Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

2018年の不動産業の市況を独断でまとめてみました。

2018.12.20 04:14

 2018年はこの数年の不動産市況とは変わりつつある。勿論社会的なニュースや経済動向などで左右されるのが不動産市場だが、その表面的な事象とは別に実際の現場での変化は、かなり劇的な変化が訪れる前兆のような気がする。


 レインズの成約データや登録データ、また各ポータルサイトのデータからの市況とは別にあくまで私が赴いている現場の状況を踏まえてそれぞれの景況感などを纏めてみた。

(全て主観なのでご了承ください)


1.賃貸仲介業はかなり苦戦している。そのなかでも勝っている企業もある。

 賃貸仲介業は、どの企業も苦戦している印象が強い。

 東京に関してだが、まず都心は空室がかなり少ない印象を受ける。空室が少ないと、管理会社は広告料を引き締める。それにより仲介会社の単価が下がり、売上向上に繋がらないケースが多い。また広告掲載許可(二次広告)も昨年よりも厳しくなっており、この辺りで苦労している企業も多い。

 郊外の賃貸仲介会社は、都心部に近い郊外だと好調、都心から電車で1時間前後の会社は厳しい印象を受ける。

 都心の空室が少ないため、その周辺の物件の動きが以前に比べて活性化している。しかしさらに遠くなると、今度は供給過多になり、借り手が少ない現象になっている。


 とはいえ、やはり今期も絶好調の企業も多くあり、仲介業も2極化が進んでいる。成功している企業の特徴は、広告宣伝費がかけられるところ、また自社独自の集客方法を持っているところが調子が良い。逆にポータルサイトに頼りきりになっている企業は、かなり厳しそうなイメージだ。


2.管理会社は都心部、県庁所在地のメイン企業は好調。しかし空室が少ないため、なかなかショットの売上の確保は苦労している。

 管理会社は、多くの企業がとても高い稼働率を保っている。特に都心部の空室が少ないため、希少価値が上がるため、広告料の引き締めを行い、業績にも良いインパクトを与えている。しかし高い稼働率を保っているため、新規受託はかなり苦労している印象を受ける。要は次の仕込みの部分での戦略に苦慮しているイメージだ。ただこれは都心部、また地方でも中心部に限ったところで、周辺、特に地方の空室はかなり多い。特に2010年以降の地方の一棟物はかなり厳しそうだ。投資価値は高いものの、実際のリーシングが追いついていないイメージがある。


3.中古の実需の売買仲介業は堅調なイメージ

 この数年でリノベーションで資産価値を向上し、売却するケースが増えてきた。このあたりの中古市場は堅調なイメージだ。また住宅ローン控除等の政策としての推奨もまだ推進力が強いので、それぞれのプレイヤーは手堅く業務をこなしているイメージがある。また先述したリノベーション業界、リフォーム業界はかなり調子が良い。特にノウハウ販売、FC等で川上を抑えている企業はとても調子が良い。

ユーザーの動向も変わらないが、しかしながら、全体的に少しずつ晩婚化している現状、そして30歳から40歳前後の世代のライフスタイルの変化は現場に影響を与え始めているようなイメージがある。

つまり、買わずに、借り続けるユーザーが都心部では増加傾向にあるので、このあたりのユーザーにどのように希求していくかが鍵となりそうだ。


4.新築住宅、新築マンション市況

 とにかく都市部は強い。しかしながら、少しずつ郊外の販売スピードが落ちている印象がある。また工事費の価格高騰により、物件価格は依然高い状態をキープしている。中古戸建の流通が少しずつスタンダード化していくと、かなり新築戸建は厳しい状況になりそうだ。

 また開発地に関しては、大型法人の物件の手離れが悪いのと、先に述べた工事費の高騰により、都心部取得に関してはかなりの高い金額を出さなければいけない。


5.投資市況

 一棟物の投資は非常に厳しい印象がある。キャッシュのある投資家以外は、一棟物の投資はNGなイメージだ。いっぽうで分譲マンション投資は今後も盛んになりそうだが、価格が上昇しているので、新築分譲でのインカム狙いは難しそう。しかしながら、中古はリノベでの資産価値向上効果などが見込まれる。今後は中古ワンルーム価格が上昇するかもしれない。


不動産テック系周辺事業

 業務支援系は管理会社の工数削減のプロダクトが売れているイメージ。これは人材確保難と生産性の向上施策が理由と思われる。また仲介の業務支援系は少し落ち着いているような印象を受ける。今後は基幹システムだけではなく、賃貸、売買業務と管理会計との繋ぎ込みが重要かもしれない。

 いっぽうで投資アプリなども広がりを見せているが、小口化、証券化できる一棟投資の取得が難しいので、どのように商材をブラッシュアップするかが重要になりそう。

 また業界全体のペーパーレス化、効率化は、重説オンラインなど賃貸業のほうが、進んでいる。売買業務の物件調査、法務局での書類調査などはまだまだアナログなイメージがある。

 人手不足、業務効率化、またブロックチェーン化がこれからの鍵となりそうだ。


 いずれにしても2018年少しずつ景況感みたいなものは変化しているが、はたして来年はどのような市況になるのだろうか?

 データの分析と、現場の空気感を見ながら、冷静に見守っていきたいと思う。