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フレデリック・ショパン、ティトゥスとフレデリック…先に裏切ったのはどちらか?拗れた恋愛事情、フレデリックはコンスタンツァアと既に結婚。そしてティトゥスの斡旋業とは…?

2024.06.27 03:05

「あなたの手紙が届いてすぐに、風邪が治った。私の書簡がこのような面白い結果を生み出せたらどんなにいいだろう!

私の書簡を読んだ人たちが、偽善や虚偽をなくしてくれたらどんなに嬉しいだろう。

偽善や虚偽が消えてくれたらどんなに嬉しいことだろう。しかし、この手紙がそのような効果をもたらすことはないだろう。」

コンスタンツァアのデビューを巡っての

評論は偽善や虚偽だとフレデリックは

思っていた。それを、操ったのはティトゥスなのだ。フレデリックと親友ティトゥスとの友情は危機的状態だった。

フレデリックの抗議に対してティトゥスから返事の書簡がフレデリックに届いたのだが…

フレデリックは納得出来なかった…。

「私が、あなたの書簡を読んだ限り、この書簡はあなたの私への裏切りです。あなたの書簡は私の怒りを呼び起こし、私は新たな暴発を引き起こすに違いないです。私は40マイルも離れたところにいる。40マイルも離れているのは良いことだ。

私はまだワルシャワにいる、

そう、私はまだワルシャワにいるのです。


来週、つまり9月(明日は祭日だ)、


私は旅立つ、


自分の天職と自分の常識に従うためだ。


(その常識は、他のすべての考えを頭から消し去るほど強くはないので、とても小さなものに違いない)。


旅立ちの時は近い。」


ティトゥスへと直ぐに会えない距離にいることは不幸中の幸いだとフレデリック、

近くに居たならば、決闘であろう、とフレデリックは怒りが収まらなかった。


フレデリックはティトゥスに言われたように

ポーランドを発つしかないのだ、

それも、予定より早く、、、


「私は、オーケストラ・カルテットと協奏曲全曲のリハーサルをしなければなりません。」(ピアノコンチェルト1番ホ短調のこと)


「そうしなければ、私の思い通りにならない。

からです。

エルスネル先生が言うようにオーケストラとのリハーサルはうまくいくはずがないからです。

リノフスキーは、パート譜を書き写すのに一生懸命です。

すでにロンドに取り掛かっているところです。」(コンチェルト1番ホ短調3楽章のこと)

