【社長通信】平成の終わりに
うらを見せ おもてを見せて ちる紅葉
良寛
いつの間にかカレンダーも一枚を残すのみ。
家の近くの神社、妙見社の境内には大みそかの“お焚き上げ”といわれる焚火用の木や枯れ葉が円錐形に積まれている。
今年ももう終わるのかと、元旦に目にした明々と燃えたぎる炎を瞼によみがえらせていた。
さて、年末になると冒頭の句が暗喩するように、ついつい来し方、行く末を考えるのが人間の性(さが)かと思う。この一年を振り返ると同時に、二年前、三年前、その前はとどんどんと遡っていく。それに、平成最後の歳末ということで、平成という30年を自らの生きざまと重ね合わせて振り返り、感慨に耽る。
昭和が終わり平成に入って3年~5年にかけて日本ではバブル経済が弾け、それから長い失われた10年、いや20年といわれる経済の長期低迷期に入った。
世界の動きも激しく、ソ連の崩壊、ベルリンの壁の崩壊とともに東西の冷戦が終わった。
9・11(ナイン・イレブン)といわれるアメリカの同時多発テロの発生、ニューヨークのツインタワービルに飛行機が突き刺さり、炎上する映像が眼に焼き付いている。
一方、平成7年に起きた阪神・淡路大震災に続き、23年3月11日に起きた東日本大震災はマグニチュード9・0という巨大地震で東北地方を中心に大きな被害をもたらした。未曽有の大津波に襲われ、飲み込まれる人や車の不条理には戦慄した。
東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故は住民からふる里を奪い去った。
東北は山形県生まれの私はこの事実を自分事としてとらえ、被災地の一日でも早い復興を願って微力ながら支援を続けている。
こんな時代の重苦しい空気のなかで、平成10年10月に(有)セフティワンという会社が誕生した。
前身の(株)エスエイチエスから事業を引き継いで営業を開始したのは翌11年2月だった。
経営資源のヒト、モノ、カネが全て不足する厳しい条件下での試練の始まりだ。繁閑の差が大きく、人の出入りも激しい。業務量も少ないうえに警備料金は低い。少ない仕事の奪い合いでまさに消耗戦。いつまでもつかと時間との闘いでもあった。
そんな中で、30代前半に経験した地獄のような日々を思い起こしては、なんとかなると自分に言いきかせた。
結果的に多くの人に支えられ、この度創立20周年を迎えることができた。
考えてみるとロータリーに入っていたからこそ、持ちこたえられたかと思う。
ロータリーの組織の中で教えられ、理念を学び、自分なりに考え、行動することで自らを磨いていったように思う。つまり、ロータリーの会員でいる限り会社を潰すわけにはいかない、との信念で、ロータリーの精神である“4つのテスト”を心に刻み取り組んできた。
これからは、変化の激しい時代の動きに目を凝らし、想像力をふくらまして5年後、10年後を展望してまいります。
「一味同心」、この一年お疲れさまでした。
20年という節目の年を過去最高の好決算で迎えられたことはみなさんのご尽力のたまもの、心より御礼感謝申し上げます。
来る2019年は、各人の中に潜む能力を引き出し、磨きをかけて仕事を楽しみ、人生を楽しみましょう。ハッピーになりましょう。
代表取締役 加藤慶昭
(平成30年12月13日記す)