伊達英太郎氏の太陽観測(8)
プロミネンス観測(4)
(神戸市にあった、スコフィールドの自宅の観測所)
(27)1924年10月4日 中村よりスコフィールドへ
私のプロミネンス観測の結果を最近調べたところ、いくつかの興味深い事実がわかりました。北半球にはプロミネンスが非常に多く、45個のうち34個が北緯にありました。緯度の分布は40°〜50°で、赤道付近が最も豊富であることが分かりました。
緯度 0°-10
10-20 20-30 30-40 40-50 50-60 60-70 70-80 80-90
観測数 9
1 5 8 9 6 4 1 3
(28)1924年10月7日 スコフィールドより中村へ
この5日間、天気が悪かったのですが、今朝は少しだけ晴れ間が見えたので、その機会を利用して太陽を見てみました。SEの4分の1の位置に新しい大きなグループがあります。分光器で見ると、低緯度の東縁に約12万マイルの高さに巨大な炎のようなプロミネンスがあります。何か巨大な力が、巨大な炎の舌の先端を赤道に向けているようです。
(29)1924年10月9日 スコフィールドより中村へ
4日付のお便りありがとうございました。また、太陽プロミネンスの分布についての興味深いご意見も拝見しました。10月の太陽軸の位置と向きについて、倒立接眼レンズで見て、以下のようになっているのが正しいかどうか、教えてください。
例:プロミネンス "a "はE.リムで55°S. "b "は北緯30度。W. "
太陽黒点 "c "は北東4分の1の25度付近にあります。
標準的な教科書に掲載されている天体暦と、数年前に "English Mechanic "に掲載された天体暦には違いがありますので、上記の内容が正しいかどうか教えてください。
(33)1924年12月4日 スコフィールドより中村へ
私は幸運にも、最近、巨大な太陽の爆発現象を目撃しました。それは本当に素晴らしい光景でした。鮮やかな赤い炎とロケットのような噴射物が、数分で20万マイルの高さまで上昇し、実際、それらが急速に動いているのがはっきりと見えました。全体の爆発は37分で終わりました。この爆発現象は、ちょうど西の縁を通過している最近の大黒点群の先頭の斑点を取り囲むように広がっている領域で発生しました。私は、太陽の分光学は非常に魅力的だと思います。
(36)1925年12月30日 スコフィールドより中村へ
私はこの数ヶ月間、他のことでとても忙しかったので、太陽のプロミネンスを時折観察する以外には何もできませんでした。
私はいくつかの美しいプロミネンスを見ました。もっと大きな反射鏡を買おうと思っていたのですが、商売がうまくいかず、今はその余裕がありません。来年の秋には興味深い火星の接近があるので、楽しみにしています。
(39)1926年5月11日 スコフィールドより中村へ
先日お話しした通り、4月の太陽プロミネンスの観測報告を同封しておきます。曇りや雨でなくても、出勤時間まで雲や霞が十分に取れていないことが多いので、毎日の観測はほとんど不可能です。今月は今のところ1回しか観測していません。もしご希望であれば、今後のレポートで大きなプロミネンスの位置をおおよそ示すことができます。
(出典)
「山本天文台資料より」
(参考文献)
冨田良雄. 暗号コードと火星 --R.スコフィールドの見た夢--. 第6回天文台アーカイブプロジェクト報告会集録 2016, 6: 32-38