Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

海外のプラスチック汚染対策:規制の厳しい国と規制のない国の現状と懸念

2024.07.04 02:30

プラスチック汚染は、世界中の環境問題として深刻化しています。プラスチック廃棄物は陸地から海洋へと流れ込み、生態系や人間の健康に重大な影響を与えています。各国はこの問題に対処するため、さまざまな規制や対策を導入していますが、その厳格さや実施状況は国によって大きく異なります。

規制の厳しい国の対策

1. 欧州連合(EU)

EUはプラスチック汚染対策の先頭に立っており、厳しい規制を導入しています。2019年には、使い捨てプラスチック製品の一部を禁止する「使い捨てプラスチック指令」が採択されました。この指令は、ストロー、カトラリー、皿、綿棒、風船の棒などを含む一部の使い捨てプラスチック製品の販売を禁止しています。また、EUはリサイクル目標も設定しており、2025年までにプラスチック包装廃棄物の50%、2030年までに55%をリサイクルする目標を掲げています。

2021年のEUのリサイクル率は平均42%であり、リサイクル率の向上に努めています。

2. カナダ

カナダ政府は、2021年に使い捨てプラスチックの禁止計画を発表しました。この計画では、プラスチック製のストロー、カトラリー、袋、リングキャリア、食品容器、攪拌スティックの使用を禁止する予定です。また、カナダは2021年にプラスチック廃棄物を有害廃棄物として分類し、国際的な輸出規制を強化しました。

カナダのプラスチック廃棄物のリサイクル率は9%と低く、リサイクルインフラの強化が求められています。

3. 日本

日本は、プラスチック資源循環戦略を策定し、2030年までに使い捨てプラスチックの削減目標を設定しました。また、2022年にはプラスチック資源循環促進法が施行され、プラスチック製品の設計、使用、リサイクルの各段階での取り組みを強化しています。

日本のプラスチック廃棄物のリサイクル率は約25%であり、リサイクル技術の向上が進められています。


規制がない国の懸念

1. 中国

中国は世界最大のプラスチック生産国であり、消費も多いですが、プラスチック汚染対策は未だ不十分です。中国政府は一部のプラスチック製品の禁止や制限を導入していますが、地方自治体による実施が不均一であり、違法廃棄物処理が依然として問題です。

中国の年間プラスチック廃棄物排出量は約6000万トンに達し、適切な処理が求められます。

2. インドネシア

インドネシアは、世界で最も海洋プラスチック汚染が深刻な国の一つです。規制が弱く、廃棄物管理インフラが不十分であるため、プラスチック廃棄物が海洋に流れ込む量が多いです。政府は対策を講じていますが、実施が遅れており、効果が限定的です。

インドネシアは毎年約310万トンのプラスチック廃棄物を海洋に流出させており、世界第2位の排出国です。

3. ナイジェリア

ナイジェリアでは、プラスチック汚染に対する規制がほとんどなく、廃棄物管理のインフラも整備されていません。結果として、プラスチック廃棄物が大量に河川や海洋に流れ込み、環境問題が深刻化しています。

ナイジェリアのリサイクル率は非常に低く、適切な廃棄物管理が急務です。


規制の有無による影響と懸念

環境への影響

規制が厳しい国では、プラスチック廃棄物のリサイクル率が向上し、海洋や陸上の汚染が減少する傾向があります。一方、規制がない国では、廃棄物が適切に処理されず、環境への負荷が増大します。特に海洋汚染は、世界全体の生態系に影響を及ぼし、魚類や海鳥などの生物に悪影響を与えます。

経済への影響

規制が厳しい国では、リサイクル産業が発展し、新たな雇用を生む可能性があります。しかし、規制がない国では、廃棄物管理のコストが増大し、観光業や漁業などの産業にも悪影響を与えることがあります。

健康への影響

プラスチック廃棄物の不適切な処理は、人間の健康にも影響を及ぼします。微細なプラスチック粒子が水源や食品に混入し、摂取することで健康被害を引き起こすリスクがあります。


まとめ

プラスチック汚染対策は、規制の厳しい国と規制のない国で大きな差があります。規制が厳しい国では、リサイクル率の向上や廃棄物の削減が進んでいますが、規制がない国では、依然として環境や健康への悪影響が深刻です。持続可能な未来を実現するためには、国際的な協力と厳格な規制の導入が必要不可欠です。全ての国が一丸となって、プラスチック汚染問題に取り組むことが求められます。


pic:rorozoa/Freepik ※Photo is an image.