気になる言葉「ステルスマーケティング」
1.ステルスマーケティング、略して「ステマ」
<景品表示法違反>
これは、商品の広告宣伝に際し、有名人や一般大衆を使い、あたかもその商品が優秀有益であるかのごとく見せかけ、一般大衆の購買意欲を描き立たせるための手法がありますが、それが事業者側の作為ある手法(広告表示がない・一般大衆の口コミであるかのような表示)で行われていることが分からないように表示されていることを言うのです。
これについては、景品表示法により、2023年10月1日から、規制対象となりました。下記消費者庁HPで、発表されています。消費者庁HP「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/2.条文
今回令和6年6月6日、消費者庁が初の行政処分をしたのが東京の医療法人社団佑真会が、自社のgoogle上での口コミに、高評価の投稿をすることで、インフルエンザワクチン割引をしていたという事件。これら45件の投稿に対し、削除を命じた。
(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
※赤線は弊所記入。詳しくは消費者庁HPで検索してください。
3.過去の事件
2012 食べログ事件〈焼き肉チェーン店会社が、大手飲食店に対し、優越的地位濫用とし
て、損害賠償請求した事件➨東京地裁一部賠償認可)
2019 ウォールマート事件(アメリカテキサス州のスーパースーパーウォールマートで、銃
乱射事件。PR会社による偽ブログを使ったステマ)
2019 映画「アナと雪の女王2」事件(ディズ二―ジャパンによるステマ事件。映画公開後
のtwitter上での感想漫画投稿と同時に同じタグによる感想漫画投稿に対する事件)
2020 ソニー・デビット・マニング事件(米ソニーピクチャーズエンターテイメント会社が
存在してもいないデビット・マニングと言う架空の評論家による映画評論の捏造事
件)
4.「さくら」との違い
要は昔からある「さくら」の事でもありますが、例えば、渥美清主演映画の「男はつらいよ」で彼が演ずる露天商のシーンでは、相棒役の虎ちゃんが一般大衆として寅さんの売る商品をあたかもいい商品という触れ込みで買う客を演じる場面が「さくら」ですが、客は一部の面前の人たちです。このように「さくら」は対象が、特定的であるのに対して、ステルスは、世界中の人が対象となるのがネット上なので、範囲が広すぎると言う違いがあります。
最後に
しかし、ネット上の口コミは、商品や企業の評価になるので、誰もが選択の際に参考にしたくなる情報です。故に、噓や大げさも多いし、消費者の購買力にとてもシビヤになりやすいものです。勿論その選択如何は消費者に最終任せられますが、過度なやり方のものは、上記法律により取り締まられます。