リフォーム解体新書~玄関扉の交換で、シロアリ被害発覚
リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第10回 窓リフォーム
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
窓は建物の内部と外部の接点であり、思わぬところに外部からの被害が隠れている可能性があります。場合によってはサッシまわりの補修が入ることもあります。また失敗例として、建物の構造とサッシのミスマッチにより起こってしまった解体時のアクシデントを紹介しています。現場調査をしっかり行うことで、解体時のドッキリも少なくなるはずです。
《事例3》
玄関扉の交換で、シロアリ被害発覚
水まわりにシロアリ被害が無かったので油断した…
玄関扉の交換をしようとした職人から「柱がシロアリにやられてるよ!」と連絡が入りました。この家では水まわりの交換工事を終えたところでしたが、シロアリの被害がなかったため、意外な報告に「まさか」と耳を疑いました。
基礎はコンクリートベタ基礎のため、土が露出していません。そのおかげもあり、シロアリがいないのかと思っていました。玄関の柱も表面は被害に気が付かないくらいの状態でしたが、指で押したら中に空洞があり、ズブズブと表面がはがれてしまいます。このままでは玄関扉を交換できないと判断。急遽対策を練ることになりました。
【解決策は?】被害の範囲を確認
シロアリ被害が見つかった柱以外にも被害が広がっている恐れがあります。玄関扉の4方の木部をチェックしましょう。床の敷居の下を確認をするには、一部床タイルを剥がす場合が多いでしょう。また玄関框にも被害が及んでいる可能性があります。
シロアリ被害に遭った木部の補修の範囲を確認したら木部の交換や補修を行いますが、その前にシロアリ駆除を忘れずに。たとえ玄関以外には被害が無いとはいえ、床下全体に散布しないと被害が広がる可能性があります。
【どうすれば事前にわかる?】玄関の隅に黒い粉が…
意外かもしれませんが、玄関はシロアリ被害が多い場所です。玄関の扉を工事する時がシロアリ被害を発見するチャンスと捉え、事前調査の時にはそれこそ重箱の隅をつつくように、玄関の隅から隅まで確認しましょう。チェックポイントのひとつは木部周辺にこぼれている黒い粉。この正体は「シロアリの糞」なのです。他にも木部の変色、框のふかふか感などがあれば要注意です。
▲シロアリ被害のチェックポイント
[最近のシロアリ被害は玄関が多い?]
住宅内でシロアリが好む場所といえば、木が水分を含みやすい上に暖かい水まわり。シロアリ被害も水まわりが多いといわれています。ところが最近シロアリが出没する場所に変化があるようで、なぜか水まわりの被害よりも玄関での被害の方が多いそうです。
それは「ベタ基礎」(イラスト下)が多くなったため、床下に土が露出しなくなり、シロアリが水まわりの床下に入りこみにくくなったことが考えられます。しかしベタ基礎の建物でも、玄関の土間は布基礎と同様に土に接しているため、シロアリ被害を受けやすい状況に変わりはありません。そのため最近のシロアリ被害は水まわりよりも玄関の方が目立つようになった、ということです。
▲土が露出している「布基礎」では玄関よりも水まわりのシロアリ被害が目立つ
▲基礎の床面をコンクリートで固める「ベタ基礎」では水まわりへの被害が減った分、玄関へのシロアリ被害が目立つ
リフォマガ2024年2月号掲載
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