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いわぶち動物病院

輸血について

2024.07.01 02:42

ちょっと輸血に関して書いて見ようかと思います。


まず、輸血というのはあくまで対症療法で、一時的に外から血液を入れ、その間に病気を治す必要があります。


ただし、まず初手から、人間と異なり、ドナー(血液をくれる方)を見つける。

見つけた上で、血液型が問題ないかを調べる必要があります。


ちなみに、現場で明確な血液型を調べている余裕は無いため、クロスマッチテストという、お互いの血を混ぜても固まらないことを確認するテストを行います。


また、これが特殊で、クロスマッチテストが問題なく、輸血したとして、2週間後には血液型が合わなくなっていたりします。

単純な血液型とは異なる、ということです。


そして次の段階。

輸血した血液はワンちゃんの場合、一番若い赤血球でも112日しか生き残れないんです。

つまり、輸血の理由が免疫介在性溶血性貧血とか、出血であった場合、体内に入れた血液が死んでしまう前に、病気の根本的な治療を行う必要があります。


ただし、輸血そのものも全く安全なものではなくて、体内に異物が入ったことによるショック症状、体に入った赤血球が壊れていくことによる副反応、他にも色々な問題が存在します。

中には輸血をした途端、アナフィラキシーショックを起こして死亡する、という例も存在します。


また、中には輸血が延命にしかならない病気もあります。

例えばワンちゃん、猫ちゃんのリンパ腫、白血病は抗がん剤治療法をしても、完治することがありません。

人間のように、完全無菌室、骨髄移植が不可能だからです。

一応、治った様にみえる状態まで回復すると、それを「寛解」と表現します。

ほぼ確実に再発が約束された治癒状態ですね。

あくまで、輸血、抗がん剤治療は延命のためであり、治療を続けるかどうかは飼い主さんの意思に任せることになります。


輸血により確実に生命を維持できるわけでは無いことを理解しておかなければいけないでしょう。