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空想都市一番街

闇で見守る者⑥ 18♡ 上書きされる体

2024.06.04 14:01

「あ、あの、そうだお風呂に入ってないですね。俺、お湯入れてきます。…一緒に入りますか?」


コウタがハッと我に帰って微笑みながら言う。


「いや、俺は後で入るから、お前先に入るといい」


伊織もそれなりに意識が飛んでいたようで、わずかにあわてて我に返って言う。


(今日もお風呂は一緒に入らないんだな)


ちょっと期待したし、お風呂で体を洗ったり伊織にご奉仕ができると思ったのだが、仕方なくコウタは湯を張って1人で入る。


(今日は、するのかな…)


広いバスタブに浸かりながらコウタはぼんやり思う。


そういえば忘れていたけど、腕に少しアザが残っている。


料理の手伝いしたりしたから、もしかしたら伊織の目に入ったかもしれない。

でも何も言ってこないので、コウタはまあいいかと体を洗って風呂から出た。


「伊織さん、お風呂新しくお湯貼っておきましたのでどうぞ」


コウタがガウンを着てにっこり笑うと伊織はうなづいて風呂に入った。


伊織がつけている控えめな花のような香りの香水がすれ違う時にもふわりと香る。


コウタは伊織が出てくるまでソファに座り、ぼんやりとこの幸せな非日常を味わっていた。


優しくしてもらえるって、幸せなことなんだな。


ポツリとそう思った。自分が今まで大切にした人たちも、そう思ってくれていたらいいな、と。



伊織が風呂から出てきた。


腰にバスタオルを巻いて、綺麗についた鍛えられた筋肉がやっぱり美しい。そこに描かれた見事なタトゥーも。


コウタは無意識に喉を鳴らす。やっぱりかっこいい。


「伊織さん、ミネラルウォーターいりますか?」


「ああ、頼む」


コウタは冷蔵庫からミネラルウォーターを出してきて伊織に渡す。


「ありがとう」


そういうと伊織は前の時と同じようにグビグビと飲み干す。


「ふう。」


伊織は一息つくと、ガウンを着てソファに腰を下ろす。


「…ふふ」


コウタは隣に伊織がいるのが嬉しくて、微笑んだ。


伊織はコウタの肩を抱いて引き寄せる。

そしてコウタの頭に頬をすり寄せた後、少し考えたような間の後口を開いた。


「…コウタ、実はさっきから思っていたことがある」


「なんですか?あ、」


伊織はコウタの腕を取るとガウンの袖を捲った。


「これは、『強く握られたアザの痕』だ。お前を痛めつける奴がいるんだな?」


いきなり全部見透かされていて、コウタは一瞬頭が真っ白になる。


「い、いえ。これはぶつけた痕です」


「違う。見てみろ。こう握るとこういう痕になる」


伊織はアザの痕の上から痕にそってコウタの腕を握る。


「こうでなければつかない痕だ。体も見せてみろ」


「えっ…体って…」


「ガウンを脱いでみろ」


伊織が真面目に見つめてくるので、コウタは座ったままガウンをはだけさせて上半身裸になる。


「…だいぶ薄くなっているが、もっと多かったはずだ。そしてこの位置は外にぶつからないから、意図的に暴力を加えなければアザはできない」


確認すると伊織はまたコウタにガウンを着せた。


「他の客のことは個人情報だ。お前には守秘義務のがあるのは分かっている。ただ、お前がそういう目に遭っているのかと思ったらいたたまれなくてな。今日会った時からずっと気になっていた。…無理に脱がせたりしてすまない」


伊織はすまなそうに再びコウタの肩を抱いてコウタの頭に頬を擦り寄せた。愛しい、という感情を感じる優しい仕草だった。


「はは…伊織さんにはお見通しですね。もう隠しても、仕方ないか。

確かに、暴力を与えながらセックスするのが好きなお客様がいます。ここ最近は俺ばかり指名されてましてね。ここまでアザが残ることは今回初めてです。店の支配人がクレームを言ってくれたので、きっと次は手加減してくれると思うのですが」


