優季陸上物語 完
週末
中学陸上で一番重要な大会
そして YUKIの陸上競技引退日
第70回
全日本中学校通信陸上競技大会 山口県大会
中学最後の大会
YUKIは参加標準記録を突破し
「共通女子100mハードル」に出場
さらに
最後の陸上ということで
1年時の頚椎の怪我以来、辞めていた
「共通女子四種競技」にも出場
とてもハードな2日間を戦い抜くことに…
身体と環境を言い訳にしてたらキリがない…
与えられた身体特性、条件、環境のなかで
どう工夫し、何をどう積み重ねていくか…
大会当日までの3週間
ただでさえ相当タイトなスケジュールの中
毎日、特別特訓を…
土砂降りの日も
誰もいなくても
雨に打たれながらも
気温40℃の日も
学校や仕事や諸々こなしながら
常に限られた時間の中で
親子でなんとかやりくりしながら
(日々時間との戦いで本当に大変でした…)
色々な場所と環境で
身体的なハンディは仕方ない
与えられたものの中で最大限
最善を尽くす
正しい方向性で、やり方で、量で
努力する…
筋や神経はなんとかできても
骨格自体は手術以外どうしようもできない
可能な限りの対策を打ち
いかに、過去の自分を超えていけるか…
毎日、小さな改善をどう重ねていくか
課題を理解し
良いイメージを身体で表現できるように
常に小さな一歩一歩を 着実に愚直に誠実に
来る日も来る日も
地道な改善の繰り返し…
何度も挑戦して
何度も失敗して
うまくいかないことのほうが遥かに多い…
関節や筋肉の負担と痛みも
ギリギリのところで…
なんとか1日1日を乗り越えながら
リハビリ、トレーニング、ストレッチ、ケア、アイシング、テーピング、食事、マインド…
故障ギリギリのラインで
心身と攻守のバランスを図りながら
陸上競技を辞めるからこそ
最後、悔いが残らぬように…
そうして迎えた
通信陸上 大会1日目
朝は土砂降りからのスタート
レース前ギリギリに 雨が落ち着きはじめ…
直前練習では
これまでの練習の積み重ねが
全く報われないのか… と感じてしまうほど
跳べない…
ただ、もうここまできたら
いかなるピンチであっても
たとえうまくいかなくても
すべて本人に任せ
YUKIを信じる
最善は何かをいつも自分で考えて
乗り越えてきたYUKIを信じる
過信でも期待でもなく
ただ無条件に信頼する
共通女子四種競技100mH
決勝タイムレース1組目
スタートから勢い良く1台目へ突っ込んでいき
1週間前も、3日前も、前日も、
直前練習も跳べなかった4台目の壁を
颯爽とクリアしていき
断トツ優勝候補の選手に
そこまで引けを取らない立派な走り!
先頭に食い下がる気迫の走りで、自己最高の初の8台目まで3歩で跳び超えていき
数ヶ月ぶりに見る、最後まで勢いのある走り
組2着、総合3位! 順調な滑り出し!
四種競技2種目目
2年ぶりに、ぶっつけ本番の「走高跳び」
直前練習ではまたも成功していなくて
記録無しになるんじゃないかと心配していけど…
いきなり初めてのハサミ跳びで
見事に一発成功!
次の高さも、その次の高さも成功‼︎
自己ベストを更新‼︎
背面飛びにも挑戦
予想を超える本番の強さで、
走高跳び総合3位!
