田中 信行
https://www.kanazawa-bidai.ac.jp/teacher/779/ 【田中 信行 - 教員紹介 - 金沢美術工芸大学】より
教員紹介 田中 信行 たなか のぶゆき Tanaka Nobuyuki 田中 信行
所属/担当 工芸大学院修士課程(工芸専攻) 大学院博士後期課程(美術工芸専攻)
学位 芸術修士 専門分野 漆造形表現
学歴/経歴 東京芸術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了
主な業績
■主な展覧会
2018-2019 「NOBUYUKI TANAKA―Urformen Primordial Memories―」
カイザースラウテルン美術館/ドイツ、ミュンスター漆美術館/ドイツ
■主な受賞
2003 第14回タカシマヤ文化基金タカシマヤ美術賞受賞
2012 第18回MOA岡田茂吉賞大賞受賞
■主なパブリックコレクション
東京国立近代美術館、豊田市美術館、金沢21世紀美術館、森美術館、広島県立美術館、国際交流基金、豊田町香りの博物館、資生堂アートハウス、金沢卯辰山工芸工房、樂翠亭美術館、メトロポリタン美術館/アメリカ、ギッターイエレン財団/アメリカ、ブルックリン美術館/アメリカ、ミネアポリス美術館/アメリカ、セインズベリー・ビジュアルアーツ・センター/イギリス、ビクトリア&アルバート美術館/イギリス、グラッシー美術館/ドイツ、湖北省美術館/中国、フィラデルフィア美術館/アメリカ、カイザースラウテルン美術館/ドイツ、ミュンスター漆美術館/ドイツ
学外活動
卯辰山工芸工房講師(1999年~)、日本文化財漆協会理事(2000年~)、日本漆工協会会員 (1996年~)、漆を科学する会会員(2000年~)、金沢市工芸協会会員(2004年~)、金沢市漆芸協会理事(2006年~)、第25、26回朝日現代クラフト展審査委員(2007、2008年)、伊丹国際クラフト展審査委員(2012年)、文部科学省大学設置・学校法人審議会専門委員(2012年~2016年)、国際漆展・石川審査員(2017年〜)、国際工芸アワードとやま審査員(2020年〜)
その他
■講演会及び講義、シンポジウム等
・京都造形芸術大学にて特別講義(平成16年)
・「アルス・ノーバー 現代美術と工芸のはざまに」シンポジウムにパネラーとして参加(東京都現代美術館 平成17年)
・広島市立大学にて特別講義(平成18年、27)
・韓国培材大学にて講演(平成19年)
・名古屋芸術大学にて特別講義(平成20年)
・東京藝術大学にて集中講義(平成22年)
・第一回湖北国際漆トリエンナーレ(中国 湖北省美術館)シンポジウムに参加
・東京工芸大学にて特別講義(平成24年)
・中国魯迅美術学院にて講演(平成25年)
・第4回跨湖嬌遺跡国際学術シンポジウムに参加(中国 跨湖嬌遺跡博物館 平成25年)
・多治見市陶磁器意匠研究所にて特別講義(平成26年)
・南京芸術学院特別講義(平成27年)
・中国美術学院特別講義(平成28年)
https://lighthouse-kanata.com/artists/nobuyuki-tanaka/ 【田中信行 - Artists - A Lighthouse called Kanata】より
田中信行 Profile
1959 東京都生まれ
1983 京芸術大学美術学部工芸科卒業
1985 東京芸術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了
現在 金沢美術工芸大学工芸科教授
2012 年秋。一睡もしないまま、直行便でロンドンから東京へ帰国し、降り立って直ぐに向かった先は東京近代美術館のオープニングパーティー。錚々たる顔ぶれが集まるなか、予ねてより憧れの存在であった田中信行さんの姿も。夜な夜な楽しい時が流れ、一次会、二次会、そして三次会へと夜は深まる。残った数名の学芸員や作家さんの間に、時差ぼけとは今も無縁の私。若さ故か、田中さんと熱く世界のなかの日本美術について議論した記憶がある。初めて会う人なのに、あの時思ったこと。「初めてとは思えない」、と。世界に対する視線。工芸という言葉に対するクエスチョン。日本の作家が向かうべき道。留めどなく話す田中さんに必死に喰らいつく私。あの時、試されていたのかな。
翌年、豊田市美術館で行われた田中さんの「漆の力」展。あれほど衝撃を受けた展示を見たことがなかった。田中さんの頭の中のスケール感に圧倒された。漆?工芸?現代アート?そんなの関係ない。田中さんは人と違う次元で戦を繰り広げているように見えた。いつの時代にも、先駆者は凡人を置き去りにし、ようやく追い着いたと思ったら、時すでに遅し。フロントランナーは立ち止まらず、もはや背中姿しか見えない。田中さんも同様。別次元の中にその好奇心も、その感受性も、その目先があり、電話で話しても、もはや意識は上の空。
負の遺産として残る西洋視点による固定観念の数々に、工芸という明治生まれの舶来の概念が今尚、正しく検証されないままに根付かせようという動きに首を傾げたくなる。しかし、工芸という言葉を根底から打ち砕き、西洋とは全く別の視点や文脈より生まれくる美術史の大切な1ページを刻み続ける田中さん。深見陶治さんが風穴を開け、その穴から壁そのものを木端微塵に。田中造形が持つスケール感、真美、思想はプラトン的な理想でもあり、時代という概念を超越した存在でもある。瞼を閉じれば、体内に眠る太古の記憶がいま、目覚める。
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「触生ー赤の痕跡ー」
漆が私の本能を刺激し、意識を原初へと導き、制作へと駆り立てる。
黒漆からは流れるような立ち上がった立体を、朱漆からは生の痕跡を塗りこめたような絵画的な表現を。
塗りと研ぎを繰り返しながら生まれる漆の表情は、人為を超えて私自身を、そして見る者を無意識へと誘う。
立ち上がった漆面は、鑑賞者を漆黒の闇に吸い込むかのように、日常と非日常の境界として空間に存在する。