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ピアノ弾きの覚書

一度で決めない

2024.06.22 21:59




こんにちは。

音楽家の純子マッサーリア

Junko Massagliaです。





今日は生ステージのお話。





ものすごく著名なアーティストの演奏会に行って

首を傾げたことありますか?




現代はCDや、今でこそデジタルでは誰でも瞬時に演奏を探すことができるし、

ビデオも五万とある時代。




つまり記録されている「瞬間物」が

通常化しています。





それはそれで悪いとは言わないのですが、それらを聞いていると

いつのまにかそれが“当たり前”に思い込ませられてしまう。





なので、生演奏会で違うことを耳にすると

あれ?なんか違う。あの(記憶にある)演奏が聴きたかったのに、と

がっかりするわけです。




本来がっかりされる筋合いなんて全くないのだけれど

人間の脳って繰り返し学習に弱いのよね。




特にアジア系の人は、西洋音楽が身近にない文化ですから

いつからかコピーする学習法が大半になっているのが現状です。



そうなると、マニュアルから外れた演奏は「いけない」物になる。

しかもね、本物を生で聴いたことないのに

マニュアルばかりが誇大化して一方的に成長し

実は「それ、ありだよ」というものまでも




排除していくようになる。





なので、少なくとも生演奏で判断する時は3回は聴きたいところです。

一度の会が必ずしもベストな演奏であるというわけではないのです。




会場が違い

ピアノが違い

国が違い

客が違い

様々な微々たることでも演奏は変わります。



そういう私も毎回演奏の感覚は違います。

国によって、

曲によって、

ピアノによって、

会場の大きさによって、

全て変わってくるのです。




同じ曲を演奏するとしても、観客によって、会場によって

演奏を変える時があります。

会場の響きによって音の響きが変わるならば

それに対応します。



ただね、それをお客様全員にわかってもらおう、とは

一切思いません。

こうじゃない!と怒り狂う人もいるかもしれないし

この人はこういう演奏しかできないのだ、とか

とにかく色々言われても仕方ないです。




世界的なアーティストで今は亡きルプー、ポリーニ、ホロヴィッツ、ワイセンベルグ、

他にもたくさん、現役のアーティストは名前は出しませんが、

どうしたのだ!?というステージを踏んでいます。





でもだからと言って、そのアーティストは一流じゃない、なんて

馬鹿げたことは言ってはいけません。

その次を、その次の次を聴いてみてください。



本質を知るためには

一度で決めないことです。





↑緑に溢れるトリノ。

我が家から徒歩1分。