請願署名の行方その②ー事件は市議会じゃない、学校で起きてるんだ
12月21日、ついに町田市議会本議会が開かれました。私たちの請願について、議長を除く市議会議員の皆様35人全員から、議決をいただきました。
結果として、賛成6名、反対28名、棄権1名により、不採択となりました。
※以下、文字起こしをしてくださったさわけん様、それを掲載してくださったGoVoteMACHIDA様のサイトからの引用をまじえながら、要旨を紹介させていただきます。
●賛成討論 共産党会派 殿村議員
「子育てがしやすい町田を目標に掲げるのならば、これだけの市民の願いが込められた中学校における全員給食の実施について、手法や財源などを含めて検討してしかるべきではないか」。私たちが伝えたかったことを述べてくださいました。
●反対討論1 公明党会派 山下議員
自校方式では100億円かかるのではないかという財源の問題(私たちは、自校方式がいいとは一度も申しておらず、親子方式なら20数億円ではとアピールしたのですが…)。とはいえ、「請願者の意向も踏まえた改善策に取り組みたい」「小学校のときのような…という生徒の願いも大切にしたい」ということもおっしゃってくださいました。
※なお、山下議員はこの後、誤って賛成ボタンを押してしまったそうで、賛成にカウントされていますが、反対であったと本会議中に説明がされました。
●反対討論2 諸派 新井議員
「将来世代に負担をかけない選択をすることが大切」というのはおっしゃるとおりですが、ここでも自校式、センター方式での将来負担比率のみを挙げられていました。
「中学校給食を政治の道具に利用している」というご発言のご意図は、疑問の残るところです。
また、署名運動を行っていた人間や請願者、傍聴者が「中学生の親ではなく子育てが終わった世代や幼児・小学生の親だった」というご指摘を受けたのですが、中学生の保護者にはこのような活動には加わっていただけませんでしたし(実現するころには卒業してしまっていますから当然のことと思います)、将来のことを心配する幼児・小学生の親が街頭に立ったり、署名を広めてくれていました。
平日の昼間ですから子育てが終わった世代ばかりしか傍聴席にいないのは仕方のないことです(私も、日々家事育児に忙しい、あるいは仕事をもっていて有休をPTA、学校・園行事、子どもの体調不良等で使い果たしそうになっている友人たちに、傍聴にぜひ来てとは言えませんでした)。また、子育てが終わった世代の方々は「孫のために」とがんばってくださっていましたので、異議を唱えさせていただきたいと思います。
しかし、「結果、この給食を食べている子どもたちが苦しむような運動を展開された」というご指摘については、私たちも他の方からお叱りをいただき反省していたところでした。「おいしくないから食べられていない」と主張してしまい、委員会でも不毛な「おいしいかおいしくないか」論争になってしまったことで、今食べている子どもたちにますます肩身の狭い思いをさせてしまったとしたら、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
現場に近い方のお話を聞かせていただき、会として何ができるかを考えてまいります。
●反対討論3 まちだ市民クラブ会派 森本議員
財政の問題などは、おおむね他の反対議員の方と同様でしたが、最後に希望のもてるお話が聞けました。
デリバリー給食が、始まった当初は画期的であったものの、社会情勢が変化していることをふまえ、「重要なのは、これでこの議論を終わらせることではない」としてまとめてくださいました。
「議会として今後、中学校給食の在り方、食育の在り方について、さらに現実的な議論を含めていく事が責任ある態度と考えています。本請願に、それぞれの解釈の中でご賛同された 2 万人以上の方々と、我々の会派にとどまらず、多種多様な考え方を持っている議員の皆様が、それは何より選挙で市民の皆様に、それぞれのお考えが支持され当選された事が事実としてあるわけですが、いろいろなお考えがありながらも、子どもを取り巻く環境を良くしていきたいというこの一点は、市長、行政も含めて三者変わらない事は確信しております。
そのために、我が会派としては、議会内にこれから給食に関する様々な諸課題をしっかり議論し、行政と現実的な連携をし、現実的な提言を出来る場の設置を提案したいと思っています。例えば、ここにも事例があるような、ある一点の政策的課題に絞った特別委員会のようなものを含めて議論の俎上に挙げたいと思っています。しかしながら、この類の提案は、一会派の独善では全くもって意味を成しません。当然に今後、議会という合議体の場で各会派、議員の皆様の様々なご意見をしっかりと丁寧に伺い、ご賛同得られるような手法や形にしなければならないという事は言うまでもありません。
我々議員や行政、市民の方々だけでなく、第三者の有識者や、他自治体の歴史的経緯の話を今一度冷静に聞いてみたい、また請願の主旨は一部理解しうるという強い意見が会派の中ではありました。そのために、行政側の現状の改善に向けた取り組みと、また問題意識を評価しつつも、行政内部にも第三者委員会のような外部意見を聴取できる、改めて情報を収集していただけるような場を作って頂きたく、こちらも合わせて要望したいと思っています。そういった不断の努力を、そして現実的に政策を前進しうるための努力を、今後具体的に行っていく事をここにお約束して反対討論とさせていただきます。」
委員会では、一部、学校教育とかけ離れた討論になってしまいました。しかし、本会議では反対討論とはいえこのようなご意見を頂戴でき、悔しさは残るものの、当会の請願で問題提起はできた、と考えております。
私たちが望むのは、現在デリバリー給食を食べている生徒、お弁当を食べている生徒、コンビニ等で買ったものを食べている生徒、持ってこられない生徒……そしてその生徒たちの保護者にとっても、町田市の中学校給食ができるだけ早く、給食としてよりよい形になること(給食を利用したい生徒や保護者は、潜在的にもっといるはずです)。喫食時間の問題も含めて、みんなで楽しく笑って昼食を食べられるようになること。
さらに、中学生未満のお子さんやそのご家庭、妊娠中のご夫婦、町田市に引っ越しをご検討中のご家庭、祖父母世代の方々……さまざまな方に安心してもらえる中学校給食となること。
町田市が、ユニセフの「日本型子どもにやさしいまちモデル」事業参加自治体の東京代表としてふさわしい、本当に子どものことを想う自治体となること――。
当会はそれらをめざして、町田市議会や教育委員会の動向を見守りつつ、何らかの形で活動を続けてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
なお、本会議の模様は、録画放映からご覧になることができます。
また、TOKYO MX テレビ様がニュースにまとめてくださいましたので、ぜひそちらもご覧ください。
※署名の合計筆数は、先日の委員会中に追加提出があったとのことで、正しくは23,179筆でした。当日にも届けてくださった方がいらしたことに感謝申し上げます。