ドライフルーツのラム羊羹
12月の渋谷教室のメニューの一つである「ドライフルーツのラム羊羹」については、wagashi asobiの稲葉さんから12月10日に、1年位前に私が投稿した「ドライフルーツ羊羹」というInstagramに次のような投稿がありました。
「wagashi asobiとして特許庁に製法を登録してあるお菓子ですので教室(収益目的)での製法使用はお控えください。」(原文のまま)
同日の私の返信です。「製法登録?って何ですか?」「その法的な縛りを教えてください。」(原文のまま)
以後、今日まで稲葉さんからの回答はありません。
私の「ドライフルーツのラム羊羹」は、まだ製菓学校時代にwagashi asobiさんに触発されて、私自身が試作を繰り返し、私好みに仕上げたレシピです。今回の稲葉さんの投稿を、ご心配くださる渋谷教室の受講者の皆様や応援して下さる方々のためにも、特許庁にアクセスし登録の有無を確認し、今後の動向を考えることにしました。
特許・・・なし
商標登録・・・これもなし
実用新案登録・・・ありました。2015年7月に登録 「実用新案技術評価書」なし
稲葉さんの主張の「製法登録」ではなく、全く意味合いの違う「実用新案登録」がされていることが分かりました。では、実用新案とはどのような権利があるのかを調べました。
実用新案権とは、物品の形状、構造または組み合わせに係る考案を保護するための権利です。 考案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいい、発明と違い高度であることを必要としません。 実用新案権は、実質的に無審査で取得でき早期に権利化することができるため、ライフサイクルの短い技術に関して有効です。 そして、第三者が無断でその登録実用新案を実施している場合、権利行使前に実用新案技術評価書を提示して警告を行なう必要があります。実用新案技術評価書とは、設定登録された「登録実用新案」の権利の有効性について、特許庁の審査官が先行技術調査を行って作成するものです。審査官による先行技術調査の結果、新規性や進歩性などを否定する資料が見つかった場合には、権利の有効性について否定的な内容の評価書が発行されます。 その場合も、侵害者に対して警告を行うことは可能ですが、その後に無効審判を請求されて権利が無効になってしまうと、逆に損害賠償を請求される恐れがあります。つまり、実用新案は、登録されたというだけでは重要な意味を持たず、権利の有効性について「“肯定的な”実用新案技術評価書」が得られて はじめて、「使える権利」になるということです。 また、権利行使したあとで、公知技術などが判明して登録実用新案の無効審決が確定した場合は、権利行使者が損害賠償責任を負うこととなります。この損害賠償責任は権利行使者に過失がないことを立証しないと免責されないので、権利行使時には慎重な調査・検討を要します。
以上のことから、「ドライフルーツのラム羊羹」は、今後も当教室のメニューの一つとして受講者の皆様に提供してまいります。しかしながら、wagashi asobiさんが「実用新案技術評価書」をお持ちでないとはいえ、実用新案権の物品の形状、構造または組み合わせに係る考案のうち、構造、組み合わせについては、入っているドライフルーツの種類が違うことから問題はないと考えますが、形状については似ていることは事実ですので、今後形状を変更することにいたします。
和菓子教室はな 主宰 宮島 麻美子