「海の日」に思い出す詩
2024.07.14 21:15
悲しくなったときは (作 寺山修司)
悲しくなったときは 海をみにゆく 古本屋の帰りも 海をみにゆく
貴方が病気なら 海をみにゆく 心貧しい朝も 海をみにゆく
あぁ海よ 大きな肩と広い胸よ
おまえはもっと悲しい おまえの悲しみに 私のこころは洗われる
どんなつらい朝も どんなむごい夜も いつかは終わる
人生はいつか終わるが 海だけは終わらないのだ
悲しくなったときは 海をみにゆく ひとりぼっちの夜も 海をみにゆく
私たちが海をみていて「懐かしいなあ」と思うときがあるのは、太古の昔、海に棲んでいたからだと聞いたことがあります。体内の水分は、海の成分に似ているのかなと思います。だけど人は、もう海に還ることはできません。母親の胎内に還れないように。
人はとても悲しいことに遭遇したとき、「所詮、自分はこんなもんだな」との諦観の気分になることがあります。この詩に出てくる「心洗われる」ような心境に近いかもしれません。
詩中の「お前はもっと悲しい」の表現において、「お前」は「海」のことで、同時に「不器用で優しい人」でしょう。規則的なずっと続く波の音は、遥か昔に、海に住んでいた記憶を呼び起こし、揺りかごに揺れるような安らぎを感じさせてくれるのでしょう。
今日の切り絵は「なぎの海」です。
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