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【THE SHOKUNIN】不安を取り除く丁寧な打ち合わせ 施主を笑顔にするリフォームを目指す

2024.06.25 03:00

【左官職人】石上安一さん(50歳)

リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは左官職人の石上安一さん。確かな技術と、施主の気持ちに寄り添う丁寧な仕事ぶりに、厚い信頼を寄せられている。



施主が納得するまで何度でも打ち合わせ

神奈川県横須賀市を拠点にする「石上左官」。石上安一さんが二代目を継いでからは、リフォーム工事にも力を入れ、左官の他にタイル工事全般も行っている。

現在、施主から直接依頼される仕事は3割、残りの7割がリフォーム会社からの仕事だ。一級左官技能士の資格を持つ石上さんは、平成30年に横須賀市優秀技能者として表彰されている。確かな腕を買われて、神奈川県内だけでなく、東京都内や千葉県まで行くこともある。

石上さんがリフォーム工事をする上で大切にしているのは、施主が納得するまで何度でも打ち合わせをすること。

「リフォームは、お客様にとっては数十年に一度のビッグイベント。費用はどのくらいかかるのか、どんな職人さんが来るのか、お客様は不安の塊になっていると思います。納得してもらうまで説明するのは当たり前のことですが、その当たり前を怠ると、お客様の不安は解消されません」と石上さん。

石上さんは打ち合わせの時に、タイルなら実物を、漆喰なら実際に板に塗ったものを自作し

て持っていく。小さなサンプルだけでは伝わりにくい、手触りや風合いを理解してもらうためだ。

「実物を見ると、『こんなだったんだ』と驚かれる方がほとんどですね。それでも、お客様には『壁全体に塗ると、また印象が違うかもしれません。参考として見てください』と伝えています」



「ありがとうございました」が何よりの仕事の励みに

取材で訪れた現場は、クリニックの外構部分のジョリパットの施工。父親の石上俊美(としみ)さん、弟の石上和行さんと手際よく作業を分担して進めていた。俊美さんと和行さんが下塗りをした後、石上さんが模様付けを担当。模様にムラが出ないよう、同じ現場では1人が模様付けをするようにしている。すぐに表面が乾いてしまうため、手早く作業しながらも、石上さんはバランスを見ながら丁寧に模様付けをしていた。施工後、施主は「きれいに仕上げてもらってありがとう」と感謝していた。

「お客様から『ありがとうございました』と言ってもらえると、『よっしゃ!』と嬉しくなります。お客様に笑顔になってもらえるよう、コミュニケーションを大切にしていきたいと思っています」

▲まるで油絵を描くように繊細なコテ使いで模様付けをする石上さん

▲スムーズに模様付けができるように、コテの端を削って丸みを出している。上が削ったもので、下は削っていない新品

▲玄関まわりのタイル工事を行う石上さん。元々水色だったタイルの上に、落ち着いた茶系のタイルを施工

▲石上さんが手がけた室内壁の塗り替え工事。天井以外のすべての壁を珪藻土で仕上げた



推薦の言葉

R&R.co 代表取締役社長 有田康子さん

石上安一さんの素晴らしいところは、お客様の細かな要望に応えてくれるところ。お客様が抱く出来上がりのイメージに近いものになるよう、丁寧にお客様と話をし、施工してくれます。また、工期が厳しい工事でも、なるべく工期内に終わるように日程を調整してくれます。とことん、お客様目線の職人さんなんです。

また、新しい素材の施工を提案しても、決して「できない」と言わない、勉強熱心な方でもあります。

お父様から左官の技術をしっかり受け継いでいて、確かな技術を持っている石上さん。塗り壁やタイル仕上げの持つ高級感や機能性の素晴らしさを、多くの方に知ってもらえるよう、私もお客様に提案していけたらと思っています。



石上さんからリフォーム営業担当者にメッセージ

「こうしてもらうと嬉しいなぁ」

個人的な考えですが、最近の日本人は和の心が薄れているのでは、と感じます。

リフォーム工事でも和室を洋室にする工事が増えていますよね。でも、左官職人からすると、漆喰や珪藻土の壁は湿気を調整する働きがあり、日本の四季に適した素材。カビが発生しにくく、健康にも良いと言われているので、塗り壁を提案したいです。

最近は、リフォーム会社の方から塗り壁の施工についての相談が増えています。ぜひ、リフォームする時には日本伝統の「和」の心も取り入れていただき、わからないことは職人に聞いてもらえたらと思います。



リフォマガ2023年9月号掲載