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柔道整復師の業務範囲について

2024.07.08 01:02

私のようないわゆる「接骨院の先生」は「柔道整復師」という国家資格(免許)を持っているのですが、我々柔道整復師の「業務範囲」について他資格の方から言及されることが多々あります。


柔道整復師の「業務範囲」については他資格の方はもちろん、柔道整復師でも勘違いしている方が多い印象があるので、今回は「柔道整復師の業務範囲」についてお話ししていこうと思います。


まず、柔道整復師のあれこれを定めている「柔道整復師法」には柔道整復師の業務範囲についてどのように記載されているのでしょうか。


柔道整復師法によると以下のように記載があります。


柔道整復師法第17条

柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫の施術をできるが、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当てをする場合は、この限りではない。


柔道整復師法第16条

柔道整復師は、外科手術を行い、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。


柔道整復師法に記載されている柔道整復師の業務範囲についてはこの2つのみ記載されています。


そうです、柔道整復師法には「禁止事項」の記載はありますが、可能な業務についての明確な記載はありません。


17条に「骨折、脱臼、打撲、捻挫の施術をできる」とは書いてありますが、「それらのみしか施術できない」や「それら以外を施術してはいけない」とはありません。


よくある勘違いで「柔道整復師は骨折、脱臼、打撲、捻挫の施術のみが業務範囲であるため、それら以外に対して施術をすることは違法行為である」といったものがありますが、それら以外に対して施術をすることが禁止されていないので違法行為には当たりません。


とはいえなんでもかんでも施術するわけではなく、例えば内臓疾患に関連して痛みが出ている場合、それに対する施術は禁止されていませんが患者が不利益を被るため施術はしません。


患者の健康を害したり、適切な治療機会を奪う行為はモラルに反するため避けるのが普通です。


前述の勘違いが起こる要因として「柔道整復師の施術に関する療養費の規定」が関係しています。


みなさんご存知の通り、接骨院で施術を受けるときに健康保険が使用できることがあります。


これは無制限に健康保険が使用できるのではなく、この規定に沿って健康保険が使用できるか否か(療養費が支給されるか否か)が決まります。


この規定では、柔道整復師の施術で健康保険の使用ができるのは「外傷性の明らかな骨折、脱臼、打撲および捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)また、外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示すものであり、いずれの負傷も、身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないものであること。」とあります。


また、「単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外であること。」ともあります。


これはあくまでも「療養費の支給に関する要項(健康保険が使用できるか否か)」であり、「柔道整復師の業務範囲を定めるものではない」ということに注意が必要です。


療養費の支給対象ではないものに対しても柔道整復師は施術可能であるが、柔道整復師法の禁止事項は守らなければならないのです。


そもそも「柔道整復師」とは「厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とするものをいう(柔道整復師法第2条第1項)」と定義されていますが、「柔道整復」とは何を指すかは定義されていません。


そのため「柔道整復師の業務は何か」と聞かれたら「柔道整復を業とする」としか答えられません。


難しいところですね。


一応、公益社団法人全国柔道整復学校協会監修の「関係法規」の「業務範囲」には、「柔道整復師の業務は、脱臼、骨折、打撲、捻挫等に対しその回復を図る施術を業として行うものである」と記載はありますが、「〜捻挫に対しその回復を図る〜」ではなく「〜捻挫に対しその回復を図る〜」とあるので、骨折、脱臼、打撲、捻挫のみを業務範囲とはしていません。


複雑ですね。


柔道整復師自身も正しく理解できている人が多くないのが柔道整復師法なので、他資格の方が正しく理解するというのは困難でしょう。


我々柔道整復師も他資格の方から後ろ指さされる行為は慎むべきだとは思いますが、それが他資格の方の認識の誤りや学問の違いからくるものがあることは事実です。


他資格に対してとやかく言ったところでその資格・業界が発展する訳ではありませんし、周りからとやかく言ったところで変えられるのはその資格・業界の中の人間のみです。


よそに目を向けるのではなく、自らが属する資格・業界の発展に目を向けるべきだと思う次第です。