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特定非営利活動法人 バムスぴあ

精神科の治療って

2018.12.20 03:26

 十数年前、初めて「精神障害」と言われる方々と関わる仕事に携わることになった。当時は主治医から処方された薬は飲むのが当然だと思っていた。だから、無邪気に「薬は飲んでくださいね」などと、薬を飲みたくないという人たちに言っていた。医療は正しいと思い込んでいた。ごめんなさい、わたしは無知でした。

 主治医の処方に疑問を抱くようになったのは、当事者の人たちの話をじっくり聞くようになってから。「生活リズムが整って元気になってきたら、躁状態じゃないかって薬が変わった」とか、「診察で調子どう?って言われたら、調子悪くてもいいって答える。薬が増えると嫌だから」「先生とはあまり話さない。忙しそうだから」などと言う人たち。え、主治医との意思疎通ってその程度なの? それで適切な処方ってできるの?

 これはいくらなんでもひどいのでは、と思ったケースもある。統合失調症と診断されて、長年服薬してきた30代男性。実は統合失調症ではなくて発達障害だったことが判明し、もう薬は飲まなくていいと言われたとのこと。ほかにも、抗うつ剤を5種類処方されて、いつも夢見心地だった40代の男性。転院して減薬したら顔がシャキッと引き締まった。

 相当長い間、精神科を受診しながら引きこもりがちな生活をしている人がいる。そんな状況でも、支援者などとの関わりができ、生活リズムが安定し、人間関係が少し広がり、短い時間でも働くようになると、生き生きと日々を過ごすようになる人たちにたくさん出会ってきた。

 精神科を受診し、服薬することが必須の場合ももちろんかなりある。でも、それだけではとても足りない場合もかなりある。

 気になるのは、精神科医療の中に、それだけでは足りないとの意識がどれくらいあるのかということ。