フレデリックはお別れコンサートにはコンスタンツァアへの想いを描いたコンチェルトを発表しようと考えていた。

フレデリックはコンスタンツァアと別れたくないが、パトロンのティトゥスに従い、ポーランドを離れ芸術家として前へ進むしか道はない。


「私は先週の日曜日にトリオを練習した。

長い間聴いていなかったからか、自分でもかなり満足しています。

しかし、ある新しいアイデアが浮かんだ。

ヴァイオリンをヴィオラに置き換えることです。

ヴァイオリンでは第5楽章の響きがよく、ヴィオラの出番は少ないが、ヴィオラはチェロとは対照的に響きが強く響くだろう。

そうして印刷所に送ろう。」

『三重奏曲ト短調作品8』のヴァイオリンのパートをビオラに変更したことを説明したフレデリック…

続いて、他の話題に移る、

「私自身のことはこれくらいにして、次は他の音楽家についてです。

この件に関しても、あなたは、私のことを、利己主義的な戒律を守っている、と私を批判されることでしょう。」

ティトゥスは、フレデリックの歌手達への評価は自分本位であり、自己を律する道徳心に欠けると指摘したのだ。

フレデリックはコンスタンツァアびいきであったが、コンスタンツァアを称賛しているのはそれだけの理由があることをフレデリックはティトゥスに主張した。

しかし、ティトゥスはフレデリックとコンスタンツァアが自分の知らぬ間に一緒に暮らしていたとはパトロンとして許し難いことだったのである。


フレデリックとコンスタンツァアは二人だけで教会で密かに指輪を交換していた。

コンスタンツァアは母から譲り受けた指輪をフレデリックの指にはめた、フレデリックも母からもらった指輪をコンスタンツァアの指にはめふたりは永遠の愛を誓い合った。

そして、フレデリックとコンスタンツァアはクラクフのフロリアンで結婚して住んでいたのだ。

その頃、ティトゥスにも実は恋のお相手はあったのだが、真相は不明である。

その恋は実らなかったのか事実は不明(8年後には1838年にアロイジア・ポレティロ伯爵夫人と結婚)

その一方では、ティトゥスはフレデリックを

愛していたのでは、フレデリックもまた

ティトゥスを愛していたから、

二人は同性愛の疑いを持たれている説も否定できないのだ。

作曲家には同性愛者が珍しくないからだ。

とはいえ、美しいものや美しい人が好きな

ため女性も好きなのだ…。


元々ばティトゥスのほうがコンスタンツァアに夢中になっていたのだ。フレデリックはティトゥスに相応しい相手はコンスタンツァアではなく、金持ちの伯爵令嬢と結婚することが筋道だと考えていたが、ティトゥスは興味を示さなかった。

美しさがいまいちだったのか…。

どちらにせよ、ティトゥスは音楽家としてお金の支援が欲しければ、コンスタンツァアと別れて、ポーランドから早く出て行くよう

フレデリックに命令したと推測できる。

そのため、フレデリックの苦難の道はこの時から始まってしまったのだ。

そして、フレデリックの歌手への評論はなぜこんなにも細かいのか。

「ソリーヴァは先週の土曜日、マイル・ヴォルコフをとてもうまく訓練しまし、

アンナ•ヴォルコフは人々を魅了しました。

彼女はどの女優よりも美しかった。

彼女の声はほとんどわからなかった。

彼女は豪華な衣装を身にまとい、まるで海辺を歩いているようだった。

彼女は初舞台とは思えないほど優雅な動きだった。とてつもない拍手と勇ましさにもかかわらず、彼女はとても緊張していた。

第2幕のアリアまで、私は彼女が誰だかわからなかった。

それにもかかわらず、彼女は2日前の第2回公演のときほどうまく歌えませんでした。」


ヴォルコフにはロシアの大佐のパトロンが既に付いていたのだ、ヴォルコフは新人とは思えない舞台での演技を魅せた。


ティトゥスは若いプリマドンナ達の身のふり先をロシアの伯爵や大佐に紹介していた。

プリマドンナのデータをフレデリックに送ってくるようにティトゥスは指示していた可能性がある。しかしながら、

コンスタンツァアがロシアの伯爵などに売られては困るフレデリック…。、


「歌唱に関しては、グラドコフスカの方が比較にならないほど優れている。

ヴォルクのステージを見たとき、これほどの差があるとは思わなかった。


私たちは皆

明瞭さとイントネーション、そして彼女が舞台で見せる優れた表現力において、グラドコフスカのような人は他にはいないだろうと、私たちは皆同意している。」

コンスタンツァアが一番優れていたとフレデリックは、ティトゥスに主張した。

そのコンスタンツァアと一緒に住んでいるのは自分なのだとティトゥスに誇示した。


「グラドコフスカのような人は他にいない。」

これほど素晴らしい人は探してもいませんよと、更に書いた。

「ヴォルコフが時々音程を外して歌うことがあるのに対して

グラドコフスカは、

一度も怪しい音を出さなかった。

2日前に彼女たちに会ったとき、私はあなたの賛辞の数々を朗読した。

彼女らはとても感謝していた。. . .」

ティトゥスからの二人への賛辞は、

ロシアの伯爵や大佐との結婚の斡旋だったのだ。

毎回の如く書いても書いても気が収まらないフレデリックの長い書簡はまだまだ続くのである…。

……。



🎶教会の祭壇の前のフレデリックとコンスタンツァア🎶