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いろはうたう

鷹の夢

2024.07.05 10:00

 鷹は夢を見ていた。太陽と月が同時に空に浮かんでいる夢だった。太陽は明るく輝き、月は静かに微笑んでいる。鷹はその光景に魅了された。鷹は太陽と月の間を行き来して、どちらにも近づこうとしたが、どちらにも届かなかった。鷹は悔しくて、もっと高く飛ぼうとしたが、空はどんどん広がっていく。鷹は疲れて、やがて地面に落ちた。鷹は目を覚ました。


 鷹は目を覚ますと同時に、自分の身体に違和感を感じた。鷹は自分の羽を見て驚いた。羽は白くなっていたのだ。鷹は自分の姿を見るために、近くの池に飛んだ。池の水面に映ったのは、鷹ではなく、鳩だった。鷹は信じられないと思った。自分は鷹なのに、なぜ鳩になってしまったのだろうか。鷹は混乱して、池の周りを飛び回った。すると、白鳥たちが鷹に気づいて、近づいてきた。白鳥たちは鷹に優しく声をかけた。


「こんにちは、あなたは新しい仲間ですか?」

「いいえ、私は鷹です。鳩になってしまったのは、夢のせいです」

「夢? どんな夢を見たのですか?」

「太陽と月が一緒に浮かんでいる夢です。太陽と月の間を飛んでいたら、鳩になっていました」

「なるほど、それは不思議ですね。でも、本当にあなたは鳩になってしまったのでしょうか。あなたはもともと鳩だったのではありませんか?」

「どういうことですか?」

「言葉通りの意味です。あなたはもともと鳩だったが自分のことを鷹だと思い込んでいた。夢から覚めてそのことに気が付いた、というだけなのではありませんか?」


 確かにそう考えれば筋は通る、少なくとも一夜にして鷹が鳩に変わるよりも、よっぽど現実的だ。自分自身の認識と折り合いさえつければ、それでなんの問題もないだろう。


「なるほど、参考になりました。でも私は自分のことを鷹だと認識しています。あなたの意見をすぐに受け入れるのは難しそうです」

「その気持ちはわかります、それで解決するなら、あなたは悩んでいないでしょうし」

 そう言うと白鳥は、飛び立つ姿勢をとった。

「あなたのお役には立てませんでしたが、いつかあなたが自分自身になれる日が来ることを祈っています」

「ありがとうございます」


 白鳥たちが飛び去ると、鷹はひとりになった。そして周囲に誰もいない場所を探し見つけると、目を閉じて、再び眠りについた。


 鷹は夢を見ていた。

 太陽と月が同時に空に浮かんでいる夢だった。

 太陽は明るく輝き、月は静かに微笑んでいる。

 鷹は太陽と月のどちらにも近づこうとしたが、どちらにも辿り着けない。

 鷹はもっともっと高く飛ぼうとしたが、空はどんどん広がっていく。

 やがて、鷹は疲れて地面に落ちた。