自己表現と自己効力感
普段、来所すると「アイロンビーズがしたい」と開口一番に出るのが、この日は、「アートがやりたい」と伝えて来ました。 僕自身もいつまでもアイロンビーズだけでは、伸びしろのことを考えていた矢先だったため、良かったと安堵と今後のことを考えなくてはという思いです この一連のアートの活動から観られる教育心理学の側面から考察します。
未就学児が自らアートをしたいという意思表示やその描いている様子には、以下のような教育心理が働いていると考えられます。
自己表現と自己効力感
■自己表現の欲求
アートを通じて子どもは自分の感情、思考、経験を表現しようとします。絵を描くことは、言葉では表現できない感情や経験を具現化する手段となります。
■自己効力感
自分で絵を描くことで、「自分はできる」という自己効力感が養われます。これは、自信を持って他の活動にも取り組む姿勢を育む基礎となります。
創造性と問題解決能力
■創造性の発達
アート活動は創造力を育む重要な活動です。自分の思い通りの絵を描くことで、想像力を自由に発揮する機会が与えられます。
■問題解決能力
絵を描く過程では、「どうすればうまく描けるか」「この色を使ったらどうなるか」といった問題に直面します。これに対する試行錯誤は、問題解決能力を育てる経験となります。
動機づけと情緒発達
■内発的動機づけ
自らアートをしたいという意思は、内発的な動機づけによるものです。これは、外部の報酬や評価によらず、自分の興味や関心に基づく活動を追求する姿勢を表します。
■情緒の発達
アートを通じて子どもは感情を表現し、それを整理することができます。これにより情緒の発達が促され、感情を適切にコントロールする力が養われます。
認知発達と社会性の発達
■認知発達
絵を描くことで、形、色、空間の認識力が高まります。これらの認知スキルは、後の学習や生活における基本的な能力の基盤となります。
■社会性の発達
他の子どもや大人と一緒に絵を描いたり、作品を見せ合ったりすることで、コミュニケーション能力や社会的スキルが発達します。
これらの教育心理的な要素が、未就学児がアート活動を通じて成長するプロセスにおいて重要な役割を果たしています。
また、画像で確認できますが、ペンを右手、左手と使い分けています。
これは、どのようなことが考えられるのでしょうか。
1.利き手の発達途中
未就学児はまだ利き手が完全に決まっていないことが多く、どちらの手も試している段階かもしれません。この過程で両手を使い分けることが自然に行われることがあります。
2.両手利きの可能性
一部の子どもは両手利きであり、状況や活動によって左右の手を使い分けることができる場合があります。
3.手の疲労や疲れ
絵を描く際に片方の手が疲れた場合、もう片方の手を使って休ませるために手を使い分けることがあります。
4.位置やアクセスの便利さ
描いているキャンバスの位置や大きさ、または描きたい場所によって、どちらの手が便利かということから変わることがあります。特に大きな紙に描く場合、左側の部分は左手で、右側の部分は右手で描くほうがやりやすいことがあります。
5.脳の発達と連携
絵を描くことは脳の両側の活動を刺激します。右手と左手を使うことで、右脳と左脳の連携が促進され、全体的な脳の発達に寄与する可能性があります。
6.遊びや実験の一環
子どもはさまざまな方法を試して遊ぶことが多いです。どちらの手で描くのが楽しいか、どちらが上手に描けるかを試している可能性もあります。
未就学児の行動には個人差が大きく、その時々の状況や子どもの性格、興味によっても異なります。したがって、両手を使い分けることは自然な発達過程の一部であり、特に異常や問題があるわけではないことが多いです。