話をしながら、肩を抱く伊織の手に力が入っていくのが分かった。


「ふむ。危険だな。性行為中の暴力を興奮剤として好む人間が一定数はいるが、事故率も高い。手加減を知らなくなるとさらに要注意だ。その客はストッパーが外れてきてるようだな。お前の体のアザがいい証拠だ。」


コウタは下を向く。体が無意識に震えた。


「俺に任せておけ」


「え?」


「お前を乱暴に扱う人間をお前から引き離す。それくらい造作ないことだ。」


コウタには何が造作ないことなのかさっぱり意味がわからない。


「で、でも、相手はマフィアですよ?下手なことをしたら伊織さんの身が危ないです!伊織さんに何かあったら…!」


コウタが真剣に伊織の顔を見上げる。


「大丈夫だ。言ってなかったが、俺もマフィアだから」


「は?」


店に登録されてる身分証には「経営コンサルタント」と書いてあったのに、伊織はサラッと身分詐称をバラす。


「おおかたお前のところのケツモチの組織の人間だろう、その客は。でなければとうに出禁にしてるはずだ。まあ、大したことのない中堅の組織、どうとでも出来る。お前は何も心配しないでいつも通り生活していればいい」


そう言うと伊織は、180近くあるコウタの体をいとも簡単にひょいとお姫様抱っこで持ち上げると、ベッドに運んでいく。


(わ、なんて力…!

いつもこうやって俺のこと運んでたのか…)


コウタはびっくりして伊織の首にしがみつく。


伊織はベッドにそっとコウタを寝かせると、ガウンを脱いでコウタの足を持ち上げた。


ベッドがギシッと音を立てる。


「っ…伊織さ…」


こんなこと、仕事なら当たり前なのだけど、今まで何もしていなかった伊織が急にそんなことをしてくるものだから、コウタの胸は早鐘のように高鳴る。


伊織はコウタの持ち上げた足のふくらはぎに軽くキスをする。


「んっ…」


いつも優しい目の伊織が、


今はまるで飢えたオスのようなギラギラした目をしている。


そんな目を見ているだけでコウタはまるで全身が性感帯になったみたいに敏感になる。


「本当は…お前には、手を出さないつもりだった。俺といる時間はただゆっくり過ごさせたいと思っていた。

…でも気が変わった。

お前の体に上書きをする。もう2度と恐ろしいことを思い出せなくなるくらいに」


伊織はコウタのガウンをはだけさせると、その胸のアザの痕にキスをする。


「俺は甘やかし尽くして俺無しではいられないようにさせるのが好きだ。嫌だと言ってもやめないから、覚悟しろよ?」


そんな言葉を吐くには表情が優しすぎる。全然乱暴じゃない。たまらなく優しい。


コウタはもう涙が溢れそうな目で伊織を見つめたまま言う。

 

「…はい…!」


「よし、いい子だ」


伊織のキスが降りてくる。さっきよりもいやらしく、舌が絡み合う。


「んふ…ん…はぁ…っ」


M字に足を開かれたまま覆い被さる伊織。下着の上から硬くなったそこが触れ合う。


(え?なにこれすごい大きい…熱い、気持ちいい…)


