【コラム】西村龍馬 退団インタビュー
退団インタビュー
西村龍馬[LO]
「トヨタで可能性が広がった」
コカ・コーラから移籍して3シーズン。いぶし銀LOが、新たな活躍の場を求めてチームを去る。
「プレータイムがもう少し欲しい。今季の開幕戦には出られたんですが、後半になるにつれて出られない時間が多くなった。もともと今シーズン、試合に出られなかったらチームを出ようと思っていたので」
西村が先発したのは開幕戦と第2節。以後はリザーブが5試合。12節以降はスタンドから試合を見守った。課題は80分通してのプレーのクオリティ。それを克服しようともがいたシーズンでもあった。
「出られなくても学べるところはあったので、それは良かった」
トヨタではプロ選手としてプレーした。前チームでは社員だったが、業務の繁忙期は食事が規則正しく食べられなかったり、ウエイトする時間がとれなかったりと、コンディションの維持に気を砕いた。だがトヨタでプロとして過ごしたことで、身体も整えられた。
「ラグビーに集中できて、動けるようになって体重も増えたので、そこはすごく良かった」
宮崎・高鍋高校でラグビーを始めて専修大に進学した。サイズ、パワーに恵まれラグビーに慣れてからはほぼレギュラーの道を歩んで来た西村にとって、激しいポジション争いも初めて経験するものだった。
「これまで、あまり競争相手がいる環境ではなかった。ここに来て、“このままじゃ駄目だ”と考え方が変わった。トヨタでやれたからこそ可能性が広がったと思うので、そこは感謝しています」
コカ・コーラでは、最後のシーズンにキャプテンを務めた。トヨタで身近な選手のリーダーシップも目の当たりにしたのも大きな経験だ。
「ヒメ(姫野)さんはもちろん、聖人(古川)は僕より1個下なんですが、リーダーシップがすごい。ミライマッチのキャプテンを務めていたジョンチュ(梁正秋)さんも。これが本当のリーダーなんだと」
学んだことは多かった。西村自身、「こういう環境でやりたかった」と振り返る。自信をつけたからこそ、より試合に出たい気持ちが強まった。
「運動量は武器だと思うので、そこはこれからも見せていかないと。あとはフィジカル」
新たなチームで迎えるリーグワンに向け、オフシーズンもひとり黙々とトレーニングに汗を流す。