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FanFic 5⚔️

2024.06.19 08:42
曲げない人【ウォミコ】

20181223


以下本文


年齢操作要素があります。18歳になったミコト様に結婚の話が持ち出される内容です。パーンくんとポロンくんは出ない。完全にイフなのでふまえて読んでください。

あくまで二次創作です。

原作様を侵害する目的はございません。


 はあ、と大きなため息。金髪の女は不機嫌な顔をしている。世話係の男とともに自室に戻った女は、ベッドに身を放り投げて突っ伏してしまう。

 一国の姫である彼女は、悩みを抱えていた。彼女には既に両親がおらず、こんにちまで執政官の者が国を営んでいた。だが、姫はもう18になったのだ。そろそろ本格的に姫自らが国の核となるべきであったのだ。その旨を執政官から伝えられた上、さらに姫を悩ますことを言われてしまったわけである。

「ケッコンなんて言われてもさあ!!」

 結婚。つまり、結婚をして、その相手と国を経営せよということである。楽しいことばかりが頭にあって、探検ばかりしたがる彼女には、考えようもない話であった。

「ミコト様ももう大人ですから」

 世話係の発言に、でも、と文句を言って、ベッドに横たわったまま脚をばたつかせる。暴れないでくださいと制されると、不満そうに頬を膨らませつつもうるさい脚を鎮めた。

「そんなのいったって、ウォーレンスだって結婚してないじゃん……」

 姫がそう言えば、世話係の男はう、と小さく唸った。私のことはどうでもいいでしょうとごまかすと姫はまた不服そうに、どうでもよくないと怒る。男はため息を吐いて、いいから自分のことを考えてくださいと叱りつけた。姫は不機嫌な顔のまま唸った。

「ていうかお見合いってなに! 相手を探しておきましたからってなに!」

 ばっと起き上がり、ベッドの上に立って不満をぶちまける姫。行儀が悪いですと制されるので座りはしたものの、文句は出続ける。

「姫だけではまともに相手探しをしないと考えたのでしょう」

「でもちがうじゃん! 結婚の相手ってもっとろまんちっくに出会う感じじゃん!」

「はあそうですか」

「探検に行った洞窟での危機から助けてもらったり」

「それロマンチックですか?」

「そこから仲間として共にモンスターを倒したり」

「……はあ」

「時には喧嘩しつつお互いを認め合ってそれから……」

「はあ」

「……ちゃんと聞いてる?」

「いえ全く」

「もー!」

 ついには男に八つ当たりがまわってきて、姫は男の肩をつかんで前後に激しく揺さぶる。男は、面倒くさいというような表情で、されるがままに彼女の鬱憤晴らしがとまるのを待った。

 姫は、世話係の男が去って行ったあとの扉を眺めたまま考えていた。よく考えて、今日はもう眠ってくださいと、男は部屋を出る前にそう言った。見合いは5日後。それまでに断りのもんくを考えなくては。いやでももしかしたら、会ってみて気が合ったら。などと考えたのち、考えるのを面倒くさがって眠りに入ってしまった。


「ウォーレンス、私、気づいてしまったの」

 朝が来たので、世話係の男は姫を起こしに来ていた。姫は起きた頃はしばらくぼーっとして横たわったままでいたが、しびれを切らした男に布団を剥がされたあと、ぽつりと口を開いた。

「私とウォーレンスで結婚したらいいんじゃないかな」

「はあ……は?」

 男は、とうとうばかになったかとでも言いたげに呆れた表情を返してため息をする。真面目に考えてくださいとだけ返答して、彼は朝食に行く準備を促した。

「だってそうしたら私もウォーレンスも結婚できて結果オーライじゃない?」

「ロマンチックがどうこうは良いのですか……そもそも私自身は別に結婚なんて」

「そんなこと言わずに、ね? ほら、なんだかんだ気が合うじゃない?」

「とんでもない」

 世話係の男はそれに、と前置いて続ける。

「仮に私が姫とそのような関係になることを望んだところで、私は執事ですから。周囲の者が賛成しません」

 くだらないこと言わずに朝食へ行きましょう、と強制的に話を切り上げてしまう。姫はまだ、不服そうだった。


 朝食を終えた姫は、自室に戻るため世話係の男と共に廊下を歩いていた。部屋に到着すると姫は中に入らず扉の前で立ち止まってしまったので、どうしましたと声をかけると、姫は振り返って世話係の男を見た。

「だめかな、ウォーレンス? 結婚のこと……」

 先ほどの話を蒸し返されるので男は、まだ言うのですかと呆れた様子で拒否をした。そして続けて、仕事があるのでとさっさといなくなってしまった。やはり強制的に話を切り上げられた姫はまた不服そうにしていたが、同時にひとつ、決心をしていた。

 それから見合いまでの間、姫は世話係の男に何度も結婚の話を持ち出した。本気であるとも伝えたときもある。真面目に考えた上での求婚なら、ちゃんと応えてくれると姫は思ったのである。男の側からしてみれば、彼自身の気持ちがどうであるかはともかく、姫君と執事という関係上、ありえないとしていた。また、ふたりきりのときに持ち出されるのであればまだ良いにしても、誰が聞いてるかもわからない廊下などで話を出されることもあったので困っていた。変に勘違いでもされて仕事を失うかも知れんと少し危機を感じたくらいだ。幸い、今のところそのようなことはないようではあるが。男は、彼女が見合いで相手と気が合ってそのままその人と結婚する流れになればと願って、見合いの日を待った。