「どうした、腰が動いてるな。欲しくなったか?」


「ん…欲しいです…伊織さんの、これ…」


コウタは手を伸ばしてするりと撫でる。伊織はわずかに眉根を寄せて吐息を漏らす。


「フフッ、まだだ。まだ甘やかしたらない」


伊織はコウタの体じゅうにキスをする。


身体中が性感帯みたいになってしまったコウタはその度に甘い声を漏らす。


「まだキスしかしてないのに、こんなに敏感になって…コウタ…」


「あっ!あっ!…ハァ、噛んじゃ、だめ…」


伊織がコウタの乳首や首元を甘噛みするとコウタの体が痺れたように震える。

今にも涙が溢れそうな目でコウタは言うけれど、本当はだめじゃないのを伊織は分かっている。


「…誰にも見せたくないな、お前のそんな顔」


甘噛みするたびにピクピクと反応するコウタのそこをいとしげに優しく扱きながら伊織は言う。


もうこれ以上されたら我慢できない、と言う絶妙なタイミングで、伊織は今度は甘噛みをやめてレロ、と首筋を舐める。


「ひゃ…!!は…」


レロレロの舐めながら次は耳を舐める。


クチュ、グチュ、じゅぽ…と耳元で響くいらやしい水音。


「あ、あん!そんな、ダメ、です…!」


「ダメなのか?こっちはすごく気持ちよさそうだが」


カウパーでヌルヌルになったコウタのそこは、もうギンギンに硬くなって伊織の手でグチュグチュと扱かれている。


伊織の手は大きくて熱くて、コウタはもう気持ちよさで頭がおかしくなりそうだ。


「はぁ、だめじゃ、ないです…」


「ふふ、かわいいな…コウタ」



そんな感じで伊織は絶妙にコウタをイかせない程度に、長い時間をかけて身体中をトロトロにしていく。


しばらくするとコウタはもう完全にトロけきっていた。


「もうやだ、伊織さんのがいい。もう、指でぐちゃぐちゃしちゃ、だめ、だめぇ…」


「んー?だいぶ溶けてきたな。もう一本入れてみような。もう少しゆっくりほぐしてやる」


伊織の太くて長い指が2本、コウタの中に入ってくる。


「はぁっ!!も、もうおかしくなりゅ、んああ!」


「ん。でも気持ちいいだろ?お前、すごい気持ちよさそうな顔してる。もっとリラックスしていいんだよ」


確かにずっと気持ちいいところを刺激されて、これはまるでマッサージのようだ。時間をかけて心も体も解き放たれている。


「んあ、ああ、伊織さん、中、もうトロトロだから…もう、もうお願い。伊織さんのくださ…っ」


回らない頭で必死に欲しがるコウタ。伊織は優しく指を抜いた。


「分かったよ。いい子だ、いっぱいほぐれたな。」


伊織はコウタに優しくキスをすると、コウタのそこに自分のものをあてがう。


「…入れるぞ」


ズン、と重い痺れるような感覚と後にびっくりするような快感が走る。


「ああああっ、いおりさ…」


ズッ、ズッとゆっくり動きながら、伊織はさっきより余裕がないような様子で少し眉を寄せながら、優しくコウタを撫でる。


「大丈夫か?」


「はい…こんな、きもちいの、はじめて…」


行為をするのが仕事だから、大丈夫か?なんて声をかけられたことなんてなかった。


こんなに気持ちいいのは伊織のものが規格外だということもあるけど、


じっくり優しく体をほぐしてくれたからだろうとコウタは溶けた頭の中で思った。


「ひゃんっ…!!深いよぉ…!!ああ、ああんっ!!」


「くっ…すごいな、絡みついてくるようだ…コウタ」


逞しい腕で抱き起こされて、大きな胸に抱かれる。


「おっ…!!おあ…っ!!中、なか、ぐちゃぐちゃになっちゃう…!!」


そのまま怪力な伊織に対面座位で上下に突き上げられる。


「あ〜…お前の中、気持ちいいな…すまん、止められない」


「ひっ…!!そんなしたら、出ちゃ…っ!!ひぃっ…」


上下の動きが早く激しくなる。


もうコウタの快感は限界だった。


「あああ、出ちゃう…!!!でひゃう、んあ、イッちゃう、伊織ひゃ、ん、んん♡」


「コウタ…コウタ、かわいい…」


伊織とコウタは絡みつくようにキスをする。お互いの体を貪るように。


「んはぁっ…あっ…!!」


激しく上下に突かれながらコウタは達した。