ハードルを走り終えたあと、
高跳びの前からシンスプの痛みが再発
一晩、徹底的にケアをして
2日目に臨ました…
通信陸上 大会2日目
足の痛みで踏切の踏ん張りが効かず…
またも跳べず、、、
レース直前、仁王立ちで何やら思案中… w
共通女子100mH 予選全3組 1組目
この数ヶ月、次々と速い選手が現れ
県大会は全て予選落ちが続き…
最近始めた同級生にも後輩らにも
余裕で追い越され…
見るに堪えないというか
可哀想だと思いながらも、仕方ないこと…
正直、残念ながら
実力的には、決勝にはいけない…
だから、
YUKIの本番の強さと運の強さで
〝奇跡″ を信じて
最後のハードルに挑戦
とにかく、痛みを我慢し
勇気を出して鋭くハードルへ突っ込む
またも8台目まで3歩で走り切り
最後まで自分の力を出し切って
組4着でゴール
前日よりも更に0.2秒速く、
自己ベストを更新‼︎
そして
全3組が終了
結果、
9位の選手に僅か0.05秒差で競り勝ち
まさかの、総合8位で決勝進出‼︎‼︎
YUKIの本番の走りっぷりと強運に
感動しました…
アイシングとマッサージを少しだけして
休む間なく、すぐに砲丸投げの召集へ
四種競技3種目目
これまた、ぶっつけ本番の「砲丸投げ」
炎天下の中、
小さすぎる指と手のひらで
なんとか砲丸を持ち
イメージトレーニングだけで臨んだ本番… 汗
なかなか良いフォームで
なんか妙に、勇ましい… 笑
一投目からしっかり飛ばして
更に、最終3投目で大きく記録を伸ばし
自己ベストを大幅に更新‼︎
大きく順位を落とすのは仕方ない、
と踏んでいた一番苦手な砲丸投げで
予想を遥かに超えて、まさかの3位‼︎
砲丸投げが終わって10分だけアイシング
(その間も、普段通り小説を読んでる… )
そして、またもやすぐに
共通女子100mH決勝の召集へ
陸上競技をしている選手にとって
トップ8 ファイナリストとして
決勝の舞台で走れることが
どれだけ嬉しいことか…
カラダはボロボロでも
走れる喜びを噛みしめながら
YUKIにとって人生最後の100mハードル
ハンディを抱えながら
小さな小さな体で挑戦し取り組んできた
ハードル競技
転倒も、怪我も
怖さも、難しさも
全部ぜんぶ乗り越えて
最後は存分に楽しんでほしい…
寂しいけど…
最後のハードルを
自分のために
スタート直前
YUKIがジョウロ… 笑
みんな見てる、、、 笑
(シュールな姿を…)
(指がちっちゃくて皮が薄いから尚更、スタートでタータンに手を付くと火傷してしまうので…)
このシーンはまさに
2年前に見たことある光景… 笑
(トウゴのジョウロ ↓ 2022.8 )
小学5年生からハードル競技に挑戦して
どれだけ沢山の練習を積み重ねてきたか…
実際、
何年も練習してきて、未だに最後まで3歩で走れないYUKIに比べ、
ハードル始めたばかりでいきなり10台全部3歩で行ける選手たちも普通にいて、
後から始めた同級生や後輩らに次々に抜かれていって…
それでも
なんとか最後の最後で
ギリギリ決勝に滑り込んで
ハードラーの意地を、
YUKIの勝負師としての底力をみせて
この決勝の舞台にしっかり立つことができた
共通女子100mH決勝 第9レーン
スタートからゴールするまで
過去最高のスピードで駆け抜けていきました
最後のレースで
中学3年間で最も速い記録で走り
自己ベストを更新‼︎‼︎
決勝8位入賞
他人に勝てなくても
過去の自分を確実に超えて
とても立派に
最後まで駆け抜けていきました…
最後の最後まで
自己ベストの記録を更新するところが
ほんと、YUKIらしい…
マジで凄いよ…
そのまますぐに移動し
YUKI 人生初の競技場内での表彰台!
(コロナを理由にここ数年間
ずっと表彰式が無くなっていたので…)
100mハードル8位入賞‼︎
本当におめでとう‼︎
最後まで障害と向き合い
最後までしっかり
自分自身のハードルを跳び越えていきました
そしていよいよ
2日間の大会を締めるプログラム最終競技
YUKIは6本目の競技… 汗
女子共通四種競技 200m決勝
灼熱の炎天下
関節も靭帯も筋肉も
疲労困憊の中
最後の力を振り絞って…
優季の陸上競技、ラストラン
多くの感謝を込めて
ピストルの号砲とともに一気に加速
格上の選手らに負けず、喰らいつく…
上位メンバーは横一線
5位から4位に上がり
更に前を追って
更にスピードを上げて、4位から3位へ
向かい風-1.0の中、大幅に自己ベスト更新‼︎
全ての競技で自己ベスト更新の快挙!
