私のものさし
2024.06.02 03:11
以前、ウィルスは悪魔か天使かというNHKの番組を見ました。人類はこれまでウィルスに感染した際に得たいくつかの能力があることが分かってきました。例えば胎盤が大きくなり出産の安定をもたらしたとか、肌のバリア機能、脳の発達等。つまり、ウィルスには悪魔の面だけではなく、天使の一面があるということです。しかしその「悪魔」と「天使」は誰基準かというと人間です。ずいぶん前ですが、西本願寺の南隣にある興正寺(真宗興正派の本山)さんの掲示板に、「私のものさしで問うのではなく 私のものさしが問われているのである」と書かれていました。自分に都合が悪いものを「悪魔(悪)」とし、都合が良いものを「天使(善)」と考えますが、当然絶対的な善悪ではないのです。仏の眼を持たない私は、どこまでも自己中心の「ものさし」で計り、勝手に決めた虚仮(うそ偽り)の「善悪」に一喜一憂する迷いの存在なのです。つまり仏教とは、「私のものさしそのもの」を問題としている教えなのです。