「古志」YouTube句会(5月)を終えて 2
2024.06.01 21:00
引き続き、「古志」YouTube句会(5月)です。
特選句からいくつか。
(Photo by Canva)
水に浮く国に生まれて冷奴 篠原隆子
私たちが日々生活しているこの大地ですが、
地震や津波などもあり、盤石のものではありません。
この句がいうように、冷奴のように脆いものだと思えてきます。
思えば『古事記』でも、
この国の始まりが「くらげなす漂へる国」であったと記しています。
〈水に浮く国〉という認識はけっして科学的ではありませんが、
詩的真実を捉えているといえるでしょう。
機智と諧謔を湛えつつ、固定観念を刷新してくれる一句です。
魂を一寸待たせて更衣 上村幸三
逸る気持ちを抑えているのでしょう。
魂はすでに夏に切り替わっているのですが、
生活の切り替えがまだ追いついていないのです。
年々、更衣が面倒になっていく心持ちもあるのかもしれません。
この句も機智と諧謔を含みながら、
それだけで終わらない、構えが大きい一句です。
「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催しています。
次回は6月22日(土)です。
ぜひご参加ください。