机に ノイバラ
野茨(のいばら)
野に咲く茨(いばら)の木なので『野茨(のいばら)』。
別名を『野薔薇(のばら)』。
日本の代表的なノバラ。
和名"イバラ"の由来は、"イ"が接頭語(特に意味のない、英語のtheやaのような語)で、枝に生えている無数の鋭い棘を意味する"ハリ(針)"が"ハラ"に転化し、"イ"とくっつく際に濁点がついて"イバラ"となった説。
ただ、万葉集に出てくる古名では「ウバラ・ウマラ」となっており、元々の意味はよくわかっていない。
棘のある低木全般をそのように呼んでいたようで、このノイバラが最も一般的なのでこの種の和名となった。
地名や人の苗字にある"茨城"や"茨木"も、このノイバラとその仲間のことを指すのだろう。
後に"イバラ"から更に接頭語の"イ"が外れて只の"バラ"とも呼ぶようになるが、明治期に観賞用の園芸品種の西洋バラが入ってきて以降は"バラ(薔薇)"と言えばそちらを指すようになる。
漢字の"茨"は棘のある草木のこと。"荊"に同じ。
"薔薇"の方は中国語由来で、風にそよぐ垣根を意味すると言う。棘のある茨の木なら外からの侵入を防ぐ垣根としては有用だろう。
名前の通りや枝に鋭い棘が生えている低木で背丈は1〜3m程。半つる性で単独で1m程の背丈まで伸びると、あとは周りの木々があればそれにしだれかかるようになりながら、枝を伸ばして成長していく。
花期は4〜6月で、直径3cm程の白い花弁に黄色いたくさんの雄蕊とその真ん中に柱状の雌蕊が生える花を房状にたくさん咲かせる。
野バラの花は実に素朴。
日本の北海道〜九州と朝鮮半島に分布し、山地から野原〜河岸など色んなところに自生し、厳しい気候の変化にも適応し、生命力が強い。
花言葉:素朴なかわいらしさ/痛手からの回復
「万葉集」巻二十四三五二番歌より
道の辺の茨(うまら)の末(うれ)に
這ほ豆まめの
からまる君を別れか行かむ
丈部鳥(はせつかべのとり)
訳は「道のほとりのイバラの先に、這い伸びる豆の蔓が絡まるようなあなたを、後に置いて私は行くのか。」
先行きの険しさを"茨の道"に喩えているような防人の歌
「野ばら」
机に野ばら 飾って暮らす
たまにサンダーが 小雨を降らす