第15回浜松読書会レポート(執筆者・山本三津代)
【猛暑】【酷暑】と言う言葉を聞かない日がないくらい夏の暑さを満喫させられている日々ですね。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
去る6/24(土)に快晴の浜松にてアジェイ・チョウドゥリー『謎解きはビリヤニとともに』(青木創:訳/早川書房)を課題書に、久方ぶりのリアル読書会を開催しました。数年ぶりの対面式とあって、世話人も心中ドッキドキでしたが、参加者全員お元気な姿で集合してくださり、まずは一安心。今回使用した和室もこの数年の間に全面的リニューアルをして、畳を始め諸々の設備が新品になってました。部屋全体が明るい雰囲気だと、気持ちも明るくなりますね。
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そんなこんなで、読書会スタート。初参加の方もいらっしゃるので、まずは簡単に自己紹介をしつつ、ジャブ程度に感想発表。
「コージーっぽいと思ったら、違ったわ」
「私は【The Waiter(原題)】(給仕)だし、『黒後家』っぽいのを想像した」
「インドミステリかと思ったら、まずロンドンで、あれっ?てなるしね」
「もう少しコメディ色があるのかと思ってたら、ビターな読後感で、むしろハードボイルド」
今回の課題書『謎解きはビリヤニとともに』はどうやら邦題からの想像と実際の内容が違う!と思った方が多かったようです。表紙もコミカルなイラストだったので、内容への想像がそちらに傾いたのかも。
「時間や土地が全く違う設定の二部構成仕立てのミステリが好きなので、そこがよかった」
「インドとロンドンの事件が意外に時間差なかったよね」
「過去といっても数ヶ月だから、余計にカミルの落差が気になった」
「インドのカミルは坊ちゃん丸出しで、かなり傲慢だよね」
「いやぁ、若いなぁ…と思った」頷く人多数。
「正義、正義って言い過ぎ」
「そう!その割にはあのラスト!!」
「カミル、お前の正義は軽かった(カルカッタ)」と、名言が出るほどに、ロンドンのカミルは少しは成長してるのか?についてひとしきり盛り上がりました。さらにロンドンでの事件の解決方法にモヤッと感じた参加者が多めだったこともあり、各自のモニョるポイントについて意見があれこれ飛び出しました。
カミル以外の登場人物ではチャキチャキしたロンドン育ちのインド女性、アンジョリの人気が高かったです。彼女とコルカタのレストランで食事をする場面が最高にイイ!カミルの好意がダダ漏れで!とロマンス読みの参加者から興奮気味の発言が。そこからカミルとアンジョリの関係、宗教の違いについてや外国育ちの子どものアイデンティティについてまで、またわいわい盛り上がり。
課題書に入国管理絡みの場面があったので、移民問題、就労ビザ、差別についても意見が飛び出し、本当に読者によって視点は様々だなと改めて感じました。
「再読したら、伏線が細かくはられていて、改めて気付きが多かったし、スゴいなと感じた」と、伏線回収について話題が移った時に「 そういえば、○○はどうなったか書いてありました?」とある参加者から質問が。
「インドの事件のアレだよね」
「まさかの未回収案件!?」
電書派の皆さんが一斉にキーワード検索をするも見つからない。
「……続編出てるらしいし、回収持ち越した可能性、とか?」
「かもしれないので、次回作に期待。翻訳されたら、まずは○○の謎を要確認しよう!」と全員一致で第二弾の翻訳を待つことに。
最後に恒例の《次に読むならこの1冊》を上げてもらいました。
「カルカッタの殺人」「帝国の亡霊、そして殺人」「ブートバザールの少年探偵」「ぼくと1ルピーの神様」「6人の容疑者」「本おじさんのまちかど図書館」「囚われのアマル」「ボンベイのシャーロック」etc.
もう絶版してるものもありますが、この夏の読書の参考にどうぞ。
次回の浜松読書会は11月辺りにまた対面式を計画しています。日程と課題書が決まったら、X(旧Twitter)、シンジケートサイト、翻訳ミステリー読書会サイトでお知らせしますので、よろしくお願い致します。
浜松読書会世話人 山本 三津代(@nirokuya)
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