 問題が起きた。その日は見合いの日であったが、姫と相手の者との夕食に、執政官と世話係の男も共に出席していた。もとはふたりだけでの食事を予定していたが、姫が一緒にいてほしいと要求するので仕方なしに相席した。相手の者は、品行方正で外見もそこそこに良く、寛大そうでもあり、どこかの国の王子なのだそうだった。剣術も習っているそうなので姫とも多少は気が合うと思われていた。しかし突然、食事中にもかかわらず姫は立ち上がってはっきりと言った。

「私、好きな人がいるの。だからごめんなさい。あなたとは結婚したくないの」

 その場にいた者はみんな驚いていた。執政官が叱りつけようかと立ち上がろうとする前に、相手の者がそれを制した。そして、そうでしたかとだけ優しく微笑んで食事を再開した。おこった様子も気まずくなった様子もなく、どのような人なのですかなどと問うて、彼女に食事を再開させた。姫は嬉しそうだった。翌日、相手の者は自国へ帰って行った。最後彼は姫に一言、あなたの恋が実りますよう願っていますとだけ告げて去って行った。彼が姫の意見に対して肯定的だったことで、姫は上機嫌だった。

「姫、相手はどなたです」

 「んー、でもまだ片想いみたいだから……」

 食事の後、執政官からの質問に、姫は答え方を迷って要領を得ないでいた。執政官は納得しないままだったが、姫は自室へ向かった。

「ミコト様、なぜあのようなことを」

 部屋に帰る姫を追って、世話係は彼女に問うた。

「夕食のときのこと? 正直に言っただけだよ」

「はあ……それでお相手というのは、結局どなたなのです」

 執事の問いに、聞かれると思わなかったという様子で、えっと驚いた。姫は、わかっていると思っていたのに、と軽くショックを受けている。

「ウォーレンスのことだよ、私の好きな相手」

「……は、それは冗談だったのでは……いえ、ですから不可能ですとなんども」

「ウォーレンスは私のこと好き? 私との結婚は嫌?」

「……仕事行きます」

「だめ。ちゃんとこたえて」

 こたえてくれるまで行かせないと睨むような強い目が執事を捉える。仕方ないと思って、彼はしぶしぶ返事をした。

「……嫌いということはありませんが……そもそも年齢に差もありますし」

「関係ないよ」

「姫君と執事ですから」

「関係ないよ」

「クレモアが許さないかと」

「関係ないよ」

「……恋愛感情は存在しません」

「……」

 なるほどこれが一番効くのかと思った。傷ついているように見えるので乱用はできないとも思った。躊躇いながら出た、どうしたらいい、と言う姫の声は少し震えていた。

「……泣いてます?」

「……泣いてないもん」

「泣いてるじゃないですか」

 だって、という姫の言葉のあとは続かれることなく涙でとけてしまった。男は、姫を廊下で泣かすのはまずいと思い、抱きかかえて姫の自室へ移動する。そしてベッドの上に乗せてやって、姫から離れようとすると、男は不意な力によって、離れることなくむしろベッドのほうへ引きずりこまれてしまった。よって形として、男が女を押し倒しているような図だ。執事は少し焦った。

「すみませ……なに笑ってるんです」

「ふふ、ふふふ」

「得意げですね……帰してください」

「やだー」

 さっきまで泣いてたのは何だったのですと不満そうな執事が言った。それは嘘じゃないよと慌てて訂正する姫だが、近い距離に彼がいることに、微笑みがこぼれてしまう。一喜一憂の激しい人だなとのんきに思ったが、そんな場合でないとすぐに思考を変えて、体勢を直そうとする。だがその前に、姫側の行動が早かったのだ。首の後ろに腕を回されて、がっしりと捕らえられている。男女の力の差もあるのでちゃんと抵抗すれば逃げる事は可能だったが、執事が姫に危害を加えるわけにいかないのでどうにもできないでいた。

「ミコト様。駄目です」

「……ウォーレンス実は私のこと結構好きでしょ」

「……洗脳しようとおもってもかかりませんよ」

「洗脳!!?」

 男の返事に、姫は頬を膨らませて、おもしろくないとでも言うような顔。一変して、あ、と思いついたように声を出す。

「既成事実……」

「まってください?! それは本当に駄目です!! まっ、ひめ、ほんとに」

「あはは、必死……」

「……そんな傷ついたような顔しないでください……」

 してないもん、と言って、姫はやっと男を放した。安心したようにため息をつく執事と、悲しそうにため息をつく姫。世話係は、そんなこと言う人でしたっけ、とすこし疲れた顔で言った。18だからねと自慢げに返されるが、男のため息を増やしただけである。

 あきらめないよ、と真っ直ぐな視線が男の目をひく。

「一度決めたことは曲げない人だって、知ってるでしょ」

 そうでしたねと男の呆れた声が零された。