「古志」YouTube句会(5月)を終えて
2024.05.31 21:00
5月25日(土)は定例の「古志」Youtube句会でした。
特選句からいくつか。
その中に祭浴衣の万太郎 神戸秀子
一読、
神田川祭りの中をながれけり 久保田万太郎
を想起させます。
上五〈その中に〉がじつに効果的。
巧みにぼかした導入が読者を惹きつけるのです。
ぼかしてあることにより、余白(余韻)も生まれています。
祭りの中にたたずむ万太郎の面影がなんとも味わい深いです。
父の日やジョロの年々重さうな 久嶋良子
庭木に水をあげているご尊父。
かつては軽々と持ち上げていた如雨露(ジョロ)も娘の目には重たそうに映るのです。
老いて細くなった腕、思うように動かなくなってきた足腰など、
直接的に描写してあるわけではありませんが、
一句の背後から、ありありと目に浮かんできます。
水やりの一コマをとおして、親子の歳月など、さまざまな奥行きを感じさせます。
(Photo by Canva)
黄花咲くき組きうりと名乗るごと 鈴木榮子
まるで幼稚園生のような胡瓜の花。
花の咲きぶりを〈名乗るごと〉と表現したことで、
とても生きいきとした一句になっています。
花の声が聞こえてくるのです。
たたみかけるような〈き〉の音も心地よいです。