三題噺を楽しもう。第四回勉強犬作文コンクール
三題噺というのを聞いたことがあるでしょうか。
元々は落語で使われていた言葉で、寄席で演じる際に観客に適当な言葉・題目を出させ、そうして出された題目3つを折り込んで即興で演じるもののことを指します。
作文でも同じことができますね。というわけで、今回の勉強犬作文コンクールのお題は三題噺。さらに3つのお題は、僕が独断と偏見で決めた「鳥」「CD」「差出人」で参りましょう。
これまでの作文コンクールで皆様からご投稿いただいた素敵な作品たちはこちら。
では、僕からもひとつ。改めて、三題噺のお題は「鳥」「CD」「差出人」です。
『僕のお葬式』
気が付いた時、僕は空にいた。
鳥みたいに宙に浮いてた。体は半透明。声も出ない。空中を泳ぐようにして進んで、屋根をすり抜けた僕が見たのは、なんと自分のお葬式だった。
僕は死んだんだ。今にも消えそうな記憶をやっとつかまえた僕の頭も消えそうだった。響くお経。黒ずくめの大人達に混じって無理して正座を組んでいるユキオを見つけた。僕の息子だ。立派な息子だ。少年野球をやってて、選球眼のとってもいい一番バッター。だけど、やっぱり僕のことは見えないらしい。
ユキオの目の前には君がいる。チエコ。君はとってもいい奥さんだったよ。こんなことになって本当にごめん。そんなに悲しい顔をしないで。僕は君の笑顔が大好きだから。
二人でいっぱい笑ったね。ユキオが生まれた時の君の笑顔は忘れられない。天使みたいだった。遊園地での大喧嘩も、夢中になったボーリングも、いつか自家用車で行った短い新婚旅行も、多分君とだから楽しかったんだ。向こうに行っても絶対に忘れないから。
ABCD…と規則正しく続いてくアルファベットみたいに、この先もただ平凡な今日と明日が繰り返されていくんだと思ってた。ユキオの頭をもっと撫でてやればよかったな。お前は最高の息子だって何度も言ってやればよかった。こんな日が来ると知っていたら、君には毎朝のハグとキスを欠かさなかったのに。
ごめんね。もう行かなくちゃならない。心残りは本当にたくさんあるけど、きっといい人生だった。君達に会えて、本当によかった。
ねぇ 聞こえる?今までこんな僕のそばにいてくれてどうもありがとう。
最後に伝えたいのはとっても単純なこと。
愛してる。
近くでも遠くでもないそんな場所から、風に乗っけて君達に届けた差出人は僕だよ。
恥ずかしながら、実はこれ、僕が学生の頃に書いた三題噺なんです。400字詰め原稿用紙いっぱいに詰め込んだ思いの丈は、今読むと少し恥ずかしいですけれど、若さと懐かしさを感じさせますね。CDの使い方がお気に入りです。
今回はあえてのおんなじお題で、皆さんの作品を楽しみにしております。
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こういう機会だからさ、文章書いてみるのもいいんじゃない。