私立推薦組に告ぐ。ここから受験を越えて春までの学習の注意点について
先日、電車内で中3生の保護者らしき方々がこんな言葉を浮かべていました。
「私立の推薦が決まったから安心よね。うちの子、もう全然勉強しないから一発勝負だと心配で…」
ちなみに、はじめに断っておくと、決して盗み聞きをするつもりはなかったんです。ただ、けっこうなボリュームだったので、聞こえてしまったのです。もちろんその先は考え事モードに入ったので、まったく聞いていません。
考え事モードに入ったのは、前述もしたその言葉がきっかけです。
「私立の推薦が決まったから安心よね。うちの子、もう全然勉強しないからテストだと心配で…」
それを聞いて、「推薦ほぼほぼ内定おめでとうございます」と思ったと同時に、「え、それって本当に安心なのか?」と感じてしまったわけです。
もちろん「推薦」が悪いというわけじゃありません。大学受験についての記事ですが、こんなことも書いています。
せっかくきっかけをくれたので、本日はそこで考えた内容をここにも記しておこうと思います。見知らぬ保護者の方、ありがとうございます。そして改めて、おめでとうございます。
私立推薦が決まったから「安心」とはいえない?
僕がちょっとだけ気になったのは「安心」という言葉でした。
もちろん「進路が決まって安心」という気持ちは僕もわかります。多くの私立の場合、推薦をもらえたらほぼほぼ合格できるといっても過言ではないですからね。そういう意味の「安心」なら何も問題はないのです。
気になったのは、その後に続いた言葉とのつながりです。
「うちの子、もう全然勉強しないから一発勝負だと心配で…」という言葉から、「これでもう勉強しなくて(させなくて)いいから安心」と思っている節が感じ取れたのです。もちろん勝手な勘違いかもしれません。
もしもそうだとしたら、という前提で話を進めます。
それはとっても危険なことです。
生徒たちの人生は、まだまだ続いていきます。高校に入って終わり、というわけでは決してありません。
大学進学にしても、専門でも就職でも、まだまだ勉強する期間は続いていきます。また新たなフィールドで、戦いは続くのです。
その中で、今のタイミングに勉強の手を緩めることがどれだけ危険なことなのか、なんとなく大人は想像できるでしょう。ちょっといくつか挙げておきますね。
- 進路が決まって安心して勉強しなくなる(身が入らなくなる)
- 周り(公立第一希望組など)は必死で勉強するので差が開く
- 差が開くから、成績が取りづらくなる
- 選択肢が狭まる
大人はこれがイメージしやすいと思いますが、子どもはもちろん先のことなんかわかりません。なんとなく高校はまた違うルールのゲームの始まりぐらいに考えているかもしれません。
だから、保護者の放つ「安心」という言葉を、「もう勉強しなくていい」と捉えてしまう危険性があるのです。
そこまでじゃないにしても、怖いことはあります。
大人の中には、せっかく早く受かるのだから「安心」して先の勉強すればいいのに、と思う方もいらっしゃると思いますが、ここでの「安心」が曲者です。「安心」して勉強するって結構難しいんですよね。
特に勉強が嫌いな子にとって、「安心しながら勉強する」というのは至難の技です。
ここにも記しましたが、受験というのは子どもたちにとって大きな壁。ある意味、危機です。人間って、危機感があるから頑張るみたいなみたいなところもありますよね。
また、「あの学校に入りたい!」と強い想いを持って困難に向かっていく経験というのは、それだけで人生の大切な宝物になります。
大変だけど、苦しいけど、すごくレベルアップできる受験勉強。
それを経験するかしないかでは、もちろん高校入学時に大きな差がつきます。各教科の中身の知識も、長時間勉強できる「勉強の体力」も、経験値も。
わかりやすく極端な例を挙げれば、ここからの期間ぐうたら休んでいるサッカー選手と、必死で猛練習をしているサッカー選手が、春から同じフィールドでレギュラー争いをするわけです。
現時点での能力がそんなに変わらないとすれば、どっちが有利か、一目瞭然ですよね。
そんな中、大学・専門学校の推薦入試や就職試験に関わる高校の成績というのは、一年生からのものになります。一年生頭から、なんと三年生の夏までのものです。三年生短い!中学校と同じ感じと思っていると痛い目を見ますね。
とにかく一年生から三年生夏までの評定の平均が資料として使われるのです。これは、スカウトが入学直後から張り付いているようなもの。そこから先の道に進むための勝負が、入学ど頭から始まるわけです。
推薦組は、そんなハンデ戦に今のうちから備えねばなりません。最初からバリバリ活躍して、スカウトの注目を浴びねば、進路の選択肢が減っていきますからね。
そのための今オススメの過ごし方は、周りの緊張感やピリピリ具合に乗っかって、中学内容を徹底してやり直すとともに、高校の予習に手をつけておくことです。
特に、積み重ね科目の筆頭である数学と英語は早めに触れておいて損はないでしょう。英語ならば五文型、数学ならば計算単元など基礎的なものから着手していきましょう。
最後に余談を。
昨年の先輩で、推薦と専願(私立のみの一般受験)で同じ基準の私立を志望していた子がいます。その子は「甘えちゃうから」という理由であえて専願の道を選んでいました。
それを真似しろというわけではないですが、立派なものです。その子は現在クラストップに近い成績を叩き出しています。自らの手で、どんどん選択肢を広げています。
早めに進路が決まったからといって手を緩めず、先を見据えて勉学に力を入れる。自分を律して、成長に励む。
それができたら本当に「安心」して春を迎えることができますね。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
ちょっとお節介ですかね。でも、知っておいて欲しいこと。