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全国翻訳ミステリー読書会

大塚国際美術館『インフェルノ』特別読書会 in 徳島 レポート(中)(執筆者・関西読書会世話人ズ5人組)

2014.11.07 03:14

【上】はこちら


『インフェルノ』トークショー by 越前敏弥氏


大塚国際美術館 別館2Fオープンスペース 参加者65名



*越前氏と大塚美術館とのご縁は、2004年5月頃から開催された作品鑑賞ツアー「ダ・ヴィンチ・コードツアー」から。その後、2009年に雑誌の企画取材で再訪し、今回の「地獄へようこそツアー」で3回目の訪問となる(浅井さんがツアーを企画された経緯はこちらの記事に)。


(浦)ダ・ヴィンチ・コードツアーは4年ほどつづいたそうで、人気ツアーだったんですね。


(小)本を持ってルーヴル美術館をめぐる人も多かったそう。大塚美術館にはほぼ揃っている。すばらしい着想ですね。


*ロバート・ラングドンは、原作ではハリソン・フォードがイメージされていたようだが、最初の邦訳ではジョージ・クルーニーをイメージして訳していた。



(飯)ジョージ・クルーニーを評して「無駄にイケメン」が、ツボりました(笑)


(小)ジョージ・クルーニーなら、いつも女性に助けられているのもうなずけるかも。ついに年貢をおさめたみたいですけど。


(浦)宴会のときには、ヒュー・ジャックマンの名前もあがってましたよ。


(吉)ラッセル・クロウの名前も出ていましたね。好きなイメージキャストでシリーズ再読してみるのも楽しそう。


*小説ではラングドンは自分のことを「わたし」と言っているが、映画では「僕」に。映画化後、つぎの訳書でどうするかが悩みどころだった。


(浦)トム・ハンクスなら「僕」というのは、たしかに。


(吉)小説は「わたし」で読みたいかな〜。


(小)さてどうなっているかは、訳書をご覧ください(笑)


*『インフェルノ』はロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で2015年12月18日公開が決まった模様。


(小)日米同時公開だそう。楽しみです。


(浦)舞台になっているいろんな観光地の映像も楽しみですね。


(吉)予習はばっちりなので、早く観たいです!


*ダン・ブラウン作品の特徴は、歴史・文化・美術などの薀蓄+スピード感。このふたつが絶妙のバランスでまじりあったノンストップ・サスペンス。


(浦)たまに薀蓄言ってないで逃げたほうがいいんじゃないの?と思うこともあるけど(笑)、ハラハラ・ドキドキ感がつづくところはすごい。


(吉)あれだけたくさん盛り込んで、もたつかないのは、やっぱりバランスなんだろうな〜。


(影)蘊蓄言っててもあまり気にならないし、読むスピードが全然落ちないですものね。


*シリーズ作品それぞれに出てくる秘密結社。イルミナティとシオン修道会は、小説に出てくるような形とは違うが、実在したかもしれない。フリーメイソンは実在する。大機構は100%フィクション。


(吉)次作ではどんなのが出てくるのか、気になってきました。


(飯)ここで日本のフリーメイソン潜入ルポが! しかも内部写真たくさん! 


(影)フリーメイソンの建物って入れるんだ!


*『インフェルノ』に登場する「大機構」。英語ではThe Consortiumで、この訳語にいちばん苦労した。ばかばかしいほど大げさなことをする組織なので、大げさで偉そうな響きがある訳語にしたかった。


(浦)最初はすごそうな組織の雰囲気を漂わせてましたよね。でも……


*『インフェルノ』はシリーズのなかでいちばん大どんでん返しがすごい。(『インフェルノ』のプロモーションムービーが紹介されました。角川書店のダン・ブラウン公式サイトで視聴できます)


(浦)PVかっこよかった。ゾブリストの台詞が読まれて、急に具体的なイメージがわいてきました。


*『神曲』の訳書でいちばんのおすすめは『神曲【完全版】』(平川祐弘訳)。これにはギュスターヴ・ドレの挿絵が全点収録されている。角川ソフィア文庫からも読みやすいものが出ている。ほかにも関連書として、デビルマンを描いた永井豪の『ダンテ神曲』や、阿刀田高『やさしいダンテ〈神曲〉』、村松真理子『謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』』などが面白い。ダン・ブラウン研究会の『ダン・ブラウン徹底攻略』もぜひ。


(飯)『神曲』への興味がつのってきたところで、おすすめ訳書、ご紹介ありましたね。


(浦)永井豪さんの漫画が意外。


(小)思わず、kindleでポチってしまいました(笑)


(吉)どれもそれぞれにおもしろそうです。


*『インフェルノ』で重要な鍵となる絵画や場所をスライドで紹介。


 ボッティチェルリ作〈地獄の見取り図〉/ ヴェッキオ宮殿五百人広間にあるヴァザーリの〈マルチャーノ・デッラ・キアーナの戦い〉/ ダンテのデスマスク など。


(浦)〈地獄の見取り図〉のスケキヨの足みたいなのってのもツボでした。


*ベアトリーチェは永遠の恋人といわれているが、実はダンテが9歳・18歳のときの2回しか会っていない。


(小)ほとんど言葉も交わしていなかったそう。ベアトリーチェは他の人に嫁いで、24歳で夭折。美しいイメージだけが残ったのかな。


(吉)美しい姿だけを見たのですね……


*大塚美術館にはウィリアム・ブレイクの「ダンテとベアトリーチェ」(ダンテに語りかけるベアトリーチェ)という絵がある。



(飯)これ、午前中に見ましたよ。ツアーでは回らなかったですね。


(浦)気づきませんでした。残念。右端の人物がダンテなんですよね。女性にも見えるけど(笑)


*参加者からの越前氏への質問です。


Q.小説の舞台となった場所で、実際に行ったところ、行きたいところ、役に立ったところはどこかありますか?


A.ルーヴル美術館を三時間ぐらい訪れただけですね。近々、ぜんぶ回りたいと思っています。ワシントンDCがいちばん面白そうなので、最初に行きたいかな。


(浦)『ロスト・シンボル』を読んだとき、わたしも思いました。こんなところに、こんなものがと。


(飯)たしかにあれは、ええっ、この人物がほんとに?って仰天しますよね。この目で確かめたくなる。


Q.学芸員として日々ミケランジェロに感嘆していますが、そのミケランジェロに、これが無ければ絵が描けなかったとまで言わしめた『神曲』の魅力をあらためて教えてください。


A.シェイクスピアに匹敵すると言われているんですが、それはなにより『神曲』が平易なわかりやすい言葉で書かれたことによります。一般大衆に広く読まれ、親しまれて、感銘を与えることができたんですね。


(浦)『神曲』がトスカーナ地方の口語で書かれていると知ってびっくり。有名すぎるからか、もっと形式ばった言葉で書かれているかと勝手にイメージしてました。


(影)世界的な名作ですものね。ラテン語の流麗な文章だと思い込んでました。


by 関西読書会世話人ズ(飯干京子、浦野壽美子、影山みほ、小佐田愛子、吉井智津)


【下】(読書会編)につづく


大塚国際美術館公式サイト


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