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Waiiha Picturesque

紫陽花に導かれる

2024.06.28 08:50

店に向かう前に、ウクレレフェスタの候補曲を

YAMAHAのウクレレで、つま弾いていた。

レース越しの窓の外は、雨が強くなっているのに、

おー。やっぱり、このウクレレは、いい音だな。

店に着いたら、8弦のウクレレを久しぶりに弾こう。

そんな、気分になって、緑のポンチョを着て家を出た。


雨の町を歩く。古い路地を歩く。

名前の知らない花が雨に濡れて、かよわくて綺麗だ。

花の名前に疎い僕でも、紫陽花は分かるけどね。

街路樹も雨のシャワーを浴びて、気持ち良さそうだ。


常に踏切派の僕だけど、今日は、踏切で待たされるのを

避けたくて、駅前のアーケードに向かって歩いていると、

何故か雨足が弱くなった。

雨の雫が肩に落ちてくる。リズミカルに落ちてくる。

心の中で、聞き覚えのある曲が流れ始めた。


「6月の神話は 雨の音がしてた」


この短いフレーズを何度も何度も繰り返している。

『愛しのテラ』という切ないけど美しすぎる名曲。

この曲を聞きたくて、LP(レコード)を購入した。


さっき見つけた紫陽花の色が、不思議に気になっている。

気づくと、駅前のアーケードに辿り着いていた。

車道の雨だまりを走る車の音。信号の色も霞んでいる。


6月最後の金曜日。今日も天気は雨模様だけど、

8弦のウクレレを弾いてみるという楽しみもある。

こういう日は、のんびりと雨の音に耳をかたむけて

ウクレレを弾くのがいいよね。


このアーケードが途切れる所。

横断歩道で信号機が変わるまでの僅かな時間の雨宿り。

ふと、何かに導かれるように視線を向けた、その先に。

紫陽花のような色合いのワンピースが、店先に並んでいた。


迷うことなく、2着を手に取って、会計に向かっていた。

緑のポンチョを着ていることも忘れている。


雨に濡れた紫陽花と6月の神話は水彩画のように美しい。