ギジン屋外伝 「猫と貝はお喋りが好き」②来週のはなし
【配役】
尾石貝 茉希：隣に住む親友。
猫宮 織部：ギジン屋のお手伝いさん 兼 助手
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ギジン屋の門を叩いて 外伝
タイトル【猫と貝はお喋りがすき】来週のはなし
尾石貝 茉希：ねえ、猫ちゃん。
猫宮 織部：はいはい、なんでしょう茉希ちゃん。
尾石貝 茉希：しりとりしない？
猫宮 織部：し、しりとり？
尾石貝 茉希：うん、しりとり。
猫宮 織部：別にするのはいいけど……大学のレポートやるんじゃなかったの？
尾石貝 茉希：しりとりしよ。
猫宮 織部：……レポート。
尾石貝 茉希：しりとりしよ。
猫宮 織部：茉希ちゃん。
尾石貝 茉希：しりとりしよ。
猫宮 織部：……。
尾石貝 茉希：レポートだるいんだもおおおおおん！！！
猫宮 織部：だるいだるいって言ってたら終わらないんだよ！？
尾石貝 茉希：だってさ！！！だるいもんはだるいじゃん！！！めんどくさいじゃん！こんな紙切れ数十枚で私の価値は決まらないでしょ！？
猫宮 織部：案外決まっちゃうもんだから、難儀なんですよねえ……。
尾石貝 茉希：え……？ 決まるの……？
猫宮 織部：ええ、ずびっと。ずばっと。ばひょっと決まっちゃうときある。
尾石貝 茉希：レポート……なんて罪深い男。
猫宮 織部：男なのかな……？
尾石貝 茉希：わかんない。しりとりしよ。
猫宮 織部：現実から目を逸らしたらだめだよ、茉希ちゃん。現実はいつ寝首をかくのかわからないんだから、ちゃんと見張ってないと。
尾石貝 茉希：でも現実ってマジシャンじゃん。ハンドパワー持ってるじゃん。ミスディレクションとかしてくるじゃん。直視してても分からない時はわからないじゃん。
猫宮 織部：それでも見ることを放棄することと、見る場所を変えるのは違うからさ。
尾石貝 茉希：あまやかして。
猫宮 織部：え？
尾石貝 茉希：正論言わないで、あまやかして。
猫宮 織部：……。
尾石貝 茉希：やーーーだーーー！ あまやかして！！！あーーーまーーーやーーーかーーーしーーーてーーー！！！正論で詰めて来ないで！！！あまやかして！！！しりとりしよって言って！！！
猫宮 織部：私、茉希ちゃんの友達。
尾石貝 茉希：知ってる。
猫宮 織部：だから茉希ちゃんの将来のことを心配してる。
尾石貝 茉希：知ってる。
猫宮 織部：だから正論を言う。
尾石貝 茉希：知ってる。
猫宮 織部：ね？だから、
尾石貝 茉希：それをわかった上であまやかして！！！！
猫宮 織部：この子は。
尾石貝 茉希：だって！！！誰に会っても絶対「いいからレポートやれ」っていうじゃん！？母さんもいうし、眞門さんもいうじゃん絶対。そしたらさあ！！！友達の！！親友の！！！あんただけは！あんただけはさあ！！！あまやかしてもいいとおもう！！！
猫宮 織部：若干押し負けそうな私がいる。
尾石貝 茉希：押されろ！！！押されてしまえ！！！わたしのためにーーーー！！！
猫宮 織部：……ゆらぐ。
尾石貝 茉希：いいぞ！猫宮織部！そのゆらぎこそがぁ！！！私たちのアイノカタチだあ！！！
猫宮 織部：そんな愛があってたまりますか！
尾石貝 茉希：えーーーーん！！！だってレポートしたくないよーーー！！！
猫宮 織部：はあ。もう。わかった、わかりました、1回だけだよ？
尾石貝 茉希：ちょろいぜ
猫宮 織部：茉希ちゃん？
尾石貝 茉希：ありがとう感謝感激雨あられ。
猫宮 織部：もう！
尾石貝 茉希：なははー、めんごめんご。ほら、やろ、しりとり、やろ。私からね、えーとね、うんーっとね、そしたらぁ、「スコティッシュフォールド」！！！
猫宮 織部：この場合って、「と」？それとも「ど」？
尾石貝 茉希：今回は「ど」とする！
猫宮 織部：うーんと、じゃあー……「銅板（どうばん）」
尾石貝 茉希：バカヤローーーーーーー！！！！！
猫宮 織部：はい、私のまけ。レポートやろうね。
尾石貝 茉希：バカバカバカバーーーーカーー！！！そんな、半ターンで終わらすやつがあるかーーー！！猫宮織部ぇーーー！！！謝れーーー！！！私に謝れーーー！！
猫宮 織部：バカって言うほうがバカなんです！！
尾石貝 茉希：やーーーだーーー！！こんなのずるっこだ！！！チート行為だ！！！許されないいいい！！！
猫宮 織部：正当なルールの元の勝敗です。
尾石貝 茉希：このーーー！！！正論ばっかりいうーーー！！！そんなの、正論も正論、セイロンティーだぞ猫宮織部ーーーー！！！
猫宮 織部：なんか私が言いそうな事言ってるけどだめでーす。レポートをやりなさーい。
尾石貝 茉希：けち。
猫宮 織部：けちで結構。
