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砕け散ったプライドを拾い集めて

終い弘法

2018.12.14 03:35

【wording】

「いっぺん、終い弘法にお詣りしまほか。寒いころ、えり立てて、東寺はんの塔の見える下を散るように歩いてゆくのも、よろしおすえ」

 ━━司馬遼太郎『京、寒いころ』( 昭和38年)

「籏亭のおかみ 」が 司馬さんをこう口説いている。
〝散るように歩く〟
胸を鷲掴みにされるよね。……これって。
もうね、この二行足らずのフレーズの頭からお尻まで全部が芸術品だよね。
司馬さんも、〝そうか、散るようにか……悪くないな〟ってオトされて、
女将と出かけたらしい。

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弘法大師の命日である21日に東寺の境内で催される「弘法市」。年内最後の市が「終い弘法」とよばれ、一年を通じて最も賑わう縁日となる。骨董品や古着のほか、葉ボタンや梅などの苗、干し柿、翌年の干支の置物など、正月用品を売る1000軒以上の露店がずらりと並び、数十万人ものお参りで賑わう。