しい時季の緑色なのかもしれないですね。
■思わずウトウト「緑陰(りょくいん)」
青々と茂った樹木の陰のこと。木漏れ日が射していたり、涼しい風が吹いたり心身ともにリフレッシュできそうな明るいイメージの木陰。
■初夏の風の代表「青嵐」
若葉のころの風で、青々と茂った木々や草原を揺らす、やや強い風のこと。初夏は意外に風が強く、午前中はなかった風が午後から吹いてくることも。名前からして明るく、嫌でない風ですね。
いかがでしたか? 初夏は、ただでさえ気持ちの良い季節ですが、季語の多くもそれにふさわしい美しい言葉ばかりでしたね。
──言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。
植物は日々成長し、梅雨の時季には「青葉」となり、また違った景色となっていきます。新緑は心と身体を元気にするパワーの源。どうぞ期間限定の新緑の季節をたっぷり楽しんでくださいね。
(参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版/広辞苑)