Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

わたしの潔白とショパン

2018.12.18 00:28

今日は天気がいい、今日は何かいいことがありますように。

その日、朝礼で「最近、給食の食器の返却の数が足りないことがあります」と不可解な話しが山中先生からあった。

何かの間違いであろうと、誰もが気にしていない様子だった。

いつものように私は給食が終わり、食器をカートへ戻して、休憩に廊下へ出た。

友達といえる友達も今だに

たいしていない「○○○」と呼ばれている私だ。

お手洗いから戻り、教室に入ると私のカバンが机の上に無造作に置いてあるではないか。

教室は昼休みで皆は校庭へ出たので、あまり誰もいないが、4、5人はいる。

おや、おかしいな、私はカバンは机の上には置いてなかったはずだ。なにか様子が違う。

そばへより、私のカバンを開けてみた、それと、同時くらいのテンポで背後から「お、こいつ、カバンに給食の食器が入っているぞ!貧乏だから食器が家にないんだな、泥棒ー」と川原君の罵声が教室と廊下までとどろいた。

私のカバンの中には給食の食器が入っているではないか、

私は顔が青ざめた。

私はすぐにカバンから食器を取り出して、給食室へと続く長い廊下をひとりで食器を返しに行った。私の食器を持つ手は怒りで震えて冷たくなっていた。

家に帰ると私の様子がおかしいことに母が気がついた。

私は親には心配かけないように学校は嫌でも毎日行っていた。

次の日の放課後だ、山中先生が「今日はこれからホームルームをします。全員帰らないように」先生の表情は厳しい。

全員静まり返る。

私も何も事前に聞かされていないから、これから何を話し合うのかわからなかった。

しばらく、沈黙の間があり、

先生は重い口を開いた。

「昨日、この教室でこのようなことが起きました。由美子さんは食器を盗んでいません。由美子さんは、そのようなことをする人でありません。だれかが見ていたはずです。だれか犯人を見ていた人いませんか?今日は本当のことを全員が話すまで帰しません。」

私は山中先生に事前に何も話していなかった。これからどうなるのだろうと私の心臓は高鳴った。

沈黙が教室に続く。

救世主は現れるのか。

沈黙を打ち破り、ひとりの生徒が挙手した。

「はい、山田君」先生は真剣だ。

「先生、僕は見ました。給食が終わって、ほとんど全員が外へ出たあと、僕が教室に忘れものをとりに戻ると、川原君が由美子さんのカバンの中に食器を入れていました。」

私はやっと息をした。

しかし、それも束の間、

山中先生は、一瞬にして、頭に血が上ったのか、「川原、本当なのか、本当におまえがやったことか?本当のことを言いなさい!」教室の空気は凍った。

「はい、僕がやりました」

川原君は山中先生の真剣な迫力に降参して白状した。

先生は「由美子さん前へ出てきなさい。」私は前へ出て皆のほうに向いて立った。

「川原、お前に先生は裏切られた! ここへ来て土下座をして、由美子さんとクラスの皆に謝りなさい」先生はクラスをまとめようと必死だ。

しかし、私は土下座は望んでいない。

川原君は素直には言葉が出ない、すると先生は

「おまえのしたことはどういうことかわからないのか!」川原君の左頬をとうとう平手で勢いよくピシャリ!

川原君の泣き声が教室中に、いえ、廊下まで響いた。

私はその場にいるのも嫌だった。もうどうしていいかわからない。もうこの状況が全部が嫌でしかない。

後で知ったのだが、川原君の家は兄弟が多く裕福でなかったようだ。けれど、それは理由にならない、裕福でないひとがそのようなことをするわけではない。

私は複雑な気持ちが残りその後も心が痛んだ。

川原君がやったことは許されることでない。

先生はそれを全員に知らしめたのだった。

しかし、この先生の方法がよかったかはわからない。

母も別の方法はなかったのかと言った。

その先生は激しい性格だった。

私の潔白は晴らされた。

ショパンは裕福な家柄ではなかった、けれど、たくさんの曲や演奏で人を喜ばせた。

立派な偉人は苦労があっても人を落とし入れたりすることはしない。