『○○法は現代の科学では証明できない』の誤解④
こんにちは。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
何回か、臨床研究で良い結果が出ていないものの、長い間使われ続けている理論、治療法に関して『○○法は現代の科学では証明できない』という発言に対して書いています。
タイトルのフレーズには医学研究に対する典型的な誤解が含まれています。
今回は
④○○法は動作の『質』を改善する。臨床研究には『質』を評価する術がないのだから、○○法は評価できない。→誤りです。質の評価も可能です。また、そもそも質を評価する術がないなら、○○法を支持する人はどうやって「質」を評価しているのかわからなくなってしまいます。
に関して書きます。
動作の「質」が上がる。例えば歩き方が左右対称になるとか、自覚的な歩きやすさがあがる。
この結果、日常生活動作の自立度が上がったり、転倒の頻度が減ったり、歩行速度が上がったり、長く歩けるようになったりすることに意味があります。生活の質の向上に繋がらない動作の「質」の改善は意味が乏しいです。
もう少し具体的に書くと、リハビリの時に歩くフォームは少し奇麗になりました。でも家では前と同じようにほぼ寝たきりです。というのでは意味がないと思います。
また、そもそも測る術がないというのであれば、『○○法によって動作の「質」が上がる』ということは言えないはずです。
もっと言えば、例えば脳卒中に対するリハビリなどにおいては、現在主流となっている訓練量を強調するリハビリでも動作の「質」は向上します。こういう標準的な方法と比較して、より○○法に効果があることを証明しなければ、「○○法は動作の質を向上する」ということを強調することはナンセンスです。
この様な理由からも、現代の科学(臨床研究)では○○法は評価できないという話は、誤解を含んだ表現であることがわかります。
長くなりましたので次回に続きます。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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