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粋なカエサル

「クリスマスと聖書」⑤「東方三博士の礼拝」とクリスマスプレゼント

2018.12.18 00:46

 イエスがベツレヘムで誕生した時のできごととして、「マタイによる福音書」は次のように記述する(2章1節~2節)。

「占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。『ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。』」

 彼らが来た「東の方」とはどこか?聖書に明確な記述はない。バビロン地方ではないかとされる。星によって「ユダヤ人の王」誕生を知ってエルサレムまでやってきたのだから、メシア(「ユダヤ人の王」)待望論の強い地域=ユダヤ人が多く居住する地域と考えられるからその可能性はある。また、この「ユダヤ人の王」誕生によって自分の支配が脅かされるのではと不安を抱いた王が「ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。」ことからも、生まれたのが2年近く前のことと思われる。したがって、誕生を知ってからエルサレムに来るまで、それぐらいの時間がかかる場所ということからしても、バビロン地方(エルサレムから約2000kmで、当時の旅で1年半かかる距離)から来た可能性は高い。盗賊に襲われる危険性の高い旅をするわけだから、かなりの人数でやってきたことが想像される。

 彼らは、「ユダヤ人の王(メシア)」がユダヤのどこで誕生したかまでは知らない。だから、エルサレムに来てヘロデ王にたずねる。ヘロデ王は祭司長たちや律法学者たちを集めて調べさせる。そして「ユダヤのベツレヘム」と預言されていることがわかる。「ミカ書」5章1節にこうある。

「エフラタのベツレヘムよ。お前はユダの士族の中でいと小さき者。お前の中から、わたしのためにイスラエルを治める者が出る。」

 東方から来た学者たちは、星に導かれてベツレヘムの幼子イエスとマリアがいる「家」に入る。そして「ひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。」(「マタイによる福音書」2章11節)

 これらの贈り物にはどのような意味があるのか?「黄金」は「王」に捧げられるもの。将来イエスは、地上再臨後のメシア的王国(千年王国)の王となる。「乳香」は「祭司」が取り扱うもの。イエスは昇天後、天の聖所で大祭司としてとりなしておられる。「没薬」は葬りに用いられ、旧約時代の『預言者』たちはいのちがけで神のお告げを王や人々に伝え殺された者も多い。イエスも、預言者として地上に来られた。そして、この贈り物がクリスマスプレゼントの由来とされる。

 占星術の学者たちが帰って行くと、天使が夢でヨセフに現れてこう言う。

「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、私が告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている」

 ヨセフはどうしたか?天使の言葉に従って、すぐに「起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいた。」こうして、イエスは虐殺を免れた。しかし、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子は、ヘロデ王の命令で一人残らず殺された。

 (ニコラ・プッサン「幼児虐殺」プチ・パレ パリ)

(ヤコポ・バッサーノ「東方三博士の礼拝」ウィーン美術史美術館)

(ルーベンス「東方三博士の礼拝」ケンブリッジ キングス・カレッジ・チャペル)

(ニコラ・プッサン「幼児虐殺」コンデ美術館 シャンティイ)

(レンブラント「エジプトへの逃避」トゥール美術館)

(アダム・エルスハイマー「エジプトへの逃避」アルテ・ピナコテーク ミュンヘン)