ベネズエラにロシアの軍事基地建設が決定。
HARBOR BUSINESS online
【転載開始】
■ベネズエラにロシアの軍事基地建設が
決定。
不意を打たれた米国
ロシアの「タス通信」がベネズエラに
軍事基地を設けることを決めたことを
明らかにしたことを受けて、
それを他紙に先駆けて『Diario de Cuba』
(電子紙)が12月17日付けで報じた。
同紙報道によると、基地はベネズエラ
の首都カラカスから北東におよそ200キロ
の距離にあるカリブ海のラ・オルチラ島
に建設されることになったという。
その規模はまだ明らかにされていないが、
軍艦が停泊できて、戦闘機も離着陸できる
基地にしていくように思われる。
この軍事基地の建設を予告するかの
ように、12月10日にロシアの戦略爆撃機
ツボレフTu-160が2機、大型輸送機
アントノフAn-124 が1機とイリューシンIL-62
がパイロットや技術者ら100人を乗せて
カラカスのシモン・ボリバル・デ・マイケティア
空港に到着するという出来事があった。
ベネズエラ軍と共同で軍事演習するのが
目的であった。(参照:「Diario de Cuba」)
彼らの滞在は5日間であったが、
米国が侵攻して来るのではないかという
脅威がマドゥロ政権に次第に重圧として
伸し掛かかっていた折のロシアからの
救援の手が差し伸べられた感じである。
このロシア軍のカラカスへの到着の
1週間前には、マドゥロ大統領がロシア
を訪問してプーチン大統領と会談。
60億ドル(6600億円)の投資と武器の
修復維持が確認されたという。
(参照:「Diario de Cuba」)
■2014年から基地建設を目論んでいた
ロシア
そもそもロシアが外国に軍事基地を
設けることに関心があることを具体的
に表明したのは2014年であった。
同年2月にショイグ国防相が
<ベトナム、キューバ、ベネズエラ、
ニカラグア、セーシェル、シンガポール>
にロシア軍事基地を設けたいと表明
したのであった。
(参照:「Diario de Cuba」)
その一方で、ベネズエラがロシアと
関係強化を図ったのは社会主義国家
の建設を目指していたウーゴ・チャベス
前大統領が、米国からの脅威の前に
2001年3月にロシアを最初に訪問した
のが始まりであった。
それ以後、ロシアの支援と豊富な石油
を餌にチャベスは中南米において反米
の旗手として米州ボリバル同盟(ALBA)
を創設して反米に共鳴する国を募って
行くのであった。
ALBAはエクアドル、ニカラグア、
キューバ、ボリビアなど8か国で構成
されるようになった。
それに応えて、プーチン首相(当時)が
ベネズエラを訪問したのは2010年のこと。
その際に、ベネズエラとロシアの間で
強い戦略的同盟がプーチンによって
伝えられた時に、チャベスは
「ヤンキーの覇権はこれで終わった」と
表明したほどであった。
(参照:「Indymedia Argentina」 )
マドゥロ大統領はチャベスのこの
反米主義を継承して今日に至っている。
■不意を打たれた米国
米国にとって今回のロシアの軍事基地
設置の発表は不意を打たれた感じであろう。
アルゼンチン出身で米国で活躍して
いるジャーナリストのアンドレス・
オペンハイマーがコロンビア紙
『El Colombiano』(2018年5月23日付け)
に興味あるコメントを掲載している。
それによると、トランプ大統領は
マドゥロ政権を打倒すべく軍事クーデター
を望んでいるが、専門家の間では一旦
クーデターが起きても、それはよりロシア
に靡くか、中国に靡くことになって、
米国が望んでいるような体制にはなら
ないと予測しているというのである。
その理由は、この20年余り米国は
ベネズエラの軍部との接触は僅かしか
なく、彼らの軍事訓練もロシアか中国
での経験しかないとしている。
しかも、兵器もロシア製か中国製で
占められていると指摘している。
ロシアそして中国も米国がベネズエラ
の現体制を打倒するために何かをして
来るのが次第に迫っていると感じており、
仮に米国寄りの政権が誕生するように
なると、ロシアも中国も利権を失うこと
になるということを警戒している。
寧ろ、
<ロシアまたは中国はクーデター を起こ
して、マドゥロ現体制を打倒すれば両国に
石油開発の利権がより舞い 込んで来る>
と考えていることを数人の専門家が指摘
しているのをオペン ハイマーは言及して
いる。
その意味でもロシアが今回軍事基地
の建設を発表したのは、米国の侵攻を
抑える意味と将来的には必要とあらば
マドゥロ政権を打倒して新たにロシア寄り
の政権を誕生させることを狙ってのこと
であるということなのである。
ロシアの将来的な考えはさておき、
マドゥロ大統領にとってロシア軍の
今回の登場は、コロンビア、ブラジル、
米国が彼を暗殺しようという陰謀を
牽制するものとマドゥロは受け止め
ているのか、彼は
<「この6年間の 政権でこれが50回目の
陰謀だ」>と 訴えた。
ロシア軍の到着に対して国境を接
するコロンビアのイヴァン・ドゥケ大統領
はロシアの戦闘機の飛来に懸念を表明し、
<「ベネズエラのこのような挑発行為は
許されない」>と表明し、
<「コロンビア に対する敵対的行為だけに
収まるのでは なく、地域全域に対するものだ。
この種 の演習は賢明ではない」>と述べた。
(参照:『Diario de Cuba』)
カラカスからワシントンまでの直線距離
にして僅か3700キロである。
ベネズエラにロシアの軍事基地が存在
するようになると米国にとって脅威となる
のは確かである。
しらいしかずゆき ●スペイン在住の貿易
コンサルタント。
1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、
長くスペインで会社経営から現在は貿易
コンサルタントに転身
【転載開始】
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米国という国は、逆らう国は
クーデターを起こさせ、政権を
転覆させてきています。
こんなところにロシアの基地を
造られたら米国も落ち着かない
でしょうね。
自分が嫌なことは、他人も嫌です。