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【NZ留学日記】HO加藤竜聖&CTB松山千大

2024.06.29 17:22

留学日記

Valley Sports Club

HO加藤竜聖&CTB松山千大

 

加入6年目のHO加藤竜聖と2年目のCTB松山千大は5月末に日本を出発。現在、ダニーデンから車で1時間20分ほどのオマル(Oamaru)という街に滞在。地元のバリー(Valley)スポーツクラブでプレー中だ。


現在は二人で共同生活、ウイークデーの午前中は契約しているジムへ。クラブの練習は平日の夜だ。街中にあるスパにも通い、広い湯船で疲れを癒す。スパに来た地元の人たちと他愛ない会話をかわすのも、英語のレッスンだ。

 到着当初は、環境の違いに戸惑った。グラウンドや設備も日本とは違う。ボールも使い込まれて表面がツルツルと滑る。3週間ほど経ち、ようやく馴染んできた。試合には到着直後から2人とも先発しているが、FWとBKそれぞれにアジャストしている最中だ。HOの加藤は「口で言ってもディテールまでは伝えきれない。フッキングやスローイングはグラウンドで少しずつ合わせていく感じです」(加藤)

 トヨタで外国人選手と一緒にずっとプレーしていたのだから、ある程度の素地はある。「ラインアウトのサインとかジョシュ(ディクソン)と話しながらやっていた。英語も来る前は心配していたのですが、実際に来てみたら意外に大丈夫だった」

12番で出場している松山は「CTBとして、自分がFWをコントロールしたいのにうまく伝えられなくて、思ってる形にならない。咄嗟に英語で言葉が出るように、日々成長していかないと」。プレータイムを通して向上を目指す。


 仕事を持ちながら、ラグビーで上を目指すチームメートにも刺激を受けている。先日、19歳からバリー一筋でプレーしていた33歳のNO8が、200キャップとなる試合に一緒に出場した。

「前半、結構ペナルティをとられてリードされてたんですけど、ハーフタイムに喝が入った。彼はオマルで生まれて、ずっとこのクラブでやってきた。“あいつのために今日は絶対に勝つんだ”と」(加藤)

 その喝が効き、後半に逆転勝ち。記念すべき試合の一員となれた。

「刺激になるのはメンタル面。なぜ自分がラグビーをしているのか、このチームのために身体を張るという気持ちが伝わってきて、熱くていいなと。リスペクトを感じます」(加藤)

 ラグビーを始めた頃の原点を思い起こす日々だ。

料理が得意の松山は、現地のスーパーマーケットで戸惑った。

「日本と違うのは、鶏肉と牛肉の値段がほぼ同じこと。もともと鶏肉が好きなんですが、“同じ値段なら牛でいいか”となる」

海外で生活する選手が苦労するのが、日本ではおなじみの薄切り肉がないこと。塊を四苦八苦しながらカット。先日は日本から持参した調味料で、親子丼を作った。

「日本で食べるのと同じ味でした」(加藤)

 今回の加藤の留学は、チームにとっても新しいチャレンジだ。これまで留学してきたのは入社間もない若手。27歳の加藤自身、「もう(留学は)ないんだろうな」と思っていた時に話が来た。

「最初は悩みました」

 長男が1年前に生まれたばかり。行くとすれば、家族に負担をかけることになる。だが、両親も夫人も「行って来たら」と背中を押してくれた。チームとも相談し、家族が訪ねてきたときに滞在できるよう、ファミリー向けのフラットを手配してもらった。

「ベビーベッドやベビーカーは、仲間が不要になったものを譲ってくれると言ってます」


 チームメートの気遣いが嬉しい。家族を持って、海外に出たからこそ見えてくるものもある。

 日本を発ったのは、長男の1歳の誕生日の翌日。現在は朝昼晩とテレビ通話で顔を合わせているが、実際に成長を目にする日が待ち遠しい。

「自分がきっかけで、家族を持つ選手も留学できるようになれば」

夫人は現在、渡航準備中。「奥さんも、こっちに来るのが楽しみだと言ってます」

 家族が来たときのために、街中のベビーショップは、全て頭に入っている。

「僕は加藤家の次男として頑張ります(笑)」という松山には、ラグビー以外の目標も生まれた。

「NZトヨタがハイランダーを貸してくれたのですが、荷台も広いし乗り心地もいい。近い将来、ハイランダーに乗りたい」。今はお気に入りの車でグラウンドに通う日々だ。


2人が住むノースオタゴの地域トーナメントは4月にスタート。チームは決勝トーナメント進出を決めており、7月半ばまで試合が続く。地域の大会が終了すれば、今度はノースオタゴ代表のセレクションが始まる。2人ともスコッドに名を連ねており、代表に選ばれると帰国は10月末まで延びる。

「まずは心身共に成長して、来シーズン、チームの力になれるようパワーアップして戻ってきたい」(加藤)

「今はプレータイムを十分もらえるので成長できる。帰ったら日本人選手と外国人選手を繋ぐ役割として役に立てたらと思っています」(松山)

 家族の応援を得て、さらに加速できそうだ。

※この日は練習前に地元の高校へ行き、ラグビー指導も行った。