どう頑張っても勝てそうになかった強豪選手3名のうち、一角を崩し
共通女子四種競技 総合3位入賞‼︎‼︎‼︎
中学3年間で、県大会初めての
堂々の3位表彰台‼︎‼︎ 🥉
(本来なら通信陸上で3位入賞したら山口県代表選手として中国大会に出場できるけど、四種競技だけ過去の大会も含めたランキングで決まるとの事で、過去出場していないYUKIは僅かにポイントで負けランキング4位により出場できない、という… 残念すぎる結末)
(向かい風-1.0でなければ普通にあと0.5秒速く走れていただろうから、ポイント的にも中国大会に行けていたと思うけど、スポーツの世界にタラレバは無いので、現実を受け入れるしかない、仕方ないこと…)
とにかく
出場した2種目とも決勝に残り入賞するのは
本当に凄いこと…
最後の最後まで、優季らしさ全開で、
悔いなく全力を出し切りました
動ける身体を持ってること
スポーツをやっていること、続けてきたこと
この大会の標準記録を切れず
出場できない選手が沢山いる中で
怪我や棄権せず出場できたこと
決勝に残りたくても
ほとんどの選手が予選落ちする厳しい世界
一部の笑顔の選手の裏には
悔し涙を流した大勢の選手がいること
すべての選手が
一生懸命に練習を頑張ってきたこと
そしてそのすべての選手の陰で
思春期の大変な我が子らをずっと
忍耐と愛情いっぱいに
どんなときでも支え
誰よりも心配し励まし応援し続けてきた
親やサポーターがいるということ
子も親も
どんな記録と結果でも
誰もが堂々と
自分たちは共に良く頑張ってきたんだと
讃え合うことがとても大事
そのことを忘れずに
みんな大切に…
選手の笑顔と涙の裏には
本当に多くの人の想いと献身がある…
実は、、、
シンスプ(脛骨過労性骨膜炎)が酷く
歩くのも痛い時もあって
今回も、右足首が2日間ずっと痛かったことを誰にも言わず内緒にしていた、との事
ギリギリのところで
自分自身が決めた目標の記録と順位を
見事に達成
有言実行で
最後の花道を飾りました
何十回も走ってきた競技場とお別れです…
これまで、どの大会でも駅伝でも
本番の勝負強さに何度も驚かされた
あの躍動感あるYUKIの姿を
もう生で見れない
と思うと、とても寂しいけど…
続けることも良いこと
辞めることも良いこと
スポーツでは飯は食えない、と
将来や学歴や評価のために本音や感情や心を無視して、かけがえのない〝今″を犠牲にする考えはどうかと思うし…
逆に、変に執着してその小さな世界や業界から離れられないまま頑固な大人になっていくのもそれはそれでイタいし…
人生の彩りも味わいも、世界も、
もっと広くて大きくて深い
その時その時を一生懸命に挑むことと
楽しめること
0.1秒を削り出す勝負の世界も
競わず純粋に
生涯を通じて楽しむスポーツの世界も
どちらもマル
ぜんぶ自由
次の楽しいこと
ワクワク挑戦したいことに向かって
新たな障害を一つ一つ乗り越えながら
自ら動くことで、走ることで、
風を待つのではなく、自ら風を起こして
陸上生活で学んだことを、経験できたことを
これからの生活に、人生に、役立てて
時に立ち止まりながら、休みながら
優季にはこれからも、
颯爽と生きていってほしい
自分で考え、自由に、自分の道を
自分の人生を、おもいっきり
小学2年生から8年間
本当にたくさん走ってきた
短距離から長距離まで
本当に良くがんばってきた
ロード2km、3km、4km、5km
駅伝もマラソンも
クロスカントリーもリレーマラソンも
100m、200m、400m、800m、1000m、1500m、80mハードル、100mハードル、
4×100mリレー、走幅跳び、走高跳び、
砲丸投げ、三種競技、四種競技…
トラックではほぼ全競技に出場
陸上競技だけでも
本当に沢山の種目に挑戦して
股関節の病気と
身長や手足の短さのハンディを抱えながら
そして
本当に不器用で一つのことを覚えてできるようになるまでかなり時間がかかっていて、鈍臭くて、粗相も多くて、、、でも、できるまで何度も何度も練習を繰り返して
(ユキちゃんは何でもできるから、と良く言われるけど… 内情は全然違うし、、、)
それでも
半端ない好奇心と挑戦心と継続力
度胸と勇気は、確かにある
本番めちゃくちゃ速くて強くて
何度も驚かされて
本当にたくさん感動させてもらいました…
遊ぶことを許されない息苦しい社会管理システムの奴隷にならぬよう、
自由な遊びを大切に
人類はすべてホモ・ルーデンス〝遊ぶ人″
遊びこそ人間の本質だということを忘れぬよう、スポーツも勉強も仕事も人生も
優季のこれからの新たな世界の扉を
自分の手で開け、自分の道を切り拓き
これからも
〝自分の人生″ を思う存分楽しんでほしい
優季
陸上、ほんとうにお疲れさま
全部親バカで手前味噌すぎなのは上等承知の上で
あえて言うわ
最高にカッコイイ、
とても素敵なアスリートでした
優季陸上物語 完
(お父さんの〝推し活″ はつづく… )