製品に含まれるマイクロプラスチックを考える
マイクロプラスチックとは、直径5ミリメートル未満の非常に小さなプラスチック粒子を指します。これらは主に、以下のような二つの方法で環境に放出されます:
一次マイクロプラスチック:製品の原材料として意図的に製造された小さなプラスチック粒子。例えば、化粧品や洗顔料、歯磨き粉などに含まれるスクラブ剤や研磨剤。
二次マイクロプラスチック:大きなプラスチック製品が劣化や摩耗によって細かく砕けたもの。例えば、ペットボトルやプラスチックバッグ、衣類からの繊維など。
健康への懸念事項
マイクロプラスチックの健康への影響はまだ完全には解明されていませんが、以下のような懸念が挙げられています:
消化器系への影響:マイクロプラスチックが飲食物に混入し、消化器系に取り込まれることが確認されています。これにより、消化器官の炎症や障害を引き起こす可能性があります。
化学物質の付着:マイクロプラスチックは環境中で有害化学物質を吸着する性質があります。これらの化学物質が体内に取り込まれると、内分泌系の乱れや発がん性リスクが高まる可能性があります。
ナノプラスチックの吸収:さらに微細なナノプラスチックは細胞膜を通過し、体内のさまざまな組織に分布する可能性があります。これにより、細胞機能や遺伝子に影響を与えるリスクが考えられます。
使用が規制されているもの
EU:欧州連合では、2022年から化粧品や洗顔料などに含まれる一次マイクロプラスチックの使用が禁止されています。
アメリカ:アメリカでは、「マイクロビーズフリーウォーターズ法」に基づき、2015年から洗顔料や歯磨き粉に含まれるマイクロビーズの使用が禁止されています。
カナダ:カナダも2018年に化粧品やパーソナルケア製品に含まれるマイクロビーズの使用を禁止しました。
使用が規制されていないもの
衣類の繊維:洗濯時に放出されるマイクロプラスチック繊維は、現時点では多くの国で規制がありません。
塗料やタイヤ:塗料やタイヤの摩耗から発生するマイクロプラスチックも、多くの国で規制がありません。
消費者が気をつけること
製品ラベルの確認:化粧品や洗顔料、歯磨き粉などの成分表を確認し、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのプラスチック成分が含まれていない製品を選ぶ。
天然素材の選択:衣類や生活用品において、天然素材(綿、麻、ウールなど)を選ぶことで、マイクロプラスチックの放出を抑えることができます。
フィルターの使用:洗濯機に取り付けるマイクロプラスチックフィルターを使用することで、衣類から放出されるプラスチック繊維を捕集することができます。
企業が取り組むべきこと
製品設計の見直し:マイクロプラスチックを含まない代替素材を使用した製品の開発を推進する。
サプライチェーンの管理:製品の製造過程で発生するプラスチック廃棄物の管理を強化し、環境への放出を防止する。
リサイクルとリユースの促進:プラスチック製品のリサイクル率を高め、製品のリユース(再利用)を促進する取り組みを実施する。
消費者教育:消費者に対してマイクロプラスチックの影響とその回避方法について教育し、持続可能な消費行動を促すキャンペーンを展開する。
まとめ
マイクロプラスチックは、製品の利便性を高める一方で、環境と健康への影響が懸念されています。規制が進んでいる国々では使用が禁止されていますが、規制がない国々では依然として問題が続いています。消費者は製品選びに注意を払い、企業は持続可能な製品開発と供給チェーンの管理を強化することが求められます。両者が協力して取り組むことで、マイクロプラスチック汚染の軽減と持続可能な未来の実現が可能となります。
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