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ulcloworks

経験値。

2024.06.12 10:35

知識とは、お客様の無理なndありがたいリクエストを可能な限り実現するためのチカラである。

一方で保身のために要望を頭ごなしに退けることができる諸刃の剣にもなるので、熱心なこのブログの読者の方々におかれましては、ここで得た知識を悪い方向に使っていないことを願うばかりである。そんな方はいらっしゃらないと思うが。


かく言う僕も、入隊直後は現場から上がって製造における物理的な理解がある状態でその知識を手に、客という立場を利用し仕入先をいじめる情弱モンスター改め無理難dありがたいリクエストをふっかけてくださる依頼者皆様を相手取り『諦めさせる』戦法を仕掛けて戦場を楽しんでいた。誇るべきことではない。その背中を見て多くの後輩たちが勘違いしてしまうことになるので改めるべき態度だった。

多くの立派な大人たちにたくさんお叱りを受け、禊は済んだ。


とは言え、やはりどこまで行っても物理的に無理なものは無理ってことがある。例えば定期的にポストしている両面針抜きワッフルの製品洗い後の乱寸を無くすこと。

この手の話はメンズやってる製造の方々はいつも悩まされるところだろう。この辺の相談は絶えない。

完全分業で責任の所在をメーカーに預けられている工場ならそれほど気にならないかもしれないがハサミを入れたら負けルールがあるので無視もできないのが現実だろうし、生地手配含めてOEMしてる場合は責任の所在が問答無用で全部自分たちに乗っかってくる。

生地屋さんからもらう試験データは良好でも実際に服にして洗うと全然違う結果が出てくるこの手の商材は頭が痛いところだろう。


理屈上、製品で洗って寸法のブレが大きくなるならば、生地で先に洗ってしまえば落ち着くと考えるのが普通だろう。これがそうそう上手くいかないのが莫大小。(なぜかは上記ポストの先に書いてるのでそちらをご参照


分業の歪みで責任感が分散している世界では、生地屋さんはこの手の生地に対して自分たちが保有しているデータを印籠に「こっちは悪くない」と押し通してくる人もいるだろう。問屋生地なら尚更、製造スキームをサプライヤー丸投げしている品番もあるので、そういうトラブルが起こり得るという想像力が働かないこともある。

誰もクレームを受けたくないので議論は平行線。最後には誰かしらが負うので、その金銭と感情の負債がメーカーと縫製と生地の対立構造を深めている。っていうのが、おそらく日々頻発していると思われる。(みんな仲間だぜ解決のために一丸となろうな


で、やっぱり知識は大事だねってことで色々勉強するんだと思う。最近ではネットで情報取れるし、事例を座学で学べるテキストも豊富だ。


個人的な所見だけど、ぶっちゃけ机上理論は、莫大小に関しては、あまり役立たない。いや、役立つんだけれども、理解度が追いつくかどうかは実際に色々経験してトラブルシュートした上でないとしっかりと身につかない。

世に出回っているテキストの言い回しは『〇〇法で云々』的なお堅い言葉が多い。それ現場に言うだけで解決するかって言えばあんまり通じない。結局ペーパー上で出る数字と結果が合わない時の方が多いイレギュラーがレギュラーな世界。起こっている一つのトラブルに対して原因が一個とは限らず複数要素がある可能性が高い。これは分業の弊害とも言える。


例えば上記例のワッフルの場合、生地ハウスデータが縦横-5%の縮率だったとする。

洗い後に指定寸法に上げるにはこの縮み率を入れ込んでパターン作成する必要がある。ここまでは普通にみんなやるし、理屈の上ではこれで成立する。

ところが、生地収縮のデータは正方形でサンプリングされる。洗い後目立ったシワを伸ばすなどある程度成形した上で、基本的には吊り干しで乾燥する。試験も品番代表色のみで結果を出していることが多いので、色ごとに染色時間差による生地の入り具合などは出てこない。つまり色ごとに縮率が違う可能性がある。

もっと言うと、在庫生地使用の場合、引き取った生地加工ロットが違えば仕上げ時期も異なるので条件が違う。これでハウスデータの信憑性はガクンと落ちる。


さらに服は正方形じゃないし、カットソーの製品洗いは基本的にタンブラー乾燥する。形もやり方も違うので生地でとったデータは無意味となる。


縫製サイドで解決するには、入荷生地各色が最低でも色でそれぞれ単一ロットである前提で、色ごとに先上げをして縮率差を出し、色ごとにパターンを作り直して量産が近道だけど、これは誰がその手配をしているかによって受け入れられない作業だったりするのであまり現実的な解決方法じゃなかったりする。


と、こんな感じ。各所みんながそれぞれに知恵を貸してくれないと、ホワイトワーカーの人たちは常に(´・_・`)状態になる。


様々なトラブルを紐解くには下手したら遡ること「この原材料の違いは〜」くらいのところまで行かなきゃいけないケースもある。そうなると僕の場合、時間と共に増えた経験値が一番信頼できるデータということになった。考え方のスタンスとしては、どうしたらきちんとした商品を納品できるか?つまり「お客様に喜んでいただくために何をするのか」を製造サイドで突き詰めていくと、素直に自分の無知を受け入れ、現場に足を運んで実際に行われている工程を目視して物理的に理解する。そして現場の方々に教えを乞う。この経験がしっかりと知識になっていくという実感。若かりしあの頃の僕に早めに教えてあげたい教訓(スタンスの方)である。