赤と緑
https://www.fct.co.jp/press/local_news_16280377314107 【赤と緑は区別がつきにくい?「色のユニバーサルデザイン」を考える|SDGsリポート】より
赤と緑は区別がつきにくい?「色のユニバーサルデザイン」を考える|SDGsリポート
■「赤い色が見えにくい」人がかなり多い
まずは下のカレンダーの写真を左右で見比べてください。
左側は多くの人の見え方。右側は色の区別をしにくい人による見え方のシミュレーションです。ピンク色や赤色でデザインされた部分は赤みがなくなり、日曜や祝日も平日と同じような色に見えてわかりにくくなっています。
日本にはこうした色の区別をしにくい色覚特性の人が300万人以上いると言われています。特に男性に多く、日本人男性の約5%(20人に1人)が該当するそうです。この数字をみなさまはどう感じるでしょうか?
また、色の区別をしにくい人にとっては、日常生活への影響だけではなく命に係わることにも影響がでかねません。下のトリアージタッグの写真をご覧ください。
大規模な災害などで多数の傷病者が同時に発生した場合、傷病者の緊急度や重傷度に応じて適切な処置や搬送を行うための傷病者の治療優先順位を決定するために用いられる「トリアージタッグ」。右のシミュレーション写真から、色を区別しにくい人からは、赤と黒や赤と緑の組合せがほとんど同じような色に見えているのが分かります。もし、暗い場所で色を区別しにくい人が治療の優先順位が最も高い赤を残して切り取ったタグを見ると、手遅れの黒だけが見えてしまい治療の優先順位を誤認してしまうかもしれません。1分1秒を争う人命救助にも直結する色の問題。誰もが危険度を認識できる色の使い方を知ることが、とても大切だと言えます。
■色のユニバーサルデザインをテレビ放送にどう生かす?
そうした中、福島中央テレビSDGs推進チームでは「色のユニバーサルデザイン」をテーマにした社内研修会を行いました。テレビ局ではテレビ放送の文字テロップはもちろん、ウェブサイトでの情報発信やイベント運営管理など様々な場面で「色のデザイン」を用います。研修会には社内のスタッフ約50人が参加し、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念のもと、色の区別がつきにくい人もそうでない人も、みんなが見やすいテレビ番組制作やウェブページ制作、イベント運営を行うための基礎知識を学ぶ機会となりました。
講師は、国内唯一の色彩の総合研究機関=一般財団法人「日本色彩研究所」で研究員を務める名取和幸先生。人の身体になぜ色覚異常が起こるかや色覚異常の人はどのような色が見えづらく感じるのかなどを説明。
「テレビ放送で赤い色を使用するときには注意が必要です。注目を促すための目立つ色と考えるかもしれませんが、色の区別がつきにくい人にとって、赤い色は地味で気づきにくい色です。特に、緑の中にまぎれた赤を見つけるのがとても困難です。」と話す名取先生。大きな地震が発生したときにテレビ局が伝える速報ニュースを例にとり、「赤い色を使用するときには、赤に黄色を足してオレンジ寄りにすることで見やすさは改善されます。」と説明されました。
■「色のユニバーサルデザイン」を知り意識を変えることから始める
研修会に参加したスタッフからは「日本人の約300万人以上が色の区別をしにくいということを初めて知った」「色の区別がつきにくいということ意識して情報伝達に活かす必要がある」「災害時など重要な情報を伝えるときには、色のユニバーサルデザインの考え方を意識することが重要」といった感想が上がっていました。
一方、講師の名取先生によると、こうした色のユニバーサルデザインの考え方は日本発の概念で国内でも海外でもまだまだ認識が広がっていない現状があるとのこと。そうした中、日本色彩研究所などが様々な啓蒙活動を行い、社会の様々な場面で変化もみられています。一例を紹介すると、教育現場などで多く使われている水性マーキングペン「プロッキー8色セット」(三菱鉛筆)もそのひとつ。以前は8色セットの中に「桃」色がありましたが、色の見え方のタイプによっては「水色」と区別がつきにくい色でした。そこで色のユニバーサルデザインの考え方を取り入れて、オレンジ寄りの「ソフトピンク」に変えることで、色と区別がつきやすいセットになったそうです。
こうした、色のユニバーサルデザインを知るためのアプリも開発されています。「色のシミュレータ」もその一つで、アプリを使用することで様々な色覚特性を持つ人の色の見え方を体験することが可能です。今回、この記事に挿入しているシミュレーション画像も「色のシミュレータ」というアプリを使って作成したものです。
講師の名取先生は「様々な立場の人がいることを、お互い思い合う気持ちが必要」と話します。私たちが今後、テレビ放送の文字テロップや画面デザインを考えるとき「色の区別がつきにくい人はどんな色に見えるのか?」と意識を働かせてニュースや地域の話題を伝えていく必要があります。そして、特に災害時などは色だけに頼らない情報伝達ができるように工夫していかなければならないことに気づきました。
筆者の私は編成進行部という番組広報に携わる部署で働いています。まずは、様々な立場の人がいることを忘れず、テレビコマーシャルやポスターなどでみんなに優しい普遍的なデザインを目指していきたいと感じました。みんなに優しい社会づくりを目指して、是非、これを読んだみなさまも「色のユニバーサルデザイン」について知っていただければと思います。
https://acuvuevision.jp/gimon/vol05_2 【視力検査の最後に、緑と赤のどちらがよく見えますかという質問をされますが、何を調べているのですか?】より
これは、「レッドグリーンテスト」や「赤緑テスト」「二色テスト」などと呼ばれる検査で、 コンタクトレンズやメガネの度数が適正かどうかを確認する検査です。
光がコンタクトレンズなどのレンズを通ると、色の種類(光の波長)によって屈折の角度が異なるため、焦点を結ぶ位置がズレます。これを「色収差」と呼び、「レッドグリーンテスト」は、この光の特性を使った検査です。
基本的には、赤と緑が同じようにハッキリ見える場合、または赤が強くハッキリ見える場合は、モノを見るのに目が疲れにくい状態で、適正に視力が矯正されていると判断します(①)。
緑がハッキリと見える場合は、目が疲れやすい状態のため、度数を変更します(②)。