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【NZ留学日記】

2024.06.30 07:57

留学日記


-Pirates Old Boys

WTB大籔洸太

 

-Invercargill Blues

LO山川一瑳&FL奥井章仁

 

5月16日に日本を発ったLO山川一瑳、FL奥井章仁、WTB大籔洸太の3人は現在、インバーカーギルに滞在。一緒に生活しながら、大籔はパイレーツオールドボーイズ、山川と奥井はインバーカーギルブルーズでプレーしている。3人ともすでに数試合に出場、大籔は最初に悪天候の洗礼を受けた。

「日本で経験したことのない、台風のような風雨の中での試合でした。

日本なら学校は休みです(笑)。グラウンドが河川敷みたいになって、スパイクは泥に埋まる。身体もフリーズするような寒さで、パスも風でボールが前に流れる。衝撃的でした」。NZはこれから寒さが厳しくなるが、「あれ以上はない」と肝が据わった。

大学以降ずっとLOだった山川は、ブルーズではNO8に固定。新しいポジションで経験を積んでいる。

「最初はこっちでもLOでプレーするのかなと思ってたら、試合前日のメンバー発表でNO8と分かって」

 一番の違いはスクラム。NO8経験のある奥井に押し方を教えてもらいながら、徐々に慣れてきた。ポジション柄、アタックでボールを持つ機会も増えた。

「LOは基本的にインサイドのポジションにセットするんですけど、NO8だと外側にポジショニングすることが多い。久しぶりに外側でボールを持ってちょっと戸惑いました」

 最後尾でスクラムを組んでみると、見える景色が違った。

「LOだとフロントローの顔しか見えないんですけど、NO8は相手BKのポジショニングが見れる。あと、空気が全然違います。NO8は空気がきれい(笑)」

 奥井は7番で試合に出ている。大籔の所属するチームとの試合で序盤に足首を痛め退場。その後の試合には出場しているが、テーピングは自分で巻いている。

「足首のテーピングは、大学の授業でやったのですが、まさかここにきて、それが役立つとは(笑)」

 この春、帝京大からトヨタに加入。その後ケガもあり、実戦から少し遠ざかっていたが、今は存分に試合を楽しんでいる。

「今のレベルはスキルというより、がつがつ身体を当ててくるのがメイン。うまくずらして当たるのではなく、ぶち当たってくる感じ。僕としては思い切りコンタクトしてくれるほうが楽しい。ラグビーしてる時が一番楽しい」

 3人とも毎週のゲームタイムを楽しんでいる。それぞれのクラブチームは車で5分の距離。月曜と水曜は3人で州代表の練習に参加。火曜と木曜のそれぞれのクラブのトレーニングは、3人一緒に車で出発。大籔が先に降りて、2人が所属するブルーズに向かう。

 部屋の掃除や分担性。3人でスーパーに行き、分毎晩の食事の用意をする。到着当初、12個入りの卵が千円以上するのに驚いたが、こちらも次第に慣れてきた。練習前にご飯を炊く準備をして、戻ってきて調理。食卓に並ぶのはカレー、豚肉の生姜焼き、野菜炒めなど。キッチンは広く、3人で作業していても狭く感じることはない。近くに、日本人の経営する弁当屋さんがあり、火~木のお昼はそこでお世話になっている。

「去年留学していた淺岡さんから聞いていたのですが、味噌汁とかかつ丼とか、僕たちのために作ってくださるのでありがたいです」(大籔)

 オフは街に買い物に行ったり、州代表の選手とゴルフに出かけたり。

「インバーカーギルにあるスターバックスが世界最南端のお店らしくて、今度行ってみようと話してます」(山川)

 インバーカーギルには、不思議な縁もある。初めてNZからトヨタに加入した選手であるスチュアート・ハービー氏が住んでいるのだ。トヨタ在籍時には大籔の父・正光さんと一緒にプレー。息子二人がいま、同じクラブでプレーしている。

「その話はこちらに来る前に聞いていたんですが、すごい出会いだなと」(大籔)

 地区の大会は7月13日で終了、その後はサウスランド州代表選出に向けての練習が始まる。3人ともスコッドには入っているが、代表が保証されているわけではない。

「NPCに向けて、アメリカやフランス、ヨーロッパでプレーしている選手が戻ってくるらしいです。トヨタにいたトゥイプロトゥ(パトリック=現オールブラックス)の弟もオークランド出身ですが、NPCで活躍すればスーパーラグビーのチャンスが開けるので、こっちに移ってくると聞きました」(大籔)

 州代表からスーパーラグビー、そしてオールブラックスを目指す選手と競えるのは願ってもない経験だ。

 FBで試合に出場している大籔は滞在中、スピードをより活かせる技術を身に着けることを目指す。

「NZは基礎的なスキルを持っている選手が多いので、僕のスピードをさらに活かすためのパスとかキックのスキルをたくさん吸収したい」

 山川はNO8としての成長が目標だ。「複数のポジションができることは武器になると思うので、新しいポジションでも自分の強みを出せるようにしていきたい」(山川)

 奥井は得意のコンタクトの向上に加えて、英語の上達も自らに課している。

「リーダーになっていくには英語で話すことも大切。コミュニケーションの部分も何かしら学びを得て、日本に戻りたい。ラグビーやってる時が幸せなので、今楽しいです」

 これから冬を迎えるNZで、ラグビーは熱を増していく。

※昨年、期限付きトレーニーとしてトヨタヴェルブリッツへ来てくれていた*ハミー(Hamdaha Tuiplotu)も、同じくSouthland州代表を目指し、トレーニングに励んでいる。

*2021-22シーズンを共に過ごしたPatrick Tuiplotuの弟