尾石貝 茉希：けちんぼ。
猫宮 織部：ええ、構いません。
尾石貝 茉希：あめんぼ。
猫宮 織部：虫じゃありません。
尾石貝 茉希：美味しんぼ。
猫宮 織部：これを作ったのは誰だ！しません。
尾石貝 茉希：ぶーーーー！！！
猫宮 織部：ぶーたれてもだめ。
尾石貝 茉希：ぬーーーー！！！
猫宮 織部：ぬーたれてもだめです。
尾石貝 茉希：なんで厳しいの！！！いつもはあまやかしてくれるでしょ！！！
猫宮 織部：なんでわかんないの！
尾石貝 茉希：わかんないよ！！あまやかしてよ！！しかたないなぁ茉希ちゃんはっていつもみたいに言ってよ！！！
猫宮 織部：言わない！
尾石貝 茉希：頭撫でてよ！正論言わないでセイロンティー出してよ！膝枕させてよ！！！
猫宮 織部：膝枕は月に1回だけって言ったでしょ！！
尾石貝 茉希：やだやだ！月1回じゃやだ！！もっと求む！！！
猫宮 織部：だめです！！！
尾石貝 茉希：あまやかしてよーー！！なんでだめなんだよーーー！！！
猫宮 織部：来週遊園地いくでしょ！！！
尾石貝 茉希：え？
猫宮 織部：……もー……やっぱり忘れてる……。
尾石貝 茉希：あれ？
猫宮 織部：約束してたでしょ、来週は遊園地でジェットコースター乗り回すんだー！って。
尾石貝 茉希：あー……
猫宮 織部：今週中にレポートだけは出して置かないと、来週締切ぎりぎりになったら遊園地行けなくなっちゃう。
尾石貝 茉希：そうでした。
猫宮 織部：だから、早めに終わらせないとでしょ？
尾石貝 茉希：遊園地いきたい。
猫宮 織部：私も行きたいです。だから、早くレポートやって。
尾石貝 茉希：でもレポートはしたくない。
猫宮 織部：茉希ちゃん。
尾石貝 茉希：だって！！！でも！！！猫ちゃんとジェットコースター乗りたい！！！8回位乗ってゲロンゲロンのオエンオエンになってフランフランになりたい！！！！
猫宮 織部：なんか雑貨屋さん混じってたよ。
尾石貝 茉希：フランフランになりたい！！！
猫宮 織部：私もだよ！！！だから！！レポート！！！やって！！！
尾石貝 茉希：うううううう！！！じゃあ！やるから！！！やるから膝枕して！！！
猫宮 織部：なんで！
尾石貝 茉希：やる気でるから！
猫宮 織部：おじさんみたいなやる気の出し方！！！
尾石貝 茉希：おじさんでもいい！！膝枕は老若男女に効く！
猫宮 織部：はあ。もう、わかったよ、わかった。
尾石貝 茉希：いいの？
猫宮 織部：そしたらレポートするんだよね？
尾石貝 茉希：する。絶対する。嘘つきません。欲しがりません勝つまでは。
猫宮 織部：勝ってないのに欲しがってます。
尾石貝 茉希：嘘つきません、膝枕。
猫宮 織部：ちょっと韻踏んでるな……。
尾石貝 茉希：第一印象から決めてました！！！お願いします！！！
猫宮 織部：はいはい。ほら、どーぞ。
尾石貝 茉希：ひゃっほーーー！！！ もぞもぞ……はー、猫ちゃんの膝枕は癒し。
猫宮 織部：ほんと甘えんぼだなあ……。
尾石貝 茉希：親友特権よ、親友特権。
猫宮 織部：そんなものです？
尾石貝 茉希：そんなものです。はー。猫宮しか勝たん。
猫宮 織部：落ち着いた？
尾石貝 茉希：かなり。
猫宮 織部：レポートやれそ？
尾石貝 茉希：猫宮織部の膝枕は何故安心するのか、ってテーマなら100枚分くらい書けそう。
猫宮 織部：もー。
尾石貝 茉希：眞門さんにもしてる？膝枕
猫宮 織部：な、にゃにゃにゃにゃにゃにゃ！！にゃに言ってるの！？
尾石貝 茉希：へー、してるんだ？
猫宮 織部：してません！！！
尾石貝 茉希：えー、絶対喜ぶのに。
猫宮 織部：よ、喜ぶかどうかは知らないけどしません！
尾石貝 茉希：じゃあ、この膝枕は私の独占なのかー。
猫宮 織部：そ、そうだよ。
尾石貝 茉希：……へへ。
猫宮 織部：？？ ……へんな茉希ちゃん。
尾石貝 茉希：ね、ジェットコースターの他何乗りたい？
猫宮 織部：え？うーん、そうだなあ。メリーゴーランドとか。乗ってみたいかなあ。
尾石貝 茉希：あー、あの馬に棒ぶっ刺して回転させるやつね。
猫宮 織部：もう少し言い方なかった？
尾石貝 茉希：他は？
猫宮 織部：うーん、他かあ。そうだなあ、茉希ちゃんは？
尾石貝 茉希：私は猫ちゃんが居るならなんでも楽しい。
猫宮 織部：……そんなストレートに言われたら照れちゃうな。
尾石貝 茉希：しょーがない。なんでも思った事言っちゃうからねー。
猫宮 織部：……楽しみだね、遊園地。
尾石貝 茉希：うん！
猫宮 織部：じゃ、レポートやろっか？
尾石貝 茉希：う……はーい……
猫宮 織部：……（小声）ありがとね、茉希ちゃん。
尾石貝 茉希：なんか言った？
猫宮 織部：